97/111
臭い
にんげんは伏せる犬の鼻にぺったりと抱きついていました。
「犬のお鼻はぺたぺただねぇ。」
犬は何も言いません。
言えばにんげんを乗せて口をもがもがすることになるからです。
「私このぺたぺた好きだなぁ。」
そういってにんげんはペタペタの鼻にすりすり。
犬は目を細め好きにさせます。
「うー…犬、寝たくなってきちゃったよ。」
目を閉じて口をもぞもぞさせてそういうにんげんの抱きつきから鼻を抜くと、犬は横這いになってにんげんに腹を見せます。
するとにんげんはポフンと犬のお腹で丸くなり、本格的に眠る体勢に入ります。
「犬、おやすみ…」
そしてしばらくすると聞こえてくるのは安らかな寝息。
犬はそんなにんげんの臭いを確認するように何度も鼻先をにんげんの方に向けます。
これはにんげんは犬の鼻を好きだけれど、犬もにんげんの臭いが好き、という何でもない、でも噛み合う事はあんまりない、好きと好き同士のお話です。




