激情
ある日にんげんは犬に乗っていると、地面から幹のにんげんくらいの高さの部分で折られている木の数々を見ました。
猫熊の兄ならその場で食べて新しい木を植えるでしょうし、海狸の兄なら少なくとも折った木は持っていくでしょう。
なので、「だれがこんな事をしたんだろう」、と犬に聞いてみると、犬は、「縞馬の姉だろうな。なにかいらつくことがあったんだろう。」と答えました。
にんげんが「しまうま?」と聞くと、「縦に交互に白黒な毛を持つ縞模様という模様を持つ馬型の姉だ。小さい…とはいってもにんげんよりは大きいが、それで中々の乱暴者でな。なにかあるとすぐあたりに当たるんだ。」と答えが返ってきました。
にんげんが「乱暴者なんだ……魚の姉とかすっごく優しいのに。お母さんみたいなのに。」というと、犬は言いました。
「それは縞馬の姉に出会ったらいうなよ。縞馬の姉は自分の気性がお母さんに似ていない事を凄く気にしているからな。言うと蹴られる。にんげんみたいな弱い奴なら死んでしまうかもしれん。」と。
にんげんは、「うん、解った。言わない。」と約束してからさらに犬に聞きました。
「縞馬のお姉さん、乱暴するけど本当は優しくなりたいのかな?気にしてるってことは、そうなんだよね。なんだか可哀想だよ。」と。
犬は「そうだな。性格を直すのは難しいからな……。だが可哀想と思うより応援してやれ。その方がきっと励みになる。」と答えました。
そしてにんげんは「じゃあ縞馬の姉が暴れてるの見たら頑張って乱暴な気持ちを抑えて!って応援するね!」と明るい声で言いました。
犬は蹴り倒された木を転がしながら、「いや、それは俺がいる時だけにしてくれ。八つ当たりでにんげんが蹴られたら一巻の終わりだからな。」と言いました。
そんなわけで犬はなるべく縞馬の姉とにんげんをあわせないようにしようと思うのでした。
ちなみに、倒された木は猫熊の兄が見つけ次第食べて、新しい木の種を植えてくれるので元通りになりましたとさ。




