思い出し
今日も今日とて犬がお母さんのおっぱいから吸い出した乳を、舌で囲いを作って溜めた犬からにんげんが貰っていると、魚の姉が笑いました。
乳に顔を突っ込んでいたにんげんが乳と唾液でべとべとになった顔で不思議そうにしていると、「あらあら、またそんなべたべたにして。顔を洗ってあげるからこっちへいらっしゃい。」と魚の姉が呼ぶので、にんげんはいう事を聞きました。
そして湖の水で顔を洗い終わると、にんげんは、「ねえ魚の姉さん。なにが楽しくてさっき笑ったの?」と聞きました。
すると魚の姉は、「それはね、貴女がもっとずっと小さな頃、犬が貴女に乳を飲ませようとして、全身乳塗れにしちゃってた事を思い出してね。あの時は貴女も泣いたし、犬は泣かせたことにしょんぼりするし、大変だったわ」と言ってまた笑いました。
にんげんは「うー。覚えてない。私犬に泣かされたことなんてあったんだ。」と言いますが、犬に「…悪かったな。結構何度も泣かせてて。」と言われました。
んんー?とにんげんが何があったかなぁという顔で思い出そうとしていると、「俺の早がけに乗ろうとした時、もっと小さい頃強く咬み過ぎた時、歩かせようとした時にお前が石を踏んだ時、それから…まぁ色々だ。ふがいない兄ですまん。」と犬は言います。
すると、にんげんは「あー!」と叫び、「そんなこともあったねぇ、懐かしい」とにこにこしています。
そんなにんげんに「にんげん、貴女今笑ってるわよ。何が楽しくて笑ってるの?泣いた記憶でしょう?」と言いました。
「え?だってもう何度も太陽と月が入れ替わった後の事だし、犬が一緒に居てくれたし…」とにんげんが答えると、「じゃあ、さっき私がなんで笑ったか解るんじゃないかしら?」と魚の姉がいいます。
その言葉ににんげんは目を丸くしました。そして思いっきりこくこく頷きながら「魚の姉さんも懐かしくて笑ってたんだ!解ったよ!」といって一段と輝くような笑顔をはじけさせました。
魚の姉が「そう、そのとおりよ。これが思い出し笑いという物よ。」といって、にんげんが「そっかー、思い出し笑いかぁ」と笑いあっている横で、犬は俺はにんげんとのアレコレを思い出すとまた泣かせてしまったとへこむんだが、雌は強いなぁ、と思っていましたとさ。




