表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/111

成長

 犬がにんげんを背中から降ろして、森の中の木漏れ日の中で日向ぼっこをしながら、寝転んで目だけでにんげんの動きを追いかけていた時の事です。

にんげんはふらふらうろうろ、好き勝手に小石のある地面や茂みの中を歩きます。

そして少し大きな石につまづいたかと思うと、思い切り枝の尖った茂みの中に転がり込みました。

 犬は即座に立ち上がりにんげんの元へと向かいました。

なにせ以前森の中で尖ったものを踏んで飛び上がって転げたにんげんです。

こんな尖った枝だらけの茂みの中に転がり込んだらさぞ痛がると思ったのです。

 しかし、そうはなりませんでした。

にんげんは茂みの中できょろきょろしていましたが、しばらくすると「おー!」と叫びながら茂みの枝に手を突き出します。

すると、以前のにんげんなら痛みで手を引いただろうというくらい枝がたわんでいるのに、にんげんは涼しい顔。

 それを見て犬は安心すると共に、ようやくか、と思いました。

お母さんの乳を飲んだ者は強くなる。これは例外の無い法則です。

ただ、一部お母さんの乳を飲んで強くなっても体のバランスが取れないほど奇妙な体をした兄弟もいますが。

その効果がようやくにんげんにも現れてきたのです。

 しかし木の枝程度に痛がっていたにんげんはとても小さく、その頃からそれなりに大きくなったのを思い出すと、犬は、そういえばにんげんは成長とかいうものでも強くなるんだったか、と思い返しました。

成長、怪物達には無い言葉です。

お母さんがにんげんを拾った時に犬達ににんげんは成長することを教えてくれなければずっとしらないまま過ごしたでしょう。

なぜなら怪物達は生まれた時からどれだけ経ってもその体だからです。

 実を言えば山のように大きい一番上の兄が生まれる前はお母さんはもっと大きかったという話もあります。

それが怪物達を生んでいく毎に縮んでいったと。

 そんな事を考えているとにんげんが顔を茂みに突っ込もうとしたので犬はにんげんの頭を咥えてひっぱりました。

首が引っこ抜けてしまわないよう優しく、です。

 そして犬の唾液まみれになったにんげんに、「目はそんな強くならないから尖ったものとか入れないほうがいい。俺も砂とか入ると眼が痛くなる。」と言いました。

それを聞いたにんげんは、「そっか、目は駄目なんだ。」といって笑いました。

 そしてにんげんはたわむ木の枝の動きが気に入ったのか、その後もしばらく茂みをぐいぐい押していました。

その枝がたわみすぎて手から外れて顔に辺り、目に葉が掠って痛い思いをするのはもうちょっと、後のこと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ