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 にんげんは森で一番大きな木の根元のうろで丸くなる犬のおなかの毛皮を思う様いじりまわしていました。

そんなところに声が掛けられます。


「やぁ、そこにいるのは犬の弟じゃないか。それと…にんげんの妹!」と至って陽気な声です。

 犬が片目だけをちらりと開き、にんげんが毛皮で遊ぶのを止めて振り返ると、そこには二足歩行して肩から綺麗な紫色に光る実がいくつもなっている植物を肩から掛けた猫が立っていました。

 にんげんが「誰?」と聞くと、猫は大仰に顔を振って手をその悪戯な眼を隠すように持ち上げます。

「おお哀しい!君が私を知らなくとも私は君を知っているよ!お母様に受け入れられた兄弟じゃない兄弟、幸運な人間の娘!」

芝居がかった様子でいう猫ににんげんは、「にんげんの娘じゃないよ、お母さんの子供だよ。」と答えました。

 それに対して猫は一転にやにやしながら、「君には人間のおかあさんがいるのだよ、我々のお母様とは別にね。」と言いました。

 それを聞くとにんげんはびっくりした顔で、「わたしにはお母さん二人いるの!?」と聞き返します。

猫はそれに、「さもあらん、君には二人のお母様がいるのだよ。今は湖のお母様としか会えないがね。」と答えます。

 その時の猫の顔は非常に悪い顔をしていましたが…

にんげんは犬に、「犬!犬にもお母さん二人いる!?そっかー、一人かぁ。犬にもお母さん二人居たらよかったのにね、お母さんは優しいから多いほどいいもんね。」などと言っています。

それを見た猫はちょっぴり不機嫌そうな顔になって、「あまり頭はよろしくないようだ。私はこれで失礼するよ。」と言ってどこかに言ってしまいました。

 にんげんは「頭が良くないって、どういうこと?」と犬に聞きますが、犬は「気にするな、お前の頭は良い。」と言ってにんげんの頬をペロリと舐めました。

それににんげんは顔をほころばせ「くすぐったいよぉ、犬大好き!」とまた犬のおなかの毛をいじり始めたのでした。

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