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ファンタズマキア  作者: 9489
5章「???」
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dizzy diary

半年前。


個人的に機械技術の研究を続けていたゲンゾウは、その研究成果が認められ塀の中へ招集された。


エリア19。

塀の外から少し近い場所の研究施設で没頭する日々を送っていた。


自然エネルギーを変換し、別のエネルギーへ変換する技術。

そしてそこから天候を操作し、人工雪や雨を一定範囲に降らす。

風や太陽光を変換し、それを圧縮して多大な風力や熱に変換する技術。

塀の中では既に使用されている技術だが、塀の外で独自に再現した功績が認められたのである。



設備が整っていることもあり、毎日に楽しさを感じていた。

そんな生活は長くは続かなかった。




所内に『HC』と名乗る組織からの襲撃。

研究員ばかりがいる施設ということもあり、あっという間に武力制圧されてしまった。


モニターから映し出される小太りの男。

「ブワーハッハッハ!!この施設はオデたちが占拠した!!!」

間の抜けた声。


所長や幹部達の死体が映し出される。

「これより、お前たちはオデに従ってもらう」


こうして政府公認の研究施設の1つが、テロリストグループに組み込まれることとなってしまった。


逃げることを考えたが、IDは抜き取られ既に監視された状態。

施設に損壊が無かったことも踏まえて、彼らが手練れだということは伝わった。

最初は抵抗する研究員もいたが、次の日には居なくなっている。

彼らがどうなったかは知らないし、聞きたくもない。



とはいえ、言うことに従えば最低限の食事や生活は保証されていた。

特にサンタナという男は、定期的に声をかけてくれる。

彼からは悪意を感じなかった。


(・・・なぜ彼はテロリストに属しているんだろう)

そう思いつつ、心を開きかけている自分がいた。








そんなある日、サンタナに人気の少ない研究棟へ呼ばれた。

そこに行くと、サンタナの隣にいる赤い鎧。



(これは天使部隊の・・いや、違うか・・?)






ただそこから放っているオーラは場を張り詰めるものだった。




「彼の言うことを聞いてほしい」

そういわれると、ゲンゾウは固唾を呑んだ。




「・・・俺を強くしろ」

ゆっくり、そして威厳のあるように話す赤鎧。


「まずはデータを見せてください・・!」


赤鎧が動く、そのデータを取り、

コンソールを眺める。

想像の範疇を超えた力を発揮している。


「それならこういう調整は」

駆動系をいじる。しかし




「俺を舐めているな」

理不尽に拳がゲンゾウに飛んでくる。


その場で倒れて、転がる。



「お前に求めているのはその程度ではない」

「もっと飛躍的に俺を強くしろ」


痛みの恐怖の中、ゲンゾウは更に調整を進める。



(これ以上やると、アルマも人体も負荷が強すぎる・・・)



そう躊躇っていると、見透かすように


「いいからやれ」


従わなくてはいけない恐怖心、そして残っている人間としての心。

心で覚悟をし、人体に危険なレベルまで調整を加えた。


するとそれを赤鎧は乗りこなした。

「自分が滅ぶレベル、自分さえも負荷が強いはずだ・・・!」

驚愕するゲンゾウ。



「いわれてからしか動けない凡人が」

「次からはさっさとやれ、無能」


望みを叶えたが、さも当たり前のように振る舞う傲慢さ。

ゲンゾウは、底知れぬ狂気を感じてしまった。



そこから赤鎧専属で対応することとなった。

緊張感で支配されて苦痛な毎日だった。


だがたまにサンタナがやってきて様子を見に来てくれた。



そして・・・・


「幾つかの機防隊の装備を手に入れたぞ!」

サンタナは笑顔で告げる。


「俺らは人数がまだ少ない」

「機防隊の装備は戦力になる、がそれを使用する人間が少ない」


そこで、と続け

「機防隊の装備を遠隔で操作するシステムを作れないか」

ゲンゾウは考える、今の技術では作れないこともないと返すと


「中の人間が動けなくなっても、自動で動かせればそいつらを生かして帰すことができる。撤退手段としても有効だ」


まっすぐな眼で見つめるサンタナ。

実現できれば、助かる命がある。

そう思い、赤鎧の調整以外は、システムの構築に勤しんだ。




ーー1か月後。




「開発できました!」

ゲンゾウが声を上げた。


「ありがとう」

サンタナが返すと


「中に人間がいる事をトリガーに、自動で動かすよう設計しました!」

「そして代謝量・基礎運動量に合わせて、危険のない負荷で最大限の動きが出来るように戦闘プログラムも入れています!」


想像以上の出来だ、とサンタナ。


「となると外部の人間から、操作することは?」

もちろん可能です、と返すと


サンタナは「じゃあ操作権限を少し渡してほしい、実際の成果を確認したい」と言ってきた。

そういうだろうと管理コンソールを手渡す。


「いい例題がある」

サンタナは一人連れてきた。

焦燥しているようで、そのまま機械鎧を着せていく。



ぼーっと眺めていたゲンゾウは気付いた。

「・・・・あれは!」


数か月前、HCに乗っ取られた際に抵抗した研究員の一人。

随分と老け込み、様相が変わっていて気付くのに時間がかかった。



嫌な予感がする。

そしてその予感が的中する。


サンタナはコンソールの出力を最大にする。

加速的に動く機械人形。


元研究員とは思えないほど、好戦的な動きをする。



「やめろ!彼では耐えられない!」


その言葉は搔き消され

「これはどうだ・・?」


サンタナがボタンを押すと、腕が在らぬ方向に曲がっている。

「凄い、人体の可動域を越えることができるのか!」


恐らく骨折、いや、中の人は・・・

そうして動き回った後に、赤鎧が動き、首根っこを捕まえる。


「実験体は幾らでもいる、こいつは廃棄だ」

手に力を籠め、首を横にへし折った。



だらん、と垂れ下がる手足。

遅れて装甲の隙間から血液が滴っていく。



サンタナが大声を挙げる。

「これで赤鎧が支配できる兵士たちが出来たな!」


赤鎧を筆頭に集めた天使部隊。

装着者のスキルに関わらず、限界を超えた動きをする戦力。

そして抵抗するものは赤鎧で始末する。



笑いが止まらない赤鎧。


「いいな、この能力『PARANOIA』と名付けよう」






独りで戦う男が辿り着いた境地、自分に都合のいい戦力、都合のいい人形。

人体の支配権を譲渡する『PARANOIA』。

誰も信用することができない男の理想の成れの果て。







サンタナに肩を叩かれると

「ありがとうゲンゾウ、君は最高なものを作り出したよ」


こうして生まれた悪魔の機能。

それからも抵抗した研究員を実験体として研究は続いた。


抵抗すると自分もああなってしまう。



結果、生まれた悪魔部隊。

中の人間が変わっても戦力が落ちない。



その代償として、ゲンゾウは心を閉ざしてしまった。

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