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すくうもの 〜令和怪奇跡〜  作者: ももすけ
第2部 校祭編
34/133

同好会を設立しよう!①

 


 やっとお昼休みになった。久しぶりに授業を受けたのもあって、とっても疲れた。



(勉強は着いていけそうだけど、50分がこんなに長く感じるなんて……)



 それに、久しぶりに来たからって、みんなから質問攻めされて……。悪気はないのはわかるけど、もうちょっとエンリョしてほしい。でも、これもみんなと打ち解ける足がかりになるといいな。



 さて、お弁当を食べよう。みんなは仲のいいグループでまとまって食べてたり、学食に行ってるよね。わたしも誰かと食べたいけど……。



「おーい、樫見さん。屋上で食べない?」



 禅院くんが来てくれた。わたしはひとりぼっちじゃない。よかった、安心した。わたしはうなずくと、ふたりでせかせかとHRを出て、階段を上る。



 でも、なんで屋上なんだろう。そもそも入ってもいいのかな。訊いてみよう。



「話したいコトがいっぱいあって。友達もいるけど大丈夫そ?」



「は、はいです」



「よかった。あっ、屋上にいるっていうのは、先生とかみんなにはナイショね」



 話していると、屋上へのドアの前に立った。重々しい色合いのドアには立入禁止の張り紙があるけど、禅院くんは容赦なく開けてずんずん進んで行っちゃった。ていうか、カギが壊れているみたい。



 わたしも続くと、禅院くんの言うとおり先客がいた。



「明璃、おまたせー」



 その人は、かつてこの屋上で悪霊に取り憑かれた人だった。



「おっ、来た来た」



「こ、こんにちは……」



「そんなにかしこまらないでよー。あたしは紫城明璃(しじょうあかり)。なんでも好きに呼んで」



「あ、じゃあ、その、よろしくお願いします、明璃さん」



「うん、よろしくねっ。夕七ちゃん」



 明璃さんはわたしと違って、とっても明るい人だ。毛先がウェーブしてる髪の毛が茶色みがかっていて、とっても似合っている。染めてるのかな?



「それで、こんな暑っついトコ呼び出して、なんの用? 風が気持ちいいからまだいいけど」



「そう。ふたりに聞いてほしいのは――」



 禅院くんはお弁当のフタをあけて、また話した。



「オレ、オカルト研究部を作ろうと思ってるから、入ってほしい」



「「……ええ?」」



 明璃さんと息があった。いきなりどうして?



「ほら、今朝みたいな空妖とか悪霊の襲撃に備えてさ、情報を集められる基地みたいのが欲しくて。部室とかあったら、いろいろ便利かなって」



「それでオカルト研究部ねえ。どっちかというと、『禅院サトル被害者の会』のほうがあってない?」



「げふっ……」



 そう明璃さんから言われると、禅院くんはスゴく悲しい顔になった。わたしも電車の中でお腹が痛くなったとき、暗転したスマホの画面を見るとあんな顔になってた。



「ウソウソ。サトルも呪いの被害者なワケだしね。それに助けられたりもしたし。オッケーだよ」



「ホント? ホントにウソ?」



「うんうん。安心して」



「よかった、マジで。樫見さんは?」



「わ、わたしも平気です」



「ありがとう、樫見さん」



「ただし、条件があります!」



「うわ、なんだよ明璃」



「夕七ちゃんに視せなさい、背中の口を」



「そうだ。説明しなきゃと思っていたんだ」



 たしかに須藤先生は、口っぽいのが視えたって言っていた。でも、わたしが禅院くんの背中から見たのは黒い翼。なにか関係あるのかな。



「バク、樫見さんにあいさつしてくれ」



 わたしに背中を向けてひとりごとのように呟いた。すると、また信じられないモノが、そこにいた。



 目を凝らすと視える黒い渦から、ギザギザの白い歯と赤い舌が出てきた。話に聞いたとおり、ホントに口だ!



「はじめまして。ワタシはバクと名付けられたモノだ。よろしく頼むよ」



 パッと見は怪しそうだけど、言葉づかいはやさしそうだし、禅院くんの友達なら平気だね。



「よろしくお願いします、バクさん」



「お辞儀をしてくれるなんて……、胸にせまるモノがあるな。もっとも、ワタシには胸はないがね」



「とまあ、こういうヤツが、オレの背中に取り憑いてるんだ。いままで黙っててゴメンね」



 禅院くんは向き直って、わたしに話した。事前に禅院くん話を聞いたり、花子さんやあのカッパに出会わなきゃ、やっぱり信じられない。



「ワタシの能力も見せたらどうだ?」



「いいかげん、明璃には見せないとな。樫見さんはさっき見たと思うけど、これがバクの能力。食べた生物の生態をコピーできるんだ」



 禅院くんの左目に赤い傷跡が浮かぶと、背中から黒い翼が現れた。



「それで……、バクがバッタを食べればこんな高く跳べたり、クモを食べれば糸を伸ばせたり――」



 たった一回のジャンプで3メートルはある金網フェンスのてっぺんに立ったり、指から糸を出し、金網に引っ掛けて身体を引き寄せたり、縦横無尽に動いている。



「翼を出して、空を飛んだりとか」



 黒い翼を羽ばたかせて空中に留まる姿は、まさにさっき見た光景だ。



「もっと飛べないの?」



「姿勢を保つのがつらいんだよな。だから最近、鍛えてるんだけどさ。腹筋とか」



「ふうん。モテるためだと思ってた」



「驚かないのか?」



「もう、幽霊とか視たし、口から翼が出てきて飛ぶくらい……。ねえ?」



「アカリはキモが座ってるな。口をポカンと開くくらいもっと驚かせられるように、ワタシもがんばらなくては」



「驚かす方向にがんばらなくていいぞ、バク。とまあ改めて、オレをバクをお願いします」



 傷痕は消え、鋭く吊り上がった目じりは元に戻っている。



「うん、オッケー! じゃあ、お昼食べましょ」



 わたしたちはお弁当を食べ始めた。今朝の出来事とかの雑談を交えていると、あっという間に弁当箱はカラになった。青空の下で食べるのも楽しいな。



 みんなが完食したとき、明璃さんが言った。



「でも3人だけど……?」



「もしかして、やっぱり足りない? 部員」



「真島くんは?」



「たしか前に『軽音部に入って、カンペキな高校デビューを迎えるぞ!』って意気込んでた。いま体験入部とかじゃね?」



「んー、望み薄ね」



 ふたりとも、仲がいいんだ。下の名前で呼び合ってるし。それにしても、いままでクラブ活動には縁もゆかりもなかったから、誘われるだけでもうれしいなあ。こういうのにあこがれていただけに、協力したいな。



「あの……、まず同好会から始めるのはどうでしょう?」



 たしか、同好会なら部員が少なくても設立はできる、みたいなコトが生徒会の規約にあった気がする。



「それだ!」



「夕七ちゃん冴えてる!」



「あ、ありがとうございます……」



 ふたりとも喜んでくれた。あとは、順調に設立できれば……。



「そうすると、顧問の先生はどうしよっか」



「小林先生に頼もう!」



「決まったわね。じゃあ会長、ビシッと設立させて!」



「了解!」



 禅院くんは行ってしまった。きまずい。友達の友達への距離感がわからない。そもそも友達って、どの時点から友達って胸を張って言えるんだろう。



「――おーい、心の声、ダダ洩れだよ?」



「えっ……ああ。ごめんなさい。またやっちゃいました……」



「あははっ。ウソつけないのは大変ね。サトルと同じだ」



「そうなんですか?」



「うん。首のうしろを掻くのがクセで、わかりやすいんだから」



 きっと、明璃さんの前ではなんでもお見通しなんだろうなあ。



「あっ、サトルから連絡。……小林先生からはオッケーもらったけど、やっぱり人数が課題みたいね」



「そ、そうですか……。ごめんなさい、役に立たなくて……」



「動くきっかけを作ってくれたんだから、そんな落ち込むコトないよ! あっ、また連絡。……人が少なくても、実績があればあるいは……だって」



 オカ研に実績を求めるなんて……。でも、ここの高校は実績だらけ。わたしは視えないけど、花子さんにメリーさんもいる。それに――



「――あの、カッパを見せつければいいんじゃ?」



「朝、サトルとバトったっていう? なるほど……」



 あの絵本から飛び出してきたようなカッパを見てもらえば、きっと大丈夫、なはず。



「それをサトルに伝えておくね。きっと、すぐ動くから」



 あこがれのクラブ活動、うまくいきますように。



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