転生システム(3)
<<選択中:猫耳族(-1)、ダークエルフ(15)、アルビノ(-20)、紅眼族(2)、碧眼族(2)(合計:-2)>>
「できました!」
「これはまた……、ずいぶんと詰め込みましたね……」
少女が『担当者呼び出し』のボタンを押すと、一瞬画面に『しばらくお待ちください』と表示され、数秒後に戻ってきたラビが告げたひとことがこれだった。
「お客様……、お客様は種族に『アルビノ』を選ばれていますが、そのデメリットは……ご存じですか?」
「はい。 アルビノってたしか、肌がものすごく白くなる病気ですよね? エルフの40ポイントでは高すぎるので、ダークエルフ+アルビノで代用できるかな? と思っていたのですけど。 何か問題があるのですか?」
「いえ、私も『アルビノ』という種族について詳しくありませんので……。 ですが、マイナスポイントの種族には、マイナスがつくだけのデメリットがあります……。 なのである程度は覚悟しておいた方がよろしいかと……」
ラビの補足を聞いて少女は一瞬悩んだが、それでも脳内で完成した『美白黒髪猫耳オッドアイエルフ』の図をどうしてもあきらめることが出来ず、結局はデメリットを覚悟の上で次の画面に進むことにした。
<<③転生にあたって、ステータスを調整できます。>>
← 体力(1) → ← 知力(1) → ← 視力(1) → ← 運動神経(1) → ← 運動性能(1) →
←攻撃力(1) → ←防御力(1) → ← 知識力(1)→ ← 計算力(1) → ・・・
「ラビさん、一言だけ、良いですか?」
「はいお客様、なんなりと……」
「この画面、ものすっごく見にくいんですけど! どうにかならないんですか?」
「どうにか……なりますよ。 少し画面をいじらせてもらいます……。 どうですか? 多少は見やすくなったと思うのですが……」
今までは画面いっぱいいっぱいにステータスが羅列されていたのだが、ラビが画面をいじるとステータス調整の画面が大幅に改善された。
具体的には画面が横に3分割され、中央には選択中のステータス一覧や、数値設定を行うような画面が表示されている。
左側には選択可能なステータスの一覧が整理されてリスト化されていて、たとえば「魔力系」というボタンを押すと、「魔力」「魔法力」「魔力耐性」などの細かいメニューが表示される。
そして右側には現在のステータス状況の情報が表示されていた。
「ラビさん、少し贅沢を言って良いですか?」
「はい、なんなりと……」
「あの私、こういう細かい作業が苦手なんですけど、おすすめの設定を教えてもらっても良いですか?」
「それでしたら、『転生システム公認のおすすめ設定』を80ポイント分設定します……。
お客様は種族選択時の余剰ポイントが存在しますので、残りの22ポイントはお客様自身の手で設定をお願いします。
……もちろん、自動設定された値を減らしたり増やしたりしても、大丈夫……です」
「ありがとうございます、助かります!」
「この画面の次の画面に進みますと、『都市設定』の画面が表示……されます。
ですが……、どうせこちらの世界の『都市名』はご存じないと思われますので、私が今いる街を初期値に設定しておきます……。
こだわりがないのでしたら、次の画面の値はいじらずに『完了』を押してくださいね。 もちろん、質問等があればいつでも『担当者呼び出し』を押してもらえば駆けつけますが……」
「わかりました、どうもありがとうございます。 それでは私は残りのステータスを割り振りますね」
「いえいえ……こちらこそ。 こちらの世界に来てからも、わたしがお客様の『転生者サポート』になりますので、今後ともよろしくお願いします……」
そうして少女は最後に数時間、しっかり悩んででステータスを設定した。
もともとゲームなどはあまりやらない少女にとって、このステータス設定はまさしく苦行だったが、悩みに悩んで結局ステータスの大半を『視力』に費やすことでようやくポイントを消費しきることができた。
マシロ=ミト(水音 純白)
転生特典:視力(×10)
種族:碧眼紅眼アルビノダークエルフ(猫耳)
魔力:『70』
魔法力:『92』
魔力耐性:『103』
運動能力:『30』
運動神経:『29』
スタミナ:『31』
視力:『50』
「まあ、こんなもんでしょう。 それにしても異世界に転生ですか。
いずれにせよ『一度は終わった人生』です。 せいぜい二度目の人生を楽しむことにしますか!」




