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クエスト(6)

 マシロは、ラビに言われた通り一歩下がって戦いの様子を眺めていた。


 ウィスタリアは魔術の詠唱を始め、同時に体内に魔力を充填させていく。

 スミスは、ミッシェルを中心に6角形を描くように魔力を持った装置を配置し、ミッシェルはリトル・ワイバーンに向かって大声をあげる。

 リトル・ワイバーンは、ミッシェルの様子に気づいて訝しそうな表情を浮かべたが、ミッシェルのスキル『挑発』が発動した結果、ミッシェルに対して強烈な不快感を抱き、一直線に急降下を始めた。


 重力と魔力による二重の加速を得たリトル・ワイバーンの急降下の速度は、いともたやすく音速の壁を超える。

 人にとって死角となりやすい上空から超高速で迫る脅威に対し、ミッシェルは視覚では反応することすら叶わず……しかしその体は直感に従って()()()動いていた。

 リトル・ワイバーンの鋭い爪がミッシェルの体に触れるか触れないか。 ちょうどそれぐらいのギリギリの位置でミッシェルは身をひねって致命傷を躱し、同時にバク転をしながらリトル・ワイバーンから距離をとる。 その瞬間!


 スミスが仕掛けていた六芒星の魔術が発動。

 点と点を結ぶ線がリトル・ワイバーンを地上に縫い付ける。

 同時にウィスタリアも攻撃魔術を発動!


「『グラビティ……ストーム!!』」


 ウィスタリアが発動したのは、魔術の中でも最難関と言われる、重力系の初級魔術であるグラビティ・ストームだった。

 ウィスタリアにとっては成功率は8割弱の、いざというときに発動するには心許ない成功率だったが、その分威力は他の魔術とは比べものにならない。

 また、この魔術には対象の動きを鈍らせるという効果もあるため、ウィスタリアは賭けを承知でこの魔術を発動した。

 そしてその賭けは……成功した。

 重力の嵐は上下左右に重力場を発生させ、羽ばたこうともがくリトル・ワイバーンを妨害する。

 スミスとウィスタリアが全力で妨害するが、それでもリトル・ワイバーンを抑えられたのは5秒前後。

 その5秒で体制を直して力を貯め終えたミッシェルが渾身の一撃を放つ。


「『一刀……両断!!!』」


 ミッシェルの振り下ろす大剣は、リトル・ワイバーンの頭部に直撃し、リトル・ワイバーンは軽い脳しんとうを起こす。


「どうだ! これがオレの、全力の一刀両断だ!」

「ナイスミッシェル! ウィス隊長もナイスアシストだったよ!」

「スミスもね! いつの間にあんなすごい道具を用意してたの?」

「へへっ、あれが僕の秘密兵器さ! またこんど紹介して……」

「みなさん……油断しないで! リトル・ワイバーンはまだ……」


 ラビが三人に言ったように、リトル・ワイバーンは頭部にダメージを受けたため一瞬動きを止めたが、それでも数秒で再び動き始めた。 まだ上空に飛び上がるほどには回復していないようだが、二足でしっかりと立ち上がり、ラビも含めた()()に向かって怒りの眼を向けている。


「これは……まずい状態です。 私が引きつけますから、ウィスさんたちは退避を……」

「そんな、ラビちゃん先生を置いて逃げるなんて! 私にはできないよ!」

「ウィス隊長、落ち着いて。 僕たちが一緒にいても足を引っ張るだけだよ」

「そうだぜ……ウィス隊長。 悔しいが俺らじゃもうどうにも……クソッ」


 立ち上がったリトル・ワイバーンは口腔に炎の魔力を蓄え、勢いよく吹き出そうとして……その瞬間、前のめりに倒れ込んだ。


「ラビさ~ん、それと、みなさ~ん。 うまくいきました~」


 倒れたリトル・ワイバーンの背中には、解体用のナイフを片手に、ラビ達に向かって手を振るマシロがいた。


「……え、マシロさん!? 一体何が?」

「なにって、ちょっと隙を突いて背中に上って、ラビさんにもらったナイフでブスリと。 ……あれもしかしてわたし、何かまずいことをしました?」

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