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ドルイドの剣と獣耳(番外編)

 クロード・ギネヴィアの荒い息が聞こえる。

「ね、ねえ、クロード、大丈夫?」

 スカーレットは怯えた声で彼の名を呼んだ。来るな、という低い声が聞こえる。スカーレットは心臓を鳴らしながら、そっとそちらへ向かった。クロードがうずくまって、頭を抱えている。その傍には、剣があった。


「──っ!」


 スカーレットは、クロードの姿を見て悲鳴をあげた。


 ★


 王の選定会議が終わって、二週間が経った。庭の薔薇は、見頃の終わりを迎えている。スカーレット・ランカストラルは、東屋の下、こう言った。


「死の宣託について考えてみたの」


 真顔ながら、その膝にはうさぎのぬいぐるみ。唇にはクッキーがついている。クロードは呆れながら彼女をみた。


「口にクッキーがついてるぞ」

「もう、話の腰を折らないで」

「そうだそうだ」


 むくれるスカーレットに同調するのはルドルフだ。彼はにこやかにスカーレットを覗き込む。


「私がお取りしましょう。こっち向いてください」


 クロードは、不機嫌にルドルフの頭を押しのける。


「自分でとれ、それくらい」

「おやっ、クロードくんってばヤキモチですかあ?」

「誰がだ」


 二人の騎士に割り込むようにして、スカーレットは分厚い本を置いた。もうもうと埃がたち、クロードとルドルフが仲良く咳き込む。彼らは、スカーレットが開いた本を覗き込んだ。


「なんだこれ」

「人を殴り殺せそうな厚さですね」

「これはブライトンの歴史書よ。調べた結果、こんな記述が出てきたわ」


 スカーレットは分厚い本に挟んだしおりを抜き取り、


「『初代ギリアス・ヨークシャーは、占星術師であり、その能力で己の死を予言した。彼は「ドルイドの剣」により、死を回避したのである」

「ドルイドの剣?」

「直訳すると「司祭の剣」ですね」


 とルドルフ。スカーレットは頷き、


「ほら、裁きの間に像があるでしょう? 霧を晴らし、真実をあらわにする剣。あの像が持ってるのがそうよ」

「あれは架空の剣じゃないのか」


 クロードはそう言って、フルーツサンドを食べる。


「たしかに。初代まで遡るとなると、もはや神話みたいなものですしね」

「でもミアレスは初代を呼び出したわ。実在した人物なんだから、この記述もまるきり作り話ってことはないでしょう?」

「ソウダヨ、スカーレット!」


 スカーレットは膝に乗せたジョセフを喋らせた。クロードは冷めた目でそれを見て、


「手がかりはそれだけか?」

「私ね、ルカリアに手紙を書いたの」


 その言葉に、騎士二人がぴくりと肩を揺らした。クロードが苦々しげに言う。


「ルカリア・ヨークシャー? あいつに頼るのか」

「だって、こういうのはルカリアの方が詳しいでしょう? 手紙を出したのは5日前だから、そろそろ返事が来る頃なんだけど」


 スカーレットはそわそわと回廊を見た。


「スカーレットさまがルカリア様からの手紙を心待ちにしている……!」


 ルドルフがギリィ、と歯噛みした。クロードは横目で彼を見る。


「そんなに羨ましいなら、おまえも書いたらどうだ」

「ええ、そうしますよ。姫様、今日から私と文通を!」


 スカーレットは彼らの会話を受け流し、あっ、と声をあげた。手紙らしきものを持った従者が回廊を渡ってくる。こちらに近づいてきた従者が、クロードたちの表情を見てびくりとした。


「あ、あの、なにか?」

「それ、私によね? ありがとう」


 従者はスカーレットに手紙を渡し、そそくさと怯えた顔で去っていく。スカーレットは手紙を開き、読み始めた。


「姫さま、何が書いてあったんですか?」


 ルドルフが悔しげな表情で尋ねる。スカーレットは眉を下げ、


「死者を呼び出して尋ねれば簡単だけど、リスクが伴う。白薔薇としては、安易にそちらに協力するわけにはいかない、だって」

「当たり前の返答だな」

「友人として協力するのは可能だから、うちに遊びにおいで、だって」


 その言葉に、クロードとルドルフがぴくりと肩を揺らす。ルドルフがばっ、と両腕を交差させた。


「剣を餌に家に来させるとはなんて卑怯な……姫さま、行ったらダメですよ!」

「行かないわ。ミアレスのこともあるし……」


 ミアレス・ヨークシャーはルカリアに複雑な感情を抱いている。だから、彼女はスカーレットがルカリアに近づくことに拒否反応を示すのだ。


「そうです、彼は妹に平気でキスする異常な性癖の持ち主です。「お兄ちゃん大好き♡」とか言わされますよ」

「お兄ちゃん、大好き?」


 スカーレットが反駁すると、ルドルフがハッとした。


「い、今のもう一回言ってください」

「え……? お、お兄ちゃん、大好き」

「もう一回! もう一回だけ! 痛っ」


 クロードはルドルフの頭を叩いた。


「落ち着け」


 ルドルフはもう一度ハッとし、額をぬぐった。


「ふう……危うく変態の道が開かれるところでした」

「その道はすでに歩んでるだろ」


 それで、どうする? クロードが言った。スカーレットがうーん、と唸ると、ジョセフが喋り出した。


「像ヲ見にイコウヨ!」

「像ってなんの?」


 スカーレットが尋ねると、ジョセフが手を動かした(実際には、スカーレットが彼の手を動かしたのだが)


「裁きの間にアル像ダヨ! ナニカ手がかりがあるカモ!」

「さすがジョセフ! すごいわ!」


 そのやりとりを見ていたクロードは、平坦な声で言う。


「スカーレット、そろそろ茶番はやめないか」


 スカーレットは、キョトンとした。


「茶番ってなに?」

「ああ、ハイハイ」


 ルドルフはうっとりしている。


「姫さま可愛いなあ……」

「ハイハイ」


 そんなわけで一行は、裁きの間に向かった。裁きの間は、汚職をした高官などを諮問にかける場所だ。部屋の真ん中に椅子があり、そのぐるりを卓が囲っている。ルドルフは中央の椅子を眺めて呟く。


「うーん、あそこにだけは座りたくないですねえ」

「まあ、騎士が座ることはまずないだろ」


 クロードはそう言って、入り口近くにある像を見上げた。


「これがドルイドの剣か。持ってるのは誰なんだ」

「初代国王に使えたベルマン・ゲーリングっていう騎士よ。彼は主に官吏たちの更迭を行なったと言われてる」

「そりゃあさぞ嫌われたでしょうねえ」

とルドルフ。

「騎士が官吏を更迭?」


 クロードが何か言いたげにこちらを見た。スカーレットは言葉を濁す。


「彼は……その剣で多くの官吏を葬ったと言われているの。公的に、あるいは秘密裏に」

「なるほど、仕置人ってやつですね。気に入らない奴は皆殺し。うーん、潔い」

「ただ、ギリアスの死後は王宮に居場所がなくなり、姿を見せなくなったそうよ」

「諸行無常ですねえ」


 頷くルドルフに対し、クロードが口を出す。


「待てよ、要するにさっきの本に書いてあったのは、ベルマンはギリアスの脅威を実力行使で削いできたってだけのことか?」

「あ……かな?」

「じゃあ、なんのヒントにもならないな」


 クロードがため息をつくと、ルドルフが笑みを浮かべた。


「姫さまの敵は皆殺しにすればいいってことでしょう」

「やめろ。おまえが言うと本気に聞こえる」

「えっ、本気ですよ?」

「……」


 ──あれ? スカーレットは、違和感を覚え、身をかがめた。足もとから、スースーと涼しい風が吹いてきた気がしたのだ。そこを指差し、


「なんかここ、隙間がある」

「え?」


 ルドルフはスカーレットの視線を追い、本当だ、と言った。そちらに手をかざし、


「えらく冷たい空気だな……下に何かあるのかな?」

「ちょっと下がれ」


 クロードはスカーレットを下がらせ、像を横向きに押した。がこん、と音がして、ずずず、と像が動く。スカーレットはわっ、と声をあげた。像の下から現れたのは、下へと続く石段だったのだ。ルドルフがにやにやしながら、


「クロード君てば筋力を見せつけちゃってやな感じですね」

「うるさい」


 彼はスカーレットに目をやり、


「どうする?」


 スカーレットはぎゅっとジョセフを抱きしめ、卓上に置いた。それからクロードに向き直る。


「行くわ」

「よし。おまえはここにいろ」


 クロードに告げられ、ルドルフは膨れた。


「えーっ、やだやだ、ルドルフも行くー!」

「駄々をこねるな、気持ち悪い。像を戻されたらどうするんだ。見張りが必要だろう」


 彼はむくれて、


「ちぇ、わかりましたよ。ただし──」


 クロードに何かを囁いた。クロードは眉を寄せ、ルドルフの頭を叩いた。


「痛っ」

「さっさと行くぞ」


 クロードはそう言って、スカーレットを先導する。スカーレットはルドルフを拝んだ。


「ごめんね、ルドルフ。何があったか後で話すから」

「いいえ。こんな時のための第二騎士ですから。ジョセフとお留守番していますよ」


 ルドルフはジョセフを抱いてにっこり笑う。スカーレットがクロードを追って歩き出そうとしたら、


「姫さま」


 ルドルフが片目をつむってこう言った。


「狼にはご用心を」



 地下へ足を下ろすと、ひやりとした空気が身体を包んだ。クロードは懐からマッチを出し、壁に掛けられた燭台を手にした。わずかに残っていたろうへ火を灯す。ぼんやりした明かりを頼りに、クロードとスカーレットは進む。スカーレットはクロードの後頭部を見ながら、ねえ、と話しかけた。


「なんだ」

「ルドルフが、オオカミには用心しろ、って言ったの。どういう意味かしら?」


 クロードがぴたりと足を止める。


「……あいつが意味不明なのはいつもだろ」

「たしかに……へくし!」


 スカーレットがくしゃみをしたら、クロードが上着を脱いで、彼女にかぶせた。


「いいよ、クロードも寒いでしょ」

「おまえに風邪ひかせたら、ルドルフがうるさいからな」

「ありがとう」


 スカーレットは上着の前を引き寄せ、はにかんだ。クロードの匂いがする……って、なんか私変態みたい。顔を赤らめたスカーレットは、誤魔化すように言った。


「でも、ここって何のための場所なんだろうね」

「大体予想はつく」


 クロードは、足元にあるものを持ち上げた。何かが明かりに照らされる。白くて、細くて……。スカーレットは目を凝らし、ひい、と悲鳴をあげる。


「ほ、骨」


 クロードは頷き、骨を投げ捨てた。空虚な音をたて、骨が地面に落ちる。


「ベルマンは、始末した人間をここに放り込んでたんだろう」


 スカーレットはごくりと唾を飲む。クロードはちらりとこちらを見た。


「引き返すか?」

「う、ううん。手がかりがあるかもしれないし」


 スカーレットは彼のシャツをしっかり握りしめて言った。


「離せ。歩きづらい」

「あ、ごめん……」


 クロードはシャツから離れたスカーレットの手を握った。


「さっさと行くぞ」

「うん」


 スカーレットはほっ、と息を吐いた。先を歩く、金の頭を見つめる。この人といると、安心する。なにがあっても大丈夫だって思える。ふと、母の言葉が蘇った。あなたもいつか出会うわ。あなたを守る、オオカミさんに──。


 その時、クロードが急に立ち止まった。スカーレットは彼の背中にぶつかって呻く。


「うう、なに?」

「なんだ? あれ」


  視線の先には、箱が一つ置かれていた。スカーレットたちは、箱に近づいて行った。見た目にはなんの変哲もなく、経年劣化で塗装が剥げかけている。スカーレットが手を伸ばそうとしたら、クロードがそれを阻む。


「待て、俺が開ける」


 持ち上げると、蓋はなんなく開いた。埃がたち、二人は咳き込む。


「……剣?」


 箱の中には、剣と小さな冊子が入っていた。スカーレットは冊子を手にする。パラパラめくると、日付が書いてある。表表紙には、G.Bとイニシャルが記載されていた。


「G.Bって……バルマン・ギーリング? これ、バルマンの日記かしら」

「じゃあ、これがドルイドの剣か」


 クロードは、剣を持ち上げた。彼は剣を見聞し、


「べつに、普通の剣だな。よく手入れされてるが、変わったところは……」


 その時、彼がハッとした。いきなり剣を投げ捨てる。スカーレットはギョッとした。一体どうしたというのだ──。クロードは、頭を抱えて呻き出す。


「クロード!?」


 手を伸ばそうとしたスカーレットから、クロードが後ずさる。


「来るな!」


 彼は壁に手をつき、何かを堪えるように唸った。しばらくして、呻き声が消える。


「ねえ、クロード、大丈夫?」


 スカーレットは、そっとクロードの肩に手を置いた。彼がこちらを向く。


「──!?」


 スカーレットは思わず悲鳴をあげた。


「かっ……かわいいっ……」

「は?」


 クロードの頭には──オオカミの耳が生えていたのだ。


 ★


 ──オオカミにはならないでくださいね、クロード君。地下に入る前、ルドルフにそう言われた。何をバカなことを言ってるんだ。その時はそう思ったのだが──裁きの間に、ルドルフの爆笑が響いた。


「アッハッハッハッハッ」

「わ、笑いすぎよ、ルドルフ」


 スカーレットが含み笑いをしながら言う。クロードは憮然としてルドルフを睨んでいる。頭には大きな獣耳が生えていて、不機嫌そうにピクピク動いていた。


「かわいいですよ、ブフォ」

「殺す」

「落ち着いて、クロード!」


 スカーレットは、剣を抜こうとするクロードを留めた。


「俺は落ち着いてる。騒いでるのはおまえらだろう」

「だってかわいいから」

「可愛くない。気持ちが悪い」


 クロードはぐいぐい獣耳を引っ張っている。


「だめよ、無理に引っ張ったら」


 スカーレットは彼のオオカミ耳に触れ、目を輝かせた。


「うわあ、ふわふわ」

「私にも触らせてくださいよwww」


 クロードは、彼らを黙って押しのけた。


 頭に布を被せたクロードは、なんとかして騎士寮にたどり着いた。ついてこようとするスカーレットを留め、自室へ向かう。ベッドに腰掛け、息を吐いた。戸口に立ったルドルフが、にやにや笑っている。


「いやー、まさか本当にオオカミになってしまうとは」


 あんなことをした報いですね。クロードは、その言葉に耳をぴくりと動かした。ルドルフをぎろりと睨みつける。


「どういう意味だ」

「ほら、紅薔薇の祝いの会で。ちゃーんと見てましたよ。姫さまに不埒な行為をしたでしょう」


 クロードは黙り込んだ。


「……見てたのに、割り込まなかったのか」

「不意打ちでしたからねえ。あれ以上したらヤドちゃんが大活躍するところでしたが」


 ヤドちゃんとは、ルドルフの飼っている毒ガエルの名前だ。


「地味に毒殺予告をするなよ」

「で、どうするんです。その頭で姫さまの護衛をする気ですか」

「べつに、これ被ってればバレないだろ」


 クロードは布を示す。


「一生ですか?」

「馬鹿言うな。一生この頭でいる気はない」

「大体、なんでそんなことになったんです」


 クロードは、ドルイドの剣を手にした。


「これを持ったら、頭に激痛が走って……」


 気がついたら、こんなものが生えていた。クロードは、刃面に映り込んだ自身を見て眉を寄せた。見れば見るほど間抜けな耳だ。


「ちょっと失礼」


 ルドルフは、剣を持ち上げた。彼は剣を振ったり掲げたりして、


「べつに何も起こりませんけどねえ」


 クロードは、腕の痣に目をやる。自分に憑いているものが、何か関係しているのだろうか。


「ま、安心してください。しばらく姫さまの護衛はこのルドルフがしますので」


 ルドルフはウキウキと言う。


「おまえ、やけに嬉しそうだな」

「言ったでしょう? チャンスは掴んでいく、それがルドルフ・アーチャーです。このすきに開いた差を埋めますよ!」

「妙な真似はするなよ」


 ルドルフはにっこり笑い、


「ええ。ルドルフはジェントルマンですからね。間違っても姫さまの手を舐めたりしませんよ」

「……」

 バタン、と扉を閉めた。


 ☆


 スカーレットは、騎士寮の前をうろうろしていた。ルドルフが出てきたので、慌てて駆け寄る。


「お待たせしました、姫さま。野獣化したクロード君にかわり、今から真夏の太陽ルドルフが姫さまをお守りします」

「クロード、落ち込んでた?」

「え? ああ、まあね」


 スカーレットはしゅん、とする。


「私のせいだわ。私があそこに行こうって言ったせいで」

「姫さまのせいじゃありませんよ」


 彼はそう言って、スカーレットの手元に視線をやった。


「そんなことより、それは?」

「ああ、剣と一緒にしまってあったの。多分、バルマンの日記だと思う」

「ほう」


 スカーレットはルドルフと共に、ベンチに腰掛けた。パラパラとページをめくり、


「これ、何語かしら」

「ケルド語じゃないですかね。昔の言語です」

「へえ。ルドルフ、読めるの?」

「全然★」


 ルドルフはそう言って、


「まあ、読めないものは仕方ありませんね。ジョセフと三人でお茶でもしましょう」

「おい」


 その声に振り向くと、クロードが立っていた。頭には、布を被っている。


「おや、ほっかむりくん。どうかしました?」

「妙なあだ名をつけるな」


 クロードはそう言って、日記に視線を落とした。


「五月二十五日、紅薔薇派セルジュ次官を捕縛……」

「えっ、クロード読めるの?」

「読めないが、なんとなくわかる」

「さすが、獣化すると言語の壁を越えるんですかねえ」


 クロードは日記をめくっていたが、ため息をついて放る。


「ひたすら反ギリアス派の粛清について書いてある。妙な耳が生えたなんて記述はない」

「残念でしたね。ハウス!」

「おまえが帰れ」


 わいわい騒いでいたら、のんびりした声が聞こえてきた。


「おー、何してんだおまえら」

「あ、騎士団長」

「ん? 何被ってんだよ、クロード」


 彼はクロードの頭にある布を取り去り、キョトンとした。こちらを指差して爆笑する。


「なんだそりゃ、あははははははは」

「笑うな」

「チビの頃に生えてたら可愛かったろうなあ」


 楽しそうに笑うに、スカーレットは尋ねる。


「ねえ、ドルイドの剣について何か知らない? クロードの頭がこうなった原因なの」

「ドルイド? ああ、バルマンのか」


 彼は腕組みをし、


「あの時代になるとほとんど資料もないしなあ。剣なら、銘があるんじゃないか」


 スカーレットたちは、ドルイドの剣に目を凝らした。かすかに消えかかった銘を、ルドルフが目を凝らしてみる。


「イニシャル的なものがありますよ。これは……H.K……ですかね?」

「H.Kな。知り合いの鍛冶師に聞いてみるわ」


 クロードの肩に手を置いた。


「ま、がんばれ」

「何をだよ」

「おー、よしよし」


 ぐしゃぐしゃ頭をかき回され、クロードはそれをはねのけた。


「さわるな。殺すぞ」

「聞いてくれよルドルフ、うちの子すぐ殺すとか言うんだよお」

「反抗期でしょう。時期が過ぎれば子犬のように大人しくなりますよ」


 モーリスとルドルフがひそひそ話しをする。クロードの耳の毛がピリピリと逆立っているのに気づいて、スカーレットは慌てた。


「二人とも、その辺にしたほうが」


 クロードはドルイドの剣を構えた。


「これは悪しきものを切り裂く剣らしいぞ。おまえらも粛清してやろうか」

「きゃーっ」


 モーリスとルドルフが笑いながら逃げ出した。クロードはため息をつき、剣を収めて歩いて行った。


「おやおや、怒らせちゃいましたかね」

 ルドルフは、クロードを見送って言う。

「さあ、姫様、お茶をしましょう……っていない!?」



 スカーレットは、クロードを探して歩いていた。ふと、訓練所から見下ろすと、眼下に金の頭が見えた。スカーレットはそちらへ向かった。


 大きな木の下で、クロードが寝転んでいる。隠すのが面倒になったのか、オオカミの耳が露わになっていた。スカーレットはそちらに近づいていき、彼の顔を覗き込んだ。


 クロードは気づいたはずだが、まぶたを開こうとしない。スカーレットはジョセフの手で、ちょいちょいと彼の頰に触れる。


「怒っテルノ?」

「……べつに」

「その耳とってもカワイイヨ! ねえスカーレッ「茶番やめろ」


 彼は遮るように言って、こちらに背を向ける。スカーレットは、彼の背に寄り添うようにして寝転んだ。さわさわと、草木が風に鳴っている。クロードが口を開いた。


「……汚れるぞ、ドレス」


 スカーレットは、彼のシャツを掴んだ。


「ねえ、私、クロードがオオカミでも気にしないわ」

「オオカミじゃない。耳が生えただけだ」

「どんな見た目でも、あなたは私を守ってくれるだろうから」


 それにかわいいし──って言ったら怒るかな。クロードがポツリと口を開いた。


「……カエルの王子、って童話知ってるか」

「カエル?」

「カエルになる呪いがかかった、王子の話。カエルの姿で女に迫ったら、壁に投げつけられて、呪いが解ける」

「す、すごい話だね」

「普通は死ぬよな」


 クロードは、かすかに笑った。彼が笑うのは珍しい。スカーレットはドキドキしながら言った。


「わ、私、あなたを投げつけようか!?」

「無理だろ」

「でも、何かしたい」


 彼はこちらを向いた。


「……その話、呪いが解けるパターンがもう一個ある」

「なに? 高い塔から突き落とすとか?」

「死ぬだろ」


 クロードは、スカーレットをじっと見つめる。


「クロード?」

「目、閉じろ」


 言われた通りにしたら、吐息が唇に触れた。何か柔らかいものが、スカーレットの唇に合わさる。

 ──え。

 スカーレットは目を開いた。青い瞳がこちらを見ている。彼は自身の獣耳をちょい、と触り、


「解けなかった」

「……!?◇△×◯※」


 スカーレットは唇を押さえ、後ずさる。い、いま、キス……した!?


「姫さま〜ルドルフを置いて行かないでくださ」


 やってきたルドルフは、真っ赤になったスカーレットを見て足を止めた。クロードにひやりとするような眼差しを向ける。


「……何かしました?」

「べつに」


 クロードはしれっと答えた。ルドルフはスカーレットをクロードから遠ざけながら、


「姫さまー、あの男に何かされたんなら言ってくださいねー。ルドルフが2度とおいたできないようにしますから」


「な、なんにも、ないよ! ねえっ、ジョセフ」

「ソソソウダヨ、ナニモナイヨ」


 スカーレットは真っ赤な顔でかぶりを振った。ルドルフは、その様子を見て声を低くする。


「……クロード君、その耳が異常にムカついてきたので、切り取っていいですか」

「やってみろよ」


 クロードが剣を構える。御誂え向きに風が吹いて、草がざああ、と音を立てた。スカーレットは慌てた。


「ちょっ、喧嘩はやめようよ!」

「ソウダヨ、やるならトランプにシヨウヨ!」


 スカーレットとジョセフの台詞は、難なく無視された。ルドルフが繰り出した刃を、クロードが受け止める。双方の刃がカチカチと震えた。彼は眉をあげ、


「割と本気だな」

「ホイホイ手出しやがって……こっちが何年越しの想いか知ってるんですか」

「だらだら片思いして八年だろ」

「クッソむかつく」

「おまえ、本性でてるぞ」


 ルドルフは張り付いた笑みを浮かべ、


「ははは、私はいつもにこにこ明るく楽しい騎士ですよ」


 クロードはピクピク耳を動かした。


「どこがだ。しねって感情に溢れてるぞ」


 要するに、とルドルフが言った。彼は足払いをして、クロードを地面に倒す。笑顔で剣を振り上げた。


「この耳が悪いんだな……切り取らなきゃね」


 クロードはルドルフが剣を振り下ろす前に、その膝を蹴り飛ばす。

 なんか二人ともおかしい……。スカーレットはそう思った。クロードとルドルフの「顔」が、いつもと違うのだ。殺気立って、ギスギスしていて──。


 原因は、あれしかない。スカーレットは、クロードが腰に差している剣に目をやった。


「……」


 あれを奪い取れば──。

 スカーレットは、クロードの後ろに回り込み、そうっと近づいた。


「うりゃあ!」


 スカーレットは剣の柄に飛びついた。よし! そう思ったのもつかの間、反動でぶん、と跳ね飛ばされた。


「──!?」


 剣ごと吹き飛ばされたスカーレットを、クロードとルドルフが振り向く。スカーレットはゴロゴロ転がっていき、壁に激突した。


「うぐ……」


 逆さまの視界に、駆けてくる二人の騎士が映り込む。


「おい、何してんだ!」

「姫さま、大丈夫ですか!?」

スカーレットは、二人の手をぎゅっと握りしめた。

「喧嘩はだめ」


 ルドルフが苦い顔で頭を下げる。


「……申し訳ありません。無性にクロード君の耳を引きちぎりたくなりまして」

「ああ。いつも以上にこいつの顔がイラついた」


 クロードはそう言う。二人とも、いつもの顔に戻っている。スカーレットはほっと胸をなでおろし、剣をぎゅっと抱きしめた。


「この剣をクロードが持つのは危険ね。私が預かるわ」



 スカーレットは自室に戻り、ベッドに腰掛けていた。窓ガラスに映り込んだ自分を見て、かーっと赤くなる。ついさっき、クロードに口づけされたのだ。ぶんぶんとかぶりを振る。


(あ、あれはきっと、剣の魔力的な何かが作用したのよ……!)


 ジョセフを膝に置き、落ち着こうと努めた。


「スカーレット、ドウシタの、真っ赤ダヨ」

「ち、違うの。この部屋暑いから!」

「今日は涼しいケド……」


 その時、ノックの音が聞こえた。


「モーリス」


 モーリスは懐から紙を取り出し、こちらに差し出した。


「H.Kが誰かわかったぜ。キャリー・ヒューズ。騎士団お抱えの鍛治職人だ。ここに書いてあんのは、その子孫がやってる店」

「ありがとう」


 スカーレットが紙を受け取ろうとしたら、ひょい、とかわされた。


「で? あの剣はどこから見つけた」

「裁きの間から見つかったの。死の宣託を回避するには、あれが必要らしくて」


 しかし、クロードには耳が生え、二人とも変になって……。


「あんまりいい剣じゃないかもしれない」

「そっか」


 モーリスはこめかみをかき、


「ま、何かあったら言えよ。俺は姫さまの味方だし」

「ありがとう」


 スカーレットは、差し出された紙を受け取った。


「あのおっさん、たまには役に立つな」

 振り向くと、布を被ったクロードが現れた。

「クロード。ルドルフは?」

「あいつは反省中だそうだ」

「反省?」

「おまえを困らせたからだとよ」


 彼はそう言って、スカーレットに行くぞ、促した。二人は馬車に乗って城下町へ向かった。地図にあった鍛冶屋は、路地に面した小さな店だった。スカーレットたちが店に入ると、中にいた人物がこちらを見た。


「王家の方か」

「なんでわかった」

「わかるさ。あの馬車の文様。ランカストラルの赤い薔薇。この辺の貴族で、同じ文様を使う馬鹿はいない」


 で? と彼は尋ねた。


「何の用だ」

「あんたの祖先が、これを作ったと聞いた」


 鍛冶屋は何の気なしに剣を受け取り、はっとした。


「これは……」


 彼は奥に引っ込み、持って来た紙を広げた。


「キャリー・ヒューズの剣だ。王宮お抱えの鍛冶屋だったが、この剣を作って引退した」

「これがどんな剣か、あんたは知ってるか」


 薄々はな。鍛冶屋はそう答えた。


「バルマン──ギリアス王の冷徹な懐刀。逆を言えば、汚いこと全てを背負わされた哀れな犬」

「犬なんて」

「犬は従順で賢い。ただ飼い主に褒められるためだけに生きて、死んだら目的を見失う」


 クロードは、じっと話を聞いている。


「その剣に、不可思議な力が秘められているということは?」


 鍛冶屋は図面を指でなぞり、ありえるな。と言った。


「この剣は、普通の剣だった。しかし──バルマンに使われるうちに、普通ではなくなったんだ」

「そんなことが、あるんですか」

「ああ。妖刀という言葉を?」

「聞いたことがある。曰く付きの剣は、持ち主に不幸をもたらすんだ」


 クロードが言った。鍛冶屋は頷く。


「死の首飾りだの、座ったら死ぬ椅子だの、そういう類と同じだ。忌まわしい記憶を持つ品物は、同じような出来事を引き起こす」


 クロードは、頭から布を取り去った。鍛冶屋がギョッとしてクロードを見る。


「な、なんだ、あんた」

「──俺には、獣性の何かがついてる。その剣が血を呼び起こしてるのなら、剣を持つのは危険だと思うか」


 クロードの言葉に、鍛冶屋が肩をすくめた。


「……さあね。俺はただの鍛冶屋だ。あんたに使いこなす自信がないなら、持つべきじゃないとだけ言っておく」

「なるほど。わかった」

「廃棄するなら預かるぞ」


 鍛冶屋が差し出した手を、クロードは避けた。


「俺がこいつを扱えないと、スカーレットが死ぬかもしれない」


 スカーレットは、クロードを見上げた。


「あんたも犬ってわけか」

「オオカミだ」

「まあ、なんでもいいが。そのままじゃ使えないだろう。打ちなおそう」


 クロードは、鍛冶屋に剣を手渡した。スカーレットは店を出て、いいの? と尋ねた。


「耳、消えないかも……」

「構わないんだろ、どんな見た目でも」

「うん」


 クロードはふ、と笑い、スカーレットの髪をかき回した。


 ★


 明かりが古びた日記を照らしている。クロードは自室のベッドに座り、ページをめくっていた。


「五月三日。なぜだか剣を持つと頭が痛くなる。今日はハミスを処断しなければならない……」

「六月四日。ギリアス様が私の働きに感謝してくださった。先ほど斬った男の悲鳴が、鼓膜に反響している」

「私は国のため、正しいことをしている。なのに、枕元には毎夜斬った友人が現れる」


 バルマンは徐々に錯乱しているようだった。文字に力がなくなり、内容も支離滅裂になっていく。最後にはこんな記述があった。


「もうこの剣を持つ必要はない。私の主は天に召された。剣を持たない私は、これからなんのために生きていけばいいのだろう」


 クロードは日記を閉じ、ベッドに寝転がった。どこかから、オオカミの遠吠えが聞こえた。クロードはいつもより聴力の増した耳を伏せる。目を閉じる寸前、明かりがほのかに揺れた気がした。



 クロード・ギネヴィアには、繰り返しよく見る夢がある。昔、森に置き去りにされた夢。それから──スカーレットが死ぬ夢。どちらも嫌な夢だ。見たくもない夢を、なぜ何度も見るのか。わからない。


 ──今日の夢は、いつもと違う。見知らぬ真っ白な部屋。目の前にいるのは、部屋に劣らぬくらいに白い青年。美しい顔立ちだが、だからこそ眼帯が異様にうつる。ヨークシャーの実質的な党首、ルカリア・ヨークシャーだ。彼は紅茶を蒸らしながら、


「いい香りだね。僕はアールグレイが一番好きだ」

「なんだ、おまえ」

「なんだ、とはご挨拶だな。夢なんだからふさわしい挨拶はこんばんは、だろう?」

「教養がないもんでね」


 ルカリアは足を組み、


「夢を見る心理って知ってるかい、クロード・ギネヴィア」

「知らん」

「強く思うか、強く嫌うか。いずれにせよ、君が無意識のうちに考えてしまうものが顕在化する。それが夢だよ」

「この場合は後者か?」


 その言葉に、ルカリアは笑った。


「君は面白いほど無礼な騎士だね」

「育ちが悪いんでね。で、何の用だ」


 ルカリアは紅茶をカップに注ぎ、一口飲んだ。


「君についているものが何か、ということ」


 クロードは、ぴくりと肩を揺らした。


「……わかるのか、これが何か」

「教えてください、という言葉を知らないのかな」

「教えてクダサイ」


 棒読みで言ったら、ルカリアはふ、と笑った。


「オオカミ王の精霊」

「精霊……」


 クロードは、森で見たオオカミを思い出していた。やはりあれは、ただのオオカミではなかったらしい。


「ソレは悪いものではない。しかし危険な力だ。精霊の力は、君の意識に引きずられる」

「どうすりゃいい」

「簡単だ。君がしっかりしていればいいのさ」

「……」

「スカーレットを守るか殺すか、それは君次第だ」

「しっかりしてればいい? えらく抽象的だな」

「目に見えないものにこそ意味がある」


 彼がぱちん、と指を鳴らすと、見えない何かがクロードの頭を叩いた。鈍い痛みが走る。


「!」


 心なしか、頭が軽くなった気がした。


「僕が気に入った薔薇を噛むとは、不埒なオオカミだ」


 その囁きと共に、視界が真っ白になった。



 ☆



 朝日が赤い髪を照らしている。スカーレットは身じろぎして、瞳を開いた。ジョセフのつぶらな瞳が、こちらを見ている。


「おはよう、ジョセフ」


 ジョセフを抱え、自室を出たら、ルドルフが立っていた。彼は珍しく神妙な顔で礼をし、


「姫さま、先日は取り乱して大変失礼いたしました」

「ううん、わかってるよ。ルドルフは優しいもん」


 ルドルフは照れ笑いをし、


「姫さまが虐げられていたら激おこですが」


 スカーレットは、キョロキョロ辺りを見回し、


「ところで、クロードは?」

「寝坊ですかね。今のうちに二人きりのラブラブモーニングを食べましょ、ぐはっ」


 いきなりルドルフの頭が揺れた。


「ルドルフ!?」

「頭に蠅が湧いてたから退治しといてやったぞ」

「どんな状況ですかソレ」


 背後に立っていたのはクロードだ。スカーレットは、彼の頭を見てハッとする。


「あれっ、耳……」


 オオカミの獣耳が、なくなっていたのだ。クロードは頭を撫で、


「起きたら消えてた」

「ちょっともったいなかったね」

「は?」

「可愛かったから」


 ふふ、と笑ったら、クロードが眉をしかめた。


「あんたに可愛いって言われたくない」

「褒めてるのに」

「気にしてないんだな、アレ」


 アレ──キスのこと?


「俺は犬じゃない。もっと警戒しろ」


 スカーレットは思わずクロードを見た。彼はふい、と視線をそらす。ルドルフが叫んだ。


「あーっ、今ルドルフの目を盗んで姫さまを口説きましたね!?」

「何言ってんだ」

「言っときますが、私は第一騎士の座を譲っただけであって、姫さまご寵愛の座は譲ってませんからね! この先十年、いや二十年先、姫さまに一番愛されるのはこの私、ルドルフ・アーチャーです」

「うるさい」


 足が長いので、クロードとルドルフはさっさと先に行ってしまう。


「ま、待ってよ二人とも」


 スカーレットは慌てて彼らを追いかけた。つんのめって、倒れかける。左腕をルドルフ、右腕をクロードが掴んだ。


「なんで何もないのにこけるんだよ」


 クロードが呆れ気味に言う。ルドルフがスカーレットの頰を突いた。


「姫さまってばドジっ子でかわいい★」

「真夏の太陽に馬鹿にされてるぞ」

「こっ、こけてないわ。助走をつけたの。ねえ、ジョセフ」

「ソウダヨスカーレット」

「はいはい」

「ムキになるとこも銀河点が出るほどかわいいです」

「言ってろ」


 クロードはスカーレットの右手をとった。


「あー、右側の金髪がいなければ至福の朝なんですけどねえ」


 ルドルフはジョセフを抱え、スカーレットの左手をとる。スカーレットははにかんだ。二人の手を握りしめ、


「今日の朝ごはん何かな?」

「ルドルフ的にはクッキーがいいです。姫さまにあーんしてもらえたら死んでもいい」

「じゃあ死ねよ」

「ははは、クロード君てばツンデレ★」

「死んじゃいやよ、二人とも」

「もちろん、死んだら姫さまを守れませんから」


 ルドルフが微笑む。


「こっちの台詞だよ」


 クロードはそう言った。

 三人は手をつないで、朝日の差す廊下を歩いて行った。


 番外編/おわり

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