4-4 自転車暴走集団終了の報せ
翌朝の某市は、穏やかな光に包まれていた。
駅前の通りには、昨夜の暴走集団の姿はない。
自転車も、騒ぎも、嘲笑も――すべて消えていた。
アズラは依頼主・佐伯へ連絡を送った。
『暴走集団は活動停止。
あなたへの誹謗中傷もすべて証拠として提出済み。
彼らは警察から事情聴取を受けるわ。
あなたの動画は“正当な告発”として評価されている』
佐伯はスマホを握りしめ、しばらく言葉を失っていた。
窓から差し込む朝日が、
部屋の中の暗さを少しずつ押し返していく。
「……本当に……終わったんですか……?」
アズラは静かに答える。
『ええ。あなたはもう責められない。
あなたが受けた理不尽は、すべて正されたわ』
佐伯の肩が震えた。
涙がゆっくりと頬を伝う。
「……ありがとうございます……
昨日まで……外に出るのが怖かったんです……
でも……今日は……少し歩いてみようと思います」
その言葉は、弱々しくも確かな一歩だった。
アズラは久遠へ囁く。
『佐伯さん、前を向けるようになったわ。
あなたのおかげよ』
久遠は夜の残り香が漂う道を歩きながら、
静かに答えた。
「……そうか。なら、よかった」
闇が久遠の足元で揺れ、
まるで“同意する”ように寄り添った。
闇夜のおしごとは、またひとつ終わりを迎えた。
だが夜はまだ続く。
闇も、アズラも、久遠も――
次の依頼の気配を静かに待っていた。
ストックが切れた…以降の更新は不定期になります。




