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闇夜のおしごと  作者: ベサメ
第4章 自転車暴走集団に復讐を編

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4-3 自転車暴走集団に復讐を

某市駅前の夜は、昼の騒音が嘘のように静まり返っていた。

街灯の光は弱く、闇は細く長く伸び、

その闇の中に久遠は自然に溶け込んでいた。


存在感ゼロの体質は、夜になるとさらに濃くなる。

世界そのものが久遠を“忘れ”、

彼の闇だけが静かに存在を主張していた。


アズラが囁く。


『暴走集団、今夜も集まってるわ。

 次の“迷惑撮影スポット”へ向かってる。

 あなたの闇なら、彼らの行動を止められる』


久遠は歩き出した。


「……あいつら、昼間は好き放題やってたな」

『ええ。昼のあなたより存在感はあるわね』

「皮肉か?」

『事実よ。でも夜のあなたは……誰よりも“濃い”。 闇があなたを選んでるみたい』


久遠は小さく笑った。


「闇に選ばれる人生か……悪くない」



十数台の自転車が、夜の商店街を占拠していた。

彼らは店のシャッター前を勝手に使い、

「ナイトライド撮影会」と称して騒ぎ始める。


「今日もバズる動画撮るぞ!」

「歩行者ビビらせたら面白くね?」

「昼の車のやつ、クビになったらしいぞw」


笑い声が響く。


その背後――

久遠の闇が、静かに地面を這っていた。


久遠は呼吸を止めた。

闇の濃度が増し、世界の認識が久遠を“忘れる”。


闇は自転車の足元へ滑り込み、

タイヤの影と重なり、

まるで“自転車自身の影が暴れ出した”ように見えた。


一人が叫ぶ。


「えっ……影、動いた?」

「は?何言ってんだよ」

「いや、マジで……ブレーキ効かねぇんだけど!?」


久遠は何も触れていない。

ただ闇が仕事をしているだけだ。


自転車は勝手に蛇行し、暴走集団は次々と転倒した。


「痛っ……なんだよこれ!!」

「ふざけんな!!誰だよ!!」


久遠は彼らの背後に立っていた。

だが誰も気づかない。


存在感ゼロは、恐怖を“形のないもの”として与える。

次にアズラも動いた。


『久遠、集めた“悪事の証拠”、彼らのスマホからネットに公開するわ』


ノイズ通信が暴走集団のスマホへ流れ込む。


次の瞬間――

全員のスマホが一斉に鳴った。


画面には、

彼ら自身が送った誹謗中傷DM

歩行者を煽る計画

佐伯を嘲笑するチャット

削除したはずの動画

仲間内の悪だくみ

がネットに公開されたことが表示されていた。


「え……俺らの情報ネットにさらされてんじゃん……」

「なんで消したはずの動画まで……」

「やばい……これ警察にバレたら……」

「俺ら終わりじゃね……?」


アズラが冷たく見やる。

『あなたたちの悪事は、すべて公開された。あなたたちが自ら公開した”ログ”付きでね。もう逃げ場はないわ』


暴走集団は恐怖で顔を青くし、自転車を放り出して逃げ出した。

久遠の闇は静かに元の形へ戻り、夜の闇へ溶けていく。

復讐は完遂された。

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