表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

最終話「旅は続く、次の星座の空へ」

僕は、3年間の旅の途中で、ずっと考えていたことがありました。

彼女と一緒に、この旅をずっと続けてみたいと思っていたのです。

この旅を、ここで終わらせたくなかったのです。

今も何かに縛られているわけではない、とっても自由な身だという自覚はあるけれども、

彼女の「心から『これが私だって』って思える場所を見つけること」という言葉がトリガーとなって、

ペガスス座の故郷に彼女のような特別な存在が見つからなかったからこそ、故郷を離れる決意をしたことも思い出しました。

「それなら…」

そう僕が言いかけて、少しの沈黙が続いた後で…


僕が伝えたい言葉を、彼女は無言で待っていました。

「僕と一緒に、旅をしませんか?」

「いいよ」

即答でした。

「マルちゃんが言わなかったら、私からお願いしようと思ってたことだから」

「すごく嬉しいです」

「私も嬉しいよ」

「セーラさんは、どこに行きたいですか?」

「あれ?水族館に行くんでしょ」

「え?」

「魚座の双魚駅に銀河最大の水族館があるから、マルちゃんはそこに行きたいんだと思ったんだけど…」

彼女は、そこで、とっても不思議そうに僕の顔を覗き込むのです。

「僕が言ったんですよね。水族館に行きたいって…」

僕が「ずっと旅をしたい」と言ったのは、次のデートの場所までということではなかったのですが、

彼女は僕の言葉の意味を知った上で、少しはぐらかしたのかもしれません。

「双魚駅のラスカルは、私の親友なの…とにかく、銀河中のお魚が集められた大きい水族館だから何日滞在するかわからないでしょ。

二人でお泊りできるように、彼女に頼んでおくね」

「ラスカルさん!!!」

魚座のラスカルさんと言えば…さっきのイベントで渡されたフィギュアのモデル…超有名人の銀河の歌姫…あのラスカルさんなんです。


「ラスカルさん!? あの、クイズの景品にもなっていた、銀河一の歌姫の……?」

僕の頭の中は、驚きで真っ白になりました。画面の向こう側の存在だった伝説が、今、セーラさんの口から「親友」として語られている。

セーラさんは僕の動揺を楽しそうに見つめると、いたずらっぽく人差し指を口元に当てました。

「内緒だよ? 彼女、プライベートではかなりの『お魚オタク』なんだから」


外を見ると、水瓶座の空がゆっくりと白み始めていました。今日は2月3日、節分。古い季節の殻を脱ぎ捨て、新しい春を呼び込む節目の朝です。


「さあ、行きましょうか。マルちゃん」

セーラさんは僕をひょいと抱え上げ、個室カフェを後にしました。

駅のホームには、次なる目的地「魚座・双魚駅」へと向かう青い列車が、静かに蒸気を上げて待っていました。


孤独だった3年間の旅路は、昨日で終わり。今日からは、一人ではなく二人で車窓を流れる星々を数え、語り合う日々が始まります。

「次は、どんな景色が見られるかな」

「きっと、想像もできないくらいキラキラした世界だよ」


ベルの音が響き、列車がゆっくりと動き出します。水瓶座の澄んだ風を背に受けて、僕たちは光り輝くレールの先へと踏み出しました。

12星座を巡る猫の物語、その第1章は、希望に満ちた春の予感とともに幕を閉じるのでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ