第15話 運が良ければ新たな仲間と旅ができる
テンカに連れられて、ユサン様のお墓に来た俺たち。
そこで俺は、相変わらずの運の良さを発揮し、伝説の道具が入っている所の封印を解いてしまった。
「まさか、この封印が解けるなんてね……」
「全くこいつは……」
「ヒカルさんならやるんじゃないかと思ってましたけど……」
なんか、みんなに呆れられてるような……。
俺だって、封印を解くつもりはなかったんだけどな。
「で、中には何が入ってるんだ?」
「蓋が開いちゃった以上、中を確認しないわけにはいかないわね。私が見るから、ちょっと待ってて」
そう言うとテンカは、中を覗き込んだ。
そして、そのまま中に入っていた道具を取り出した。
「それは……、異空間袋ですかね?」
「たぶんそうね。まさか、ここから出てくるとは思わなかったけど」
異空間袋? 何それ?
わかりやすいように説明求む。
「テンカ様。その異空間袋とは何なのですか?」
リンカナイス質問。
俺が聞く手間が省けた。
っていうか、リンカはこの袋が何かわからないんかーい。
「異空間袋っていうのは、道具を無限に収納できる袋よ。袋の中が異空間に繋がっているとかなんとかでね。ちなみに、いくら物を入れても、全然重たくないらしいわよ」
「はあ、またエグいもんが出てきやがった……」
「また? ヒカル、他にも伝説の道具を持ってるの!?」
「ああ、無限の聖水とか、要塞天幕とか」
「何故ならそれらを持っているのか、わかりやすいように説明しろ」
あー、答えるんじゃなかった。
これ説明するの面倒くさいんだよ。
「ルリ、説明頼んだ」
「えー、ヒカルさんが手に入れたものじゃないですか。まあいいですけど……。それでは簡単に……」
ルリの説明を聞き終わったテンカとリンカは、唖然としたのち、俺に素直な感想を述べた。
「ヒカル。君、かなりおかしいわよ」
「テンカ様の言う通りだ。お前の運は、一体どうなってるんだ?」
「俺が知りたいよ。それより、その袋どうするんだ?」
「封印を解いた者に渡せ、と古くから言い伝えられているのよ」
ということは……、その超便利アイテムが俺の物に!?
よっしゃ! これで食料買いたい放題だぜ!
◇
異空間袋をテンカから譲り受けた俺は、その後、みんなと森の奥地へ帰った。
「ふあ〜。そろそろ寝るか……、うん?」
そこには、ボーッと空を眺めているリンカがいた。
おそらく、テンカに旅に出ろと言われて、色々考えているのだろう。
「眠れないのか?」
「お前か。正直眠れない。いきなり旅をしろと言われても、どうすればいいのかさっぱりだ」
そりゃそうだよなあ。
リンカは、十六歳の俺より若く見える。
そんな年齢の子が、いきなり旅をしろって言われたら、悩むに決まってるよな。
「リンカが悩む気持ちは、俺にもちょっとだけどわかるよ。でも、テンカが言ってたんだ。リンカは、この森の中だけで終わる子じゃないって。外の世界に出て、沢山のことを学んでほしいんだって」
このことをリンカに言って、何かが変わるかどうかはわからない。
でも、リンカの親のような存在であるらしい、テンカの気持ちを知ることは、とても大事なことだと俺は思う。
だから、柄にもなく、こうして口を動かしているというわけだ。
ある意味、急に異世界に転生した俺と、似たような状態だし。
「お前は凄いな。私には、それだけ考えることはできないよ」
「それを考えられるようになってほしいって、テンカは思ってるんじゃないのか?」
「………………」
お、おい。急に黙るなよ。
俺、変なこと言ったか?
リンカは、そのまま何も言わずに、寝床へ行ってしまった。
だ、大丈夫かな?
◇
次の日の朝。
俺とルリは、弓楓の森を出発しようとしていた。
「ヒカル、ルリ、本当にありがとう。おかげで弓楓の森は助かったわ」
「こちらこそ、異空間袋ありがとな。またいつか、森に遊びに来るよ」
「その時はよろしくお願いします!」
テンカ以外のみんなにも挨拶をして、いよいよ出発の時間だ。
結局、昨日の夜以降、リンカとは会えていない。
テンカに聞いても、知らないらしく、何もわからなかった。
「それじゃあ俺たち、そろそろ行く……」
「ヒカル!」
呼ばれて振り返ると、そこには荷物を持ったリンカがいた。
「昨日、ヒカルに言われたことを、ずっと考えていた。結論は出なかったけど、今の私にとっては、ヒカルやルリと旅をすることが、一番いいって思ったんだ。だから頼む、私を一緒に連れていってくれ」
そう言うと、リンカは俺に頭を下げた。
全く、俺の答えは昨日言ったっつーの。
「いいに決まってるだろ。それより、頭上げろよ。お前に真剣に頼まれると、違和感しかねぇからな」
「これからよろしくお願いします、リンカさん!」
「あ、ありがとう! これからよろしく頼む!」
見ると、リンカは満面の笑みを浮かべている。
昨日の俺の話も、少しは役に立ったらしい。
テンカも嬉しそうだし、良かった良かった。
「じゃあ行くか!」
「おう!」
「はい!」
俺とルリは、新たにリンカを仲間に加えて、再び冒険に出発した。
これから、ますます楽しい旅になりそうだ!




