第11話 やっぱり運が良ければ伝説の神器は簡単に手に入る
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俺とルリは、タヤルトという街へ向かう途中で、弓楓の森に偶然迷い込んでしまった。
そこで、 弓使いのリンカに襲われた俺たちだったが、弓楓の森の代表、テンカが来てくれたことで問題解決。
その後、素晴らしい紅葉が見れる、弓楓の森奥地に案内されたのだが……、
「ちょっ、ちょっと待て。伝説の神器なんて簡単に見つかるわけないだろ!?」
「え、でもヒカルさん、もう二つも簡単に見つけてますよね?」
「そうそう! この森の結界を通り抜けられる程の運を持つヒカルなら、紅蓮の弓を見つけられるわよ!」
む、無茶苦茶な……。
神速の剣と太陽の杖は、本当に偶然見つかったんだぞ。
両方とも、探そうと思っていたわけじゃないのに……。
「いくらなんでも無理だよ。大体、その弓がどの辺にあるかさえわからないのに」
「あら? 大体の場所ならわかってるわよ?」
「テ、テンカ様!? そ、それをこの部外者共に教えるのは……」
「リンカ〜、今ヒカルたちのこと、部外者って言った〜?」
「い、いえ。何も言っておりません!」
「よろしい」
俺の話をあんだけ聞かなかったリンカを一瞬で黙らせるとは……。テンカ恐るべし。
「で、紅蓮の弓があるのはどこなんだ?」
「ここよ」
「……は?」
「だから、紅蓮の弓はこの森にあるのよ」
「はあぁぁ!?」
なら、わざわざ俺が探す必要ねーじゃんか。
この森にあるなら、さっきから周りにいっぱいいるこの森のやつらに探させろよ!
「でも、この森の中にあるのはわかっているけど、具体的な場所までわかってないから、ヒカルさんに頼んでるんですよね?」
「その通りよ! というわけでヒカル、よろしくね!」
そう言うと、テンカはどこかへ行ってしまった。
おーい、テンカさーん。まだ俺、弓探すって言ってないんですけどー。
しかも、この悪口少女置いていかないでほしいでーす。
「テンカ様の命令だから、仕方なく私が同行してやる。だが、お前たちの味方をするわけじゃないからな!」
……おいおい、弓探しにこいつ付いてくんのかよ。
なんか今回、俺運悪くない?
◇
うだうだ言っててもしょうがないので、俺たちは紅蓮の弓を探しに出かけた。
出かけたのだが……
「おい、お前! さっきから一体どこへ向かってるんだ!」
「さっきから何回も言ってるだろ!? 俺の場合は、適当に進むのが一番良いんだよ!」
出発してからずっとこの調子である。
今はルリが励ましてくれてるから良いけど、俺後でテンカにチクるからな。
「さてと……」
いつもの俺なら、こうやって適当に歩いていれば目的地に着く。
しかし、どうやら今日の俺の運は珍しく、というより人生で初めて頼りにならないのだ。
(別に俺は見つからなくても良いんだけどさー。見つからなかったら、リンカに殴られそう……)
はあー。こんなことなら、テンカからのお願い断るんだったなあ。
「ヒカルさん、あれって……」
でも、断ってたら断ってたで、リンカには殴られそうだよな。
「ヒカルさん? ヒカルさーん」
いや、殴られるだけならまだマシか。平気で弓打ってきそう……、
「ヒカルさん! 聞いてますか!」
「うおわっ! 急に大声出すなよ、ビックリするだろうが!」
「何度呼んでも返事しないヒカルさんが悪いんですよ。それより、今見えてるあれって……」
「うん? あれって何だよ……、あ!」
ルリに言われて前を見た俺。
視界には、なにやら神殿らしきものが見えていた。
これは……、
「もしかして、紅蓮の弓がある場所に来れたか?」
「そ、そんなバカな!? 適当に歩いていただけで、なぜ辿り着ける!?」
リンカが驚く気持ちは良くわかる。
俺も、今回ばかりはダメかなと思ってたからな。
まあ、結果オーライだな。
「よし、入るとしますか」
太陽の杖のときは、封印があったんだが……、この神殿はどうかな?
「おっ! 何にもないな!」
よしよし。封印があってもなんとかなると思うけど、ない方が嬉しいしな。
やっと俺の運が本調子になってきたぞ。
そして……、
「これが、伝説の神器の一つ、紅蓮の弓か」
そこには、紅く輝く弓があった。
後はこれを、テンカの所まで持って帰ればいいだけだ。
そう思い、弓に手を伸ばすと……、
「お前に紅蓮の弓は触らせん。ここに連れてきてくれたことは評価してやるがな」
「お、おう」
うーん、多分、多少は俺のこと認めてくれてるんだろうけど……。
正直、褒められてるのか、けなされてるのか、どっちかわからん。
「後はテンカさんの所へ帰るだけですけど、どうやって帰るんですか?」
「帰りも俺の運でなんとかするか?」
「その必要はない。もともと、この森に住む我らは、奥地への行き方ぐらい把握している」
「そうだったんだ。じゃあよろしく〜」
そういえば、出発する前にテンカが言ってたな。
この森は、歩くときの歩数が変われば、着く場所も変わるって。
最初、闇雲に歩いてた俺たちが森から出られなかったのも納得納得。
◇
神殿を出た俺たちは、紅蓮の弓を持ったリンカに付いていき、森の奥地へと向かった。
「そろそろ着くぞ」
「行く時と比べて大分早いですね!」
「行きは適当に歩いてただけだからな……」
ふう、やっと奥地に帰れる。
リンカは、根は悪いやつじゃないんだろうけど、一緒にいると疲れるな。
何はともあれ、ようやくゆっくりできる……、
ドーン。
……今の音、何?
何かが爆発したような音したよ?
「今の音何ですか!?」
「わからねぇ。おい、リンカ! お前、今の音に心当たりは!?」
「心当たりなどない! ただ、なんだか嫌な予感がする……」
「わかった。とにかく急ごう!」
弓楓の森には結界が張ってある。
ヤバイことは起きていないと思うが……。
今はテンカたちが無事であることを願うしかない。
「よし! 着いた……、は?」
あ、あり得ない。
なんで森が燃えてんだ?
「ヒカル! ルリ! リンカも、無事で良かった!」
「テンカ! どういう状況だこれは!?」
「じ、実は……」
そこでテンカが言ったことを、俺は信じることができなかった。
だってそうだろ? 魔王軍幹部に攻められてるなんて、誰が信じられるんだよ!?




