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第11話  あっちの九十九と抜け落ちた記憶

 ん………っ

ぼくはそろそろと目を開けた。


 寝ちゃったみたいだ。

そう思いながら時計を見ると、

「あれっ!?」

日付が1日ずれてる!


 なんだこれ、時計のバグ?

そう思って首をかしげると、


 「九十九つくも、ご飯よ〜。」

下で百狐ももこさんがぼくを呼んでいる。


「いま行きま〜す。」

と返事をすると、机に散らばっていたスマホに充電器を刺して、机の上にきちんと置き直した。


 クール素材のスリッパを履いてパタパタ下に降りる。


「今日のご飯はなんですか?」

ぼくがそう聞くと、百狐ももこさんは、

「よくぞ聞いてくれました。」

と嬉しそうに微笑んだ。


「ラザニアでーす。」

「お、やったぁ!」

ぼくはそう言って百狐ももこさんがラザニアを配るのを横目に見ながら、フォークを用意した。


 ちなみに、清子きよこさんは食べれないので、寂しそうにソファに横たわっている。

ツツさんはというと、百狐ももこさんにもらったキャットフードを嬉しそうに食べている。


 「いただきます。」

ぼくはそう言って手を合わせた。


「どうぞ。」

百狐ももこさんも微笑んでラザニアを食べ始めた。


「ん〜っ、熱い、美味しい!」

ぼくがそう言うと、百狐ももこさんは顔を輝かせた。


「ほんと?美味しい?よかったぁ。初めて作ったから、美味しいかわからなかったのよ。」

「すごく美味しいです、百狐ももこさん。」

ぼくがそう答えると、百狐ももこさんは切れ長の、まさしい『狐の目』をだらんと下げた。


 本当に美味しいんだよなぁ、百狐ももこさんの料理は。

本当にアヤカシなのかわからなくなるくらい、ひょっとしたらどこぞのシェフなんかの何倍もうまいのだ。


 ホワイトソースとミートソースが織りなす風味と、柔らかくて分厚い生地が相まって最高のハーモニーを奏でている。


 「百狐ももこ、どうやったらそんなに料理が上手いんだ?」

帆兎ほとさんが情けない声を上げた。


 帆兎ほとさんは料理が得意ではない。

潔癖症なため掃除・洗濯はクリーニング屋より得意だが、どうも味音痴なようで味付けがうまくいかない。

その上、火を使うと大火災かと思うほどの炎が上がる。


 前にフランベしようとして天井を焼き焦がし、その月の家計がキツキツになると、

帆兎ほとはもう料理しないで!』

百狐ももこさんに怒られていた。


 

 「そうねぇ。」

帆兎ほとさんに聞かれた百狐ももこさんはもぐもぐとラザニアを噛みながら首を傾げた。


おしゃれなワイングラスに入ったただの水素水を喉に流し込み、喉元がごくんと動く。


「わたしはあなたと違って味音痴じゃないし、ちゃんと火加減見てやってるんだから。」

誇らしげに美しい着物に包まれた胸をトンと叩いた。


「いいなぁ、俺は見ててもできないや。」

諦めたように両手を肩のあたりまであげて、降参の意をしめす帆兎ほとさん。


「この間、無理にフランベしようとしたでしょう。ロクに料理できないくせに、もう。わたしの仕事増やさないでよ。」

そして、大きな口を開けて最後の一口を頬張って、洗面台にそれを置きに行った。



 「百狐ももこさん。」

ぼくもすぐにラザニアを食べ終わり、水素水の入ったグラスを傾けながら話しかけた。


「今日学校で、不審者の注意を受けたんですよ。」

「え?今日は土曜日よ、昨日の話じゃない?」

百狐ももこさんは不思議そうな顔をした。


「え?えー、そう言えばそうだった、かな?うん、そうだった。御免なさい、昼寝してたら記憶がなくなっちゃったみたいです。」

ぼくがそう答えると、帆兎ほとさんがくすっと笑った。


九十九つくもはよく寝るし、寝ていると記憶抜けてたりするよなぁ。それなのに、学校の成績が悪くないのが驚きだわ。」

「あはは。」

ぼくは苦笑いをしてみせる。


九十九つくも、病院行ったほうがいいんじゃないの?」

帆兎ほとさんとは対照的に、心配そうな顔でぼくを見る百狐ももこさん。


「大丈夫ですよ。日常生活に支障が出るほどではないので。」

「ん〜、支障、出てにゃいかにゃ?」

ツツさんが大きくあくびをしながら言う。


「大丈夫ですって。」

ぼくが言うと、百狐ももこさんは心配そうな顔を崩さずに自分の手の中のワイングラスを見つめていたが、ふと壁にかけてあった黒い文字盤の時計を見た。


 そしてハッとして、

九十九つくも、遅くなっちゃうから、お風呂はいっちゃいなさい。」

とぼくに命令した。


ぼくは素直に頷いて、着替えを取りに二階に向かう。


 すっかり暗くなったカーテンを開けて外をみようとすると、下で何かがチカっと光った。

いくら目がいいといえども、真っ暗い空の下家の下の方にいる人物のことをぼくが見れるはずもなかった。

 読んでくださってありがとうございます!!

極限まであっちの九十九の記憶をどうするか悩んだんですけど、結局なんとなくぼかしました。


 あっちの九十九は秋穂さんとのデートを知らない。

琵琶は陰陽師の九十九が秋穂さんとデートをすることを覚えているのだろうかっ!?


 次は視点がちょっとややこしい………かも?

お付き合いいただけると嬉しいです。


 それでは次のお話でお会いしましょう!!

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