65. 15:00
65. 15:00
精神科病棟 詰所
15時になりみずきは精神科病棟の詰所を訪れた。
詰所には看護師が何やら患者と話している。
一方で電話には別の看護師が誰かと会話をしている。
もう一方では別の看護師二人が患者の事で意見交換をしている。
机に座っている看護師は何やら誰かと世間話をしている。
色々な声が聞こえてくる。
みずきにとってあまりいい場所ではない。
栄養士という仕事は調理師や看護師との連携はあるもののほぼ一人職場でありどちらかと言えば静かな環境である。
色々な声が聞こえると耳が痛くなる。
「新山さん、新山さん。」
誰かが私を呼んでいる。
「はい。」
振り返るとそこに佐山先生がいた。
「何回か呼んだんだけど聞こえなかった。」
「すいません。周りの声で全然聞こえなくて・・・。」
みずきは答えた。
佐山先生が何回か呼んだ事に本当に気が付かなかった。
「そんなに周りの音がうるさいかな。」
「すいません。私昔っから周りの音が苦手で。周りの音がうるさいとよく聞き取れなくて・・・」
「そうか。それなら仕方ないな。1会議室が空いているからそこで話そうか?」
「はい。お願いします。」
そう言って二人は1会議室に行く事にした。
会議室と言っても今は半分物置であり会議等行われていない。
半分職員の休憩室となっている。
「ここなら静かだけど、私の声理解できる。」
佐山先生が言った。
「はい。ここなら大丈夫です。」
「良かった。」
佐山先生は基本的に優しい先生で色々な患者さんから慕われている先生だ。
それに加えて髪の色が緑色でアイドルオタクな先生である。
「とりあえずきくえさんは現在包括病棟で入院してもらっているよ。
地域連携室の看護師ときくえさんの看護師でこの後の事を考えていく事が出来たらと思うよ。」
「そうですか・・・?」
「ところで新山さん。かなえさんの事だけど・・・。」
佐山先生が少し辛辣な表情をしていた。
普段は明るい佐山先生だけに少し怖かった。
「検査の結果酷く膵臓が炎症しているとの事だったよ。」
「それにかなえさんマイナンバーカードを持っていたので今までの病歴を調べたのだけど・・・。」
「実は膵臓の病気でみなと大学医療センターに受診していたそうなのだけど・・・・
みなと大学医療センターで入院を勧められたそうなんだけど・・・」
続けて佐山先生が言う。
「その日以来てっきり病院受診しなくなったらしいんだよ。」
「え! そうなんですか?」
みずきは驚きを隠す事が出来なかった。
そんな事全然知らなかった。
一緒にいても全然知る事が出来なかった。
「新山さんにお願いがあるのだけど。」
佐山先生が言う。
「もし、良ければでいいんだけど
橘 かなえさんが何故病院に行かなくなったが聞く事が出来たら聞いてみてくれないかな?」
私は少し間をおいて答えた。
「分かりました。出来るかどうか分かりません。
只高校の同級生として気にはかけて見たいと思います。」
「ありがとう。」
佐山先生が答えた。
そして佐山先生が会議室から出ようとした
「そうだ。新山さん。
もう一つお願いしたい事があるのだけど?
そう言って佐山先生はみずきにひとつのチラシを渡した。
このチラシには
「発達障害、不安障害、聴覚過敏な方などの自助会を参加します。」
と掻かれてあった。
「今度、不安障害や発達障害、聴覚過敏な方や緘黙の方などコミュニケーションが苦手な方との自助会を開こうかと思っているんだ。
その中でパネラーとして私佐山医師と精神の看護師、言語聴覚氏、作業療法士、理学療法士、カウンセラー等の方などいるのだけど、栄養士として新山さんも参加してくれないかな。」
「私ですが? 正直栄養士としてもどんな事を言っていいのか分かりません。
すいま・・・。」
すいませんっといって断ろうとした瞬間
「大丈夫いるだけでいいから。それと仕事として行くのだからもちろん出勤扱いでいいし。
それじゃ宜しくお願いします。」
そう言って佐山先生は去っていった。
断りたかったが断る暇もなく参加が決まってしまった。
しかも パネラーとして
コミュ症の私が一体何を助言できるのだろうか?




