【八十四話】作戦会議
お久しぶりです
迷宮前で集合した保谷さんは見たことも無いほど大きいリュックをしょっていて海山さんも布に包まれた長い棒のような物を抱えていた。集合した俺たちは軽く挨拶を済ませ、俺達は時計塔の東京の迷宮と同じように受付や更衣室を兼ねた広場に足を運んでいた。
何時も潜っていた東京の迷宮とは違いどこぞの美術間のような内装の時計塔は迷宮というより、観光名所のような様相をしていた。
それもそのはず、津奈ちゃんに聞いていた話では時計塔は5階ごとに難易度が急激に上昇していくらしく、五層までであれば初心者向けの迷宮とほとんど同じ難易度とのことだった。
何とも世界でもトップレベルに難しい迷宮の割に優しい物だと思うが、余りにも難易度の上昇の割合が規格外なのでそうも言ってられないのは多少鍛えた程度の俺が言うのも業腹だがいまだに実力の底が見えない津奈ちゃんですら途中で断念するほどの迷宮なのだ。油断するべきではないだろう。
「それじゃあ、私たちは着替えてきますね」
「じゃあね~」
俺がそんな事を考えながら、時計塔の中を見渡していると、津奈ちゃんと海山さんがホテルから肩にしょっていた装備達を軽く俺達男子組に見せながら言う。
「分かりました、それじゃあ俺たちも着替えてきちゃいますね」
「着替えてここ集合で良いか?」
「はい。大丈夫です」
保谷さんも問いに津奈ちゃんが頷いて、言った俺たちは装備を身に纏うために別れる。
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「日本の迷宮とは少し違って面白いだろ」
津奈ちゃんと別れた後も物珍しさからきょろきょろと渡りを見渡している俺を微笑ましい物を見ていた保谷さんが更衣室で着替えながら言う。
そんなに分かりやすい顔をしていたか、と軽く頬に手を当てる。
「まあ、そうですね俺が東京の迷宮にしか潜らないのもあると思いますが、何というか凄いです」
「そうだろうなあ、中はもっとずげえぞ?なべちゃんから聞いてる限りの硯君の実力なら15までは行けると思うが……まあ、おじさんは戦えないからそこらへんはなべちゃんと硯君頼みなんだがな。ははは」
「昨日何でも屋兼荷物持ちって言ってましたもんね」
「おう。そうだな、俺だって最初は荷物持ちじゃなくて、ちゃんとしたダイバーとして迷宮に潜ってたんだが、どうしたってセンスがないのか、初心者迷宮から抜け出せなくてな、それが斥候に鞍替えしてからは一気に才能が開花したのか、有名どころのパーティに呼ばれたりするようになって今では日本最強のお抱え荷物持ちよ」
「なるほど、それじゃあ索敵はお願いしますね」
「おう!」
保谷さんと少し話していると着替えも終わり、俺たちは津奈ちゃんと待ち合わせをしている場所に戻ると、まだ津奈ちゃんたちは着替えが済んでいないのかいなかったので俺と保谷さんで何てことない事を話しながら時間を潰していると10分ほど経った頃津奈ちゃんたちがこちらに小走りで走ってきた。
「ふう、お待たせしました」
「おまたせ~」
津奈ちゃんは普段俺の家で俺に稽古を付けてくれている時の服装とほとんど変わりない様子で少し動きやすい服に刀と言った俺とほとんど変わらず、海山さんは先ほどしょっていた棒のような物はような物ではなくそのまま鉄の棒で丈の長いマントを羽織っている。
「大して待ってないぞ」
「そうですね」
「そうですか?ならよかったです」
「……こほん。それじゃあ今回のダイブについての会議をしましょう」
俺と保谷さんがそう返事をすると津奈ちゃんは軽く咳ばらいをした後、真剣な顔つきになってそう言った。
津奈ちゃんのその表情を見て俺達三人は意識を迷宮の為に切り替える。
「とりあえず前回保谷さんが作ってくれた地図を元に、10階層までは3時間で抜けてしまいましょう。10階からは空さんの慣らしもあるので少し時間を掛けて探索します。15階までは4時間ほどを目途で、一度16階層で野営し、明日一日掛けて前回の最高到達階層まで潜り、三日目で踏破を目指します。……質問のある方は?」
「無いな」
「ないよ」
「……空さんは大丈夫ですか?」
「うん。津奈ちゃんに任せる」
「では、行きましょうか」
その津奈ちゃんの掛け声で俺たちの時計塔攻略が始まった。




