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【二十八話】あ、やべ。

女子高生二人組がいると寄り道が楽しくて物語が進まない……

「おっきい~」


「マジで、でけえな」


それがスーパーで買い物を済ませて、俺のマンションを初めて見た二人の反応だった。

確かに俺の住んでいるマンションは見上げても一番上の階が見えないぐらいに高いマンションだが、何というか二人の言い方が少しいやらしく感じてしまう俺は穢れているのだろう。


「しかも空君が住んでいるのは最上階なんでしょ?」


「まあ、そうだね」


「てか、硯どんだけ稼いでんの?」


黒木は俺の収入が気になるようだ。正確には俺の収入では無いのだが一応神様の設定に齟齬が無いように口座に入っている金額を少しぼかして言う。


「人生が50回遊んでもお釣りがくるぐらい?」


「いや、なんか私硯の事怖くなってきたわ」


「まぁ俺はただの高校生だよ」


「それは無理があるだろ」


俺も自分で言っていて無理があると思っていた。


「そんな事より、早く空君の家行って見たい!」


俺と黒木が話していると夏がそう急かしたので、俺は話すのを辞めてマンションの中に入った。


――――――――


そうしてマンションの中に入ると夏と黒木は広いエントランスや、ホテルみたいにエントランスに従業員がいることに驚愕していた。

俺は二人が驚いているのを見ながら、少し楽しくなってきていた。


「エレベーターの広さじゃないよね?これ」


エレベーターに乗ると黒木が驚愕を通り越して少し呆れながらそう言った。


「……うん。私の部屋ぐらいの大きさだよ~」


夏も黒木の言ったことに賛成のようだったが、夏は黒木とは違い、呆れはせずにただ緊張しているようだった。


「正直俺もなんでエレベーターがこんなに広いのか分からん」


なんでこんなにエレベーターが広いのかは俺にもわからん。巨人族でも住んでんのか?


「あ、着いた。」


黒木のその言葉と同時に俺には見慣れた光景だが、俺の部屋に入るドアがポツンとある以外には、馬鹿みたいに広い、芝生の敷かれた庭が俺たちを迎えてくれた。


「わぁ~ほんとにマンションの中に庭がある~」


夏はその庭を見ながら感心したようにそう呟いていた。


「マジじゃん」


黒木の表情はどんどん呆れの色を強くしている。


俺は二人の反応を楽しみながら、ドアをカードキーを通して開け、二人を部屋の中に案内した。


「ひっろ」

「広いね~」


リビングにたどり着くと二人は何度目かも分からないが口を開け呆然としていた。


だよね、この部屋見てびっくりするのは俺だけじゃないよね?なんて少しこの世界に来た時のことを思い出してしまう。


「テレビっていうより映画のスクリーンじゃん。」

「おっきいね~」


二人は、何か見つける度にリビングでケーキ等を冷蔵庫にしまっている俺に聞こえるぐらいに俺の部屋の探検を楽しんでいた。


そろそろ二人を呼ぼうかと、二人を探すと二人は俺のゲーム部屋にいた。


「……コレ、何?芸能科の雪原さんだよね?」


あ、やべ。


夏が俺の方に向けて一枚の写真を見せつけてきた。それはパソコンを買った時に付いてきた白スク雪原のブロマイドだった。


「あの子も色々やってるけど、ここまで露出度高いのってあったっけ?」


「ね!ないよね、ここまで雪原さんが肌見せてるの」


黒木がその写真を見ながら不思議そうに聞いてきた。夏もその意見に賛成な様で俺に詰め寄ってきた。



「雪原に無理やりお願いしたんじゃないの?金で」


二人に詰め寄られて俺が答えに困っていると黒木がポツリと言った。


「空君……あんなに小さい子にこんな写真を……」


夏が絶対零度の視線で俺のことを睨んでくる。

マジで部屋の温度が5℃ぐらい下がった気がした。


「ちょ、ちょっとまってくれ、その写真はパソコンを買った時に付いてきたんだよ!なんかシークレットの奴みたいで、神に誓って無理やり撮った写真ではない!」


俺はとにかく弁解しようと早口で雪原セツナのブロマイドの説明を夏にする。


「そもそも、黒木!俺がそんなことをするような男に見えるか!?」


「割と」


黒木の俺への信頼度の低さが尋常じゃない。


「夏!信じてくれ!それはたまたま手に入れた写真で、レアっぽいから取ってあるだけなんだ!」


「……ほんとかなぁ?どう思う?加奈ちゃん」


ちょっとまて、黒木に効くと多分俺にとってろくなことにならない。


「多分金に物を言わせて雪原に迫ったんじゃね?」


「黒木ぃ!!」


黒木は予想通り俺をクズにするために夏に噓八百をのたまった。


「でも、雪原ってそういうの撮るイメージ無いし」


黒木がそう言った。


俺だって雪原にあった事が一度だけあるが、何となくそんな写真を撮るように見えなかったから、そのブロマイドが出てきた時にびっくりしたんだよ。


「俺だって無いよ!」


「……でも、空君この写真大事そうにパソコンにくっつけてたじゃん」


夏が痛いところをついてきた。


「……そ、それは」


「夏、硯は雪原みたいな子を性的に見てる」


黒木が俺の煮え切らない返事を聞いて夏に向かってそう言った。


こいつ、俺の印象を悪くすることに余念がない……!


「と、とにかく!歓迎会しようよ!」


「逃げたな」

「逃げたね~……空君後で詳しく聞かせてね?」


「あ~歓迎会とか初めてだから、楽しみだなぁ~夏と黒木が初めてだよ~いや~楽しみ楽しみ」


俺は夏が言った言葉が聞こえないふりをしながら、そそくさとリビングに戻る。

二人も一旦諦めてくれたようで、俺の後ろにくっついて一緒にリビングに戻ってきた。






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