017.メインコンテンツのお時間です
ついにジャンル別日間1位になってしまいました٩( 'ω' )و
皆さま、本当にありがとうございます!
セイジがやってきたのは、ひときわ高い草の壁がある部屋のような場所だった。
「恐らく、他の草の壁より二倍くらい高いモノが、エリア端ってやつだと思う」
:普段の探索ではあんまりこういうとこ行かないから新鮮だ
:ふつうの探索だとあまり道から外れたりしないからな
:へぇ探索者さんたちもあまり来ない場所なんだ
:ここみたいな室外のフィールド型ダンジョンの場合、エリア端と呼ばれる壁や崖なんかがあるんだよ
:オープンワールド型のゲームをイメージしてくれると分かりやすいと思うんだ
:ゲーム的にそれ以上先に行けないってやつな。ダンジョンの場合いけなくもないけど推奨はされてない
「有識者の補足助かる。
ちなみにエリア端はモンスターとのエンカウント率が低いから、キャンプとかするならオススメだ。まぁダンジョンでキャンプなんてダルいコトする人なんて、あまりいないと思うが」
:言いながらイヤリングからキャンプセットを取り出すニキ
:ニキのSAIの容量結構あるよな
:デカいモンスターだけでなくキャンプセットも入っているしな
「ああ。SAIの容量の大きさは、アタリを引いてるのは間違いない」
:資格取ったときご祝儀にギルドから貰えるけど質がピンキリだもんな
:探索者がみんなもってるアレってギルドからのご祝儀なんだ
コメント欄とやりとりをしつつも、テキパキと作業台と焚き火スタンドの用意をしていく。
さらに作業台に、まな板や包丁などの調理器具を並べていった。
まな板と包丁は2セットだ。
続けて簡易テーブルと簡易イスも用意した。
準備を終えると、エリア端の壁近くにある大木の根元に穴を開けると、その上にイノシシを吊す。
「超人化してると、こういうのがヒョイっとできるんだよな……我ながら驚く」
:確かにイノシシを一人で持ち上げて木に吊すとかふつう無理だもんな
:しかもこのサイズで鎧のような重い甲皮付きだしな
:吊すときの喉仏の良さ
:額に汗するメカクレイケメン堪能タイムだった
:今日はいっぱい喋ってくれててイケボ堪能できて良き
:ブレねぇなぁこいつらw
それから首へ向けて一閃。
首から血が流れていくのを見て、ひとつうなずく。
「このまましばらく置く。ずっと見てるとグロいんで、カメラの向き変える」
:助かる
:血抜きかぁ
「本物のジビエと違って、モンスターって意外と血抜きとか泥抜きみたいな処理が雑でも結構おいしくイケるのは助かる」
:そうなんだ
:別の配信者も言ってたけどダンジョン食材ってその辺りファジーなのが不思議だよね
:中にはファジーを許さない部位とかもあったりするらしいけど
:ワルドニキはジビエのコト知ってるんだ
「なんとなく勉強しただけで、ちゃんとやったのはダン材料理を始めてからだけど」
:なんとなくで出来るのがすごい
:確かに
:モンスター肉がファジーであることを考えてもできるだけすごいと思う
コメント欄と雑談しながら、チラりとイノシシの様子を見る。
「血は止まったっぽいな。ちょっとカメラの外で、斬ってくる」
:斬ってくる??
:え?
「ちゃんとやるなら、毛を剥いだりとかするべきなんだろうが……正直ダルいし、何より配信中にやるには時間がかかりすぎる。だからまぁ肉ごと毛も皮を切ろうかなって」
:大雑把すぎて草
:それで何とかなるの?w
「本物のジビエならダメかもしれないが、モンスター肉はさっきも言ったとおりファジーな処理でなんとかなる。なので、ざっくり切り取って終了だ。
そのあと、内臓取り出したりもするが――なんであれ、あまりボアの見た目が良くないモノになるんで、カメラの外でやらせてもらう」
:撮れ高ありそうじゃない?
:確かに居合いでシュパパパってやるんでしょ?
「その通りだが……撮れ高気にするのがダルい。
それに――ダルいダルくない以前に、撮れ高よりは苦手な人への配慮の方を個人的には大事にしたいと思ってる」
:実際モンスターというか動物の解体の様子は苦手な人苦手だろうしな
:ニキがそっちの方向でやりたいなら良いと思う
:配慮が優しい
「じゃあ、ちょっと行ってくる」
そうして、セイジはカメラの外へと行った。
:あ!配慮のせいで居合い喉仏が見れない!
:そうだよ!居合いの時のイケボ息吹が聞こえないじゃん!
:メカクレイケメンの居合い顔みたいよぉぉぉぉぉ!!
:ほんとブレねぇなネキたちw
:でもグロ配慮は嬉しい
さほど時間をおかず、肉の塊を一つ持って戻ってくる。
「さて、お待たせした。メインコンテンツの時間だ」
:来た来た
:ド迫力の肉の塊だ!
:鎌倉武士風に言うと はらにくのかたまり ってヤツだな
:一応チャンネルタイトルにクッキングってあるしな
:肉の塊を藤原鎌足っぽく呼ぶな笑
:料理がメインの自覚はあるんだよな○ニキ
「さて、作業といこう」
そうして静かな様子で肉をまな板に置いた。
:なに作るんだろ?
だが、一度肉を置いたあと、持ってきていた桶と石鹸を取り出す。
「水を作る魔技……というか汎用術技寄りのやつ。こういう時、取得しておいて良かったと思う」
そう言って、スキルで作り出した水を桶に入れ、そこで手洗いを行う。
:このスキルって飲み水にはならないから微妙なんだよな
:飲んでも水分にならないし無味無臭が極まってて虚無味だしな
:でも汚れを落としたり傷を洗ったりするのには便利なのは間違いないよ
:水をどう見てるかで扱い変わりそうな話だ
手を洗い終えたら、もう一つのまな板の方へとSAIから取り出した野菜を置いていく。
:ズッキーニとタマネギ?
:手際よく切るなぁ
:ワルドニキ手際良くて見てて気持ちがいいんだよな
:素材が切れるサクサク音とか包丁とまな板がぶつかるトントン音とか良いよね
:この配信がASMRと呼ばれる所以感ある
ズッキーニは縦半分に、タマネギは輪切りに。
「あ、そうだ」
さらにニンニクをひとかけら。
まな板の上に乗せたら、包丁の側面でたたきつぶす。
「……キノコがあってもいいな」
SAIからシメジを取り出すと、手でほぐすように適量取ってから、取った分の石突きを切る。
:きのこを手でほぐしていく時の指!!!
:あの指を・・・後生ですから指のアップをくだしあ!!!1
:ほんともうネキたちは笑
「こんなもんでいいか?」
自問してから、まぁいいか――と包丁を置いた。
「さて、次はと……」
:料理はじめると静かだよなニキ
:料理中の横顔は探索中とはまた別のイケメン感
:それは喉仏も同じ
:それは独り言も同じ
:ネキたちのブレなさほんとすげぇよな…
野菜用の包丁を置いて、アルミホイルを用意する。
アルミホイルをロールから少し大きめに切り出すと、それを広げたまま網を設置したバットの上に広げた。
アルミホイルのセットを終えると、肉の前へと移動する。
:お。ついにくるな
:肉カットくる?
「さて――」
セイジは肉用の包丁を手に取ると、塊肉に当てる。
:厚めに切り出した
:おお?
:ド迫力だ
:カツか?ステーキか?
切り出した肉以外の部分は、ピアス型SAIに戻す。
厚めに切った肉の両面に、格子状に軽く切り込みをいれる。
さらに軽く塩胡椒を振って、下味をつけていく。
:下味にしたって塩胡椒少なめじゃね?
:これは何をしてるんだ
:何をしてるのか分からないのにもうすでに旨そう
:わかるわかる
:肉の下処理してる様子だけで腹減る
フライパンに少しだけ油を垂らし、そのフライパンを焚き火スタンドの火の当たりが弱いところへ置く。
油が温まってきたら、肉をフライパンの上に乗せ、油を広げるように肉を動かす。
そして、火の当たりが強いところへとフライパンを移動させた。
:結構強火で一気にやるのか?
:火で熱されて汗の滲むメカクレ・・・
:汗の伝う喉仏……
:小さな息づかい。。。
:もはや限界ネキトリオはこのチャンネルの名物化してきたな
:はたして本当にトリオかな?
:そうどこかに隠れ限界ネキも潜んでいるかもしれない
:私たちはナンボいてもいいですからね
:うん・・・うん?
視聴者の数としてはあまり多くはないものの、コメント欄は賑やかだ。
セイジがあまり喋らない分、すでに常連化する気まんまんの視聴者たちが勝手に盛り上げているとも言える。
フライパンに接してる面に軽い焦げ目が出来たら、一度フライパンを火の弱いところへと移動させる。
それからひっくり返すと、そのまま弱火のところでじっくりと火を通していく。
:ポークステーキというかポークソテーか
:もう見た目が旨そうすぎる
もう一方の面も色が変わってきたら、焼けた肉をアルミホイルの上に置いて手早く包む。 そのままバットの上に放置して、フライパンに残る油でつぶしたニンニクを熱して香りを立てたあと、ズッキーニ、タマネギ、シメジもソテーしていく。
:輪切りタマネギステーキの色味がいい
:絶対うまいやつじゃん
:肉焼いた時に出る脂で焼いた野菜ってなんであんなに旨いんだろうな
焼いた野菜を皿に盛り、フライパンを焚き火台の上に一度戻す。
そして、アルミホイルを開いて中の様子を伺う。
「牛ならこれでいいんだけど、モンスター肉とはいえ、一応……豚の仲間だしな」
見る限りは火が通ってそうだが、念には念を入れておくべきだろう。
弱火の部分に乗せてあるフライパンへと、最初に焦げ目を付けた方を下にして、肉を戻す。
:大事大事
:モンスター肉なら大丈夫そうだとは思うが
:ダンジョン食材はその辺りもファジーとは聞くよね
:まぁ豚肉っちゃ豚肉だもんな
:イノシシだろ
:似たようなもんだよ
しばらく火に当てて様子を見ていたセイジは、トングで肉を掴むと側面をフライパンに押し当てて軽い焦げ目を付けていく。
「こんなもんでいいか」
野菜用のまな板の上にアルミホイルを開き、そこへ肉を置く。
そして、三本目の包丁を取り出すと、1センチほどの厚さにささっと切っていく。
すると火の入ったピンク色の断面が現れ、その断面からじわじわと脂が滲みでてくる。
:あああああああああ
:ダメですこれはダメです
「うん。中にもちゃんと火が入ってるな」
それを確認したセイジは、カットした肉の下に包丁を滑らせて、刃の側面に肉を乗せる。
:盛り付けも手早く丁寧だ
:少しゴツめの手が手早く器用に丁寧な仕事する様子いいよね
:おっと…?ここへ来てフェチネキ追加か?
:さりげなくずっといなかった?
包丁を持たない方の手で肉を軽く押さえながら――
「あちちちち」
――手早く、お皿の上へと移動させた。
「これで、鎧甲イノシシのソテー完成だ」
完成品をドローンカメラの前に披露すると、コメント欄に、ハイテンションなコメントで一気に流れていく。
:厚切りポークソテーだ!!
:いけません!お客様いけません!
:メシテロレベルが高すぎる
:あああああダメ!喉仏じゃなくてお肉に目がいっちゃう!!
:気持ちドヤってるメカクレ見たいのにお肉がお肉が!!
:お肉が艶っぽすぎてワルドさんの声に集中できない!!
:フェチネキたちのヘキを上回るビジュアルとは罪深い
手を洗い、ソテーの乗った皿を簡易テーブルへと移すと、SAIからカトラリーを取り出した。
そして、手を合わせて静かに口にする。
「……いただきます」
:どうぞどうぞ
:たんとお食べ
:めしあがれ!
:まじうまそう
:どうぞどうぞ
:召し上がれ
:この手の動画を見るのは自爆だと分かってるのに見てしまうw
:どうぞどうぞ
:なんかニキに反応してどうぞ言う流れになってきて草
:そういうお約束ノリがあるとチャンネルが盛り上がるからどんどん作ってけ笑
:どうぞどうぞ
:めしあがれ~
コメント欄が盛り上がっていくのを余所に、フォークとナイフを構えるセイジ。
肉にナイフを当てると、一切れをさらに半分くらいの大きさに切ってから、ゆっくりと口に運ぶのだった。




