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俺の学校生活は極彩色!?3

紗季に付いて行くこと数分。1つの空き教室の前で立ち止まった。職員室でないことに少し驚きながらも尋ねる。


「ここですか?」


その問いに紗季が答えることは無く、ただ笑みを浮かべながらドアを開く。

訝しみながら、何も伝える気がない紗季を置いて、中に入る。やはり最初の印象通り、空き教室らしかった。中には、机が積み重ねられ、全体を見通す事が出来ない。

しかし、別段変わったところは無いようだ。


「ここを掃除しろ、ってんじゃ無いですよね?」


「・・・えーと。中に誰も居ないのか?」


困惑気味に彼女も中を確認する。


「・・・紗季先生でしたか。すみません、不審な人が入ってきたものですから。」


積み重なった机の合間を縫うようにして現れたのは・・・さっきの少女?

長髪が、金を溶かし流し込んだような黄金色で、緑がかった碧眼の少女を見間違えるはずがない。のだが、さっきとは雰囲気が全然違っていた。一瞬、別人かと思う程に。

その少女と視線が重なる。

その双眸は、虚ろで、儚い光を宿していた。一瞬だけ、ひょっとすると見間違いだが、宿した光が揺らいだ気がする。


・・・・・・


しばし、空白が生まれる。


「おい、どうした?とっとと自己紹介くらいしたらどうだ」


その空白を緊張と取ったのか先を促す。

虚を突かれて、返事を出来ないでいると、先に少女が口を開いた。


「・・・私は空草天からくさそらよ」


意外にも名前は日本名。

場違いにもそんな感想を抱いていると、二人の視線が俺を注視していた。早く名乗れ、と言うことなんだろう。


「・・・山城琉だ。ひとまず、用件を伝えてくれると嬉しいんだが・・・」


急かされて、短く自己紹介すると、自分の疑問も混ぜこむ。

すると、空草は呆れた顔をし、紗季はきょとんとしていた。

俺は、何か間違ったことを言っただろうか?


「悪いな、何も説明してなかったな」


頭を掻く、その動作がやけに艶かしい。特に胸元とか。

視線を逸らそうにも、他に見る場所といえば空草の方しかなく、その空草を見ると、紗季との対比で、ただでさえ慎ましい胸が余計に貧しいため、正直いたたまれない。

よって、どことも知れず視線をさ迷わせてしまう。

そんな俺の様子には気づかず、紗季は説明を始めた。


「君には、今日から当分の間、彼女の面倒を見てもらう」


説明って人に解りやすく伝えるものでは無いのだろうか。その答えに行き着いた過程も話すべきだと思う。それに、女子の面倒を男子が見るのはどうなんだろう。何か起きた場合、どうする気だ。

・・・いや、こいつ相手に何も起きないな。


「君は今、とても失礼な事を考えていないか?」


この教師、読心術でも心得ているのか!?それともエスパーか!?

・・・まあ、普通に女の勘、とかいうやつだろ。


「君は顔に出すぎなんだよ」


「さいですか」


そんなに顔に出ているのか。これから気をつけよう。


「で、君に頼んだ理由は色々ある。1つは、君は友達が多種多様だからだ」


「好きで付き合っていない奴も居ますけどね」


自分の『友達』らしいのを思い出して、ため息が自然と出てきてしまった。


「その反応は酷じゃないか?」


苦笑を交えて、呆れたように言うと、真剣な顔になる。


「まあ、一番の理由はやっぱあれだ・・・暇そうだからだ」


「・・・やっぱそうですよね」


半ば予想していた答えが返ってきた。しかし、それが真実だからといって二つ返事で受けると、後が怖い。


「俺、今部活が忙しいんですよ」


「その点は気にするな。お前と同じ部活動だ」


「私は部活動に入る気は無いのだけれど・・・?」


迷惑そうに言っているが、この場の誰も気にしない。気にする必要が無い。


「どうせ帰宅部だ。気にするな」


それを頷いて肯定する。俺は部活動など所属していない。


「帰宅部だって、きちんと活動してるんですよ。家事全般とか」


かと言って、面倒事を引き受けるのは気が進まないので、あくまで引き下がってみる。


「気にしなくても大丈夫だ。放課後まで面倒を見なくても良いからな。あくまで学校生活をアシストしてくれれば良い、という訳だよ。・・・成績にも反映しても良いぞ?」


最後の方を小声で、俺だけに聞こえるように言う。

まあ、転校生の世話なんてザラにあることではあるので、そこまでして断る理由もない。それに相手は美少女ときた。好条件にも程がある。


「・・・分かりましたよ。やってみます」


学校でだけなら俺の時間が削られないはずだ。はなから学校生活を平穏に過ごせないのは分かっている。

また、面倒事が増えてしまったようだ。


「では、そう言うことだから。次の時間にはクラスで顔合わせしてから、君の隣に座らせるからな」


最後によろしくと言わんばかりに背中を叩くと、そのまま立ち去ってしまった。

二人きりになり、気まずい空気が流れそうになる。


「ちょっと退いてくれないかしら?」


その空気が流れるのを塞き止めるように空草が声を掛けてくる。彼女も何か準備があるのだろうか。

俺が廊下に出て道を開けると、空草は無言で歩き去ろうとする。


「空草・・・さん。あんた本当にさっき俺に会ったのか?」


思わず空草の背中に投げ掛けてしまう。空草はその歩みを止めたが、何も答えずにすぐに歩き出した。

一人立ち尽くしていると、ふと我に返った。返らされたと言っても良い。高らかに予鈴が響き渡ったのだった。


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