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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第三章・立て直すぞ! 群狼戦士団!

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昨日は予約時間をミスってしまいました!

 しばらく木剣を振るっていると、次第にジェイクの取り巻きたちはその地味な訓練に飽きてきたのか勝手に試合の真似事を始めだした。


「うおおおおっ!!」


 叫びながら片手で木剣を持って、大きく振りかぶったかと思うと相手目がけて振り下ろすが。


「あめぇっ!」


 一喝すると、横薙ぎの一撃で切り払った。


 それっぽい動きをしているが……派手さというかカッコつけというか……およそ実戦を想定しているような動きじゃないのは、ボクでも一目でわかる。


 だって遅すぎるんだ。


 魔力で強化しない状態のボクでも出来そうな動き出し、アレは……ただの遊びだな?


「何をやってるんだか……」と呆れながら、構わず丸太に向かって木剣を振っていると、ジェイクの怒鳴り声が響いた。


「てめぇら! 遊びじゃねぇんだよっ! 真面目にやれ! 何度も言わせんな!」


 そして、ボクを見て「そうだろっ!!」とデカい声で同意を求めてくるが、小声で「知らないよ……」と呟くと、彼らのことは無視して木剣を振り続けた。


 ◇


 決闘を経て村内で最も大きく変わったことは、恐らくジェイクとその取り巻きたちの態度だ。


 使用人のおばさんに聞いたところ、あの中の誰かまでは知らないが彼女の息子もいるらしい。


 村や農場の警備を勝手に請け負って、まぁ……それでも一応仕事はしていたし役には立っていたんだが、村の広場で暴れたり騒いだりと目に余る行動も多かったとかで、村の悩みの種になっていたんだとか。


 母はジェイクのことを死んでも構わないような扱いをしていたが、それはやり過ぎだとしても、まぁまぁ彼らも住人から煙たがられていたらしい。


 それが、ジェイクが怪我から復帰してからは、相変わらず一派でつるんではいるものの、警備の仕事は真面目にやるし、村の広場で暴れる代わりに屋敷の裏で訓練をしたりと、大分まともになって来たそうだ。


 ……アレでか?


 そう思わなくもないが……村の人間からしたら、若く健康な男たちが更生したってことはいいニュースなんだろう。


 それを思えば、勝手に群狼戦士団に入ったつもりになって、ボクを団長と呼んだり一緒に訓練を行っている彼らを、鬱陶しいからと追い払うわけにもいかない。


 子供たちと違ってあまりコミュニケーションを取れていないボクが、多少の距離は感じても村で受け入れられている理由の一つかもしれないしね……。


 そんな訳で、ボクは彼らと積極的に関わりはしないものの、追い払ったりせずに一緒の場で訓練を続けていると、屋敷の裏口から男性が出て来た。


 そろそろ屋敷の使用人たちも本格的に動き始める時間になったし、訓練は終了だ。


「よし……お前ら、終了だ!」


 ジェイクの号令で彼らも手を止めると、裏口に向かって歩いて行く。


 いつも屋敷に出入りしているが、彼らは自分の家に帰らないんだろうか?


 アレかな?


 悪友の家に出入りするそんな感じだろうか?


 そんな彼らを見て、腰に手を当てて溜め息を吐いていると、ジェイクがこちらにやって来た。


 それなりに真面目に訓練に取り組んでいたようで、まだ早朝は肌寒いくらいの気温なのに汗びっしょりだ。


「団長、俺たちは今日は農場の見回りに出るが、アンタはどうするんだ?」


「……。ボクは今日は子供たちの勉強の付き添いで集会所にいるよ」


 暑苦しいジェイクから一歩下がって答えると、彼は「そうか……」と頷いた。


「この時期は獣が作物を狙って農場に出ることもあるんだが、中には魔獣が含まれていることもある。毎年騎士団の巡回やグレイさんたちが始末してくれているが、今年はどうなっているかがわからない。今のところはまだ獣が姿を見せる程度だが……ソロソロ出て来てもおかしくないし、アンタはそのつもりでいてくれよ」


 それだけ言うと、ジェイクはボクの返事を待たずに足早に屋敷に戻っていった。


 そう言えば、周りに誰かいる時は話しかけてくることもあるが、一対一だと初めてじゃないかな?


 首切られて殺されかけたんだし、実はボクのことを怖がっているのかもしれない。


 それでも話しかけて来たってことは……それなりに聞くべき内容だったのかもしれないな。

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