58
使用人たちとお喋りをしながら用意した食事も出来上がり、子供たちを起こして皆で朝食を取ると、今度は子供たちも一緒に片付けを済ませた。
昨日この村の中を案内してもらったこともあってか、使用人たちにも馴染んでいるし言うこともよく聞いている。
これだけで判断することではないかもしれないが……とりあえず上手くやっていけそうだ。
さて、片付けも済むと、今度は子供たちは着替えるために使用人たちに二階に連れていかれた。
基本的に野営地では寝巻なんてものはなかったし、わざわざ着替える習慣なんてなかったから子供たちも少々戸惑ってはいたが、すぐに慣れるだろう。
ボクは朝散歩に出かける前にしっかりと着替え済みだ。
今は一階のホールで、年長のおばさんに用意してもらったお茶を飲んでいる。
「アリスちゃん、アンタ今日はどうするのさ? あの子たちは農場の方で簡単な仕事の説明をしに行くけど、一緒に行くかい?」
ちなみに、そのおばさんも一緒にお茶を飲みながらお喋り中だ。
今朝も感じたことだが、本館はともかくこの村そのものはそこまで厳格な規律はないんだろう。
ボクたちにとっては暮らしやすそうな村だ。
……それはさておき、子供の付き添いで農場見学か。
前世では農作業どころかガーデニングだってやったことはなかった。
精々小学校の頃の夏休みの宿題でアサガオを育てたくらいだし……。
「そうですね……どんなことをするのかボクも見ておきたいし、行ってみようかな?」
ボクが農場で働くことは多分ないだろうが何をするかの把握も必要だろうし、折角の機会だ。
村の案内も結局途中で終わってしまったし、見学をさせてもらおう。
ボクの言葉におばさんは「任せなさい」と胸を叩き、二階に向かって大声でボクも同行することを伝えてくれた。
早々に頼もしい人と知り合うことが出来たし、賊に襲撃を受けたことは不幸ではあったが……何だかんだでボクは運がいいみたいだな。
二階とやり取りをするおばさんを見ながら、そんなことを考えていた。
◇
子供たちの準備が済んだところで、ボクたちは揃って家を出て広場に向かって歩いている。
この村で暮らす子供たちも農場の手伝いをしているんだが、いつも広場に集まってから、大人と共に向かっているそうだ。
すぐ側なのに大人も一緒に……ってのは、やはり柵の外を警戒しているんだろう。
そういう意味では、ボクも一緒に行くってのは都合がいいかもしれない。
「お姉ちゃん、籠被ったままなの?」
「うん。仮面は駄目って言われちゃったしね。袋でもいいんだけど……とりあえず家にあったのがコレだから」
今朝はそこら辺に転がっていた籠だったが、今はちゃんと家に置いてあった物を使っている。
ほのかに土の香りが残っているし、多分……野菜とかが入っていたんじゃないかな?
編み目が粗く視界がしっかり保たれているし、適当に選んだ割には中々いい籠だ。
仮面が手に入るまではこの籠を使わせてもらおうかな……と、呑気に籠の使い心地を考えていると男の子たちが急に走り始めた。
「あっ!? こら、走らないよ!」
ボクの腕や足に女の子たちがくっついていたから反応が遅れてしまった。
注意をするが足を止めずに広場の方へ走って行ってしまった。
追いかけようと子供たちに手を放すように示したが。
「大丈夫だよ。昨日仲良くなった子たちもいるしね」
手を放さず、代わりにそんなことを言いだした。
「へ?」
「今日一緒に仕事を手伝うって約束してたの。早く行こうよ!」
「……そうなんだ」
……昨日のちょっと村の中を見て回るだけの間にもう友達を作っていたのか。
ウチの子供たちは多分この世界でもちょっと特殊な環境で暮らしているのに、そんなことをものともせず……子供のコミュ力って凄いな……。
話を聞いて驚いていると、広場の方から楽しそうな子供の声が響いてきた。




