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広場で子供たちや一緒に農場に向かう者たちと合流すると、挨拶もそこそこにすぐに出発することになった。
村の子供たちはボクの恰好に興味があるようだったが、ボクについて何か聞かされているのか、話題がそっちに行きそうになる度に大人たちが遮っていた。
まぁ……籠を被った女性が新しく自分たちの村にやって来たら、それは何なんだコイツって気になるよな。
……別にボクが怪しまれるのは構わないが、ウチの子供たちのこともあるし、機会があれば顔を見せておいた方がいいだろう。
それにしても、村の門から出てしばらく歩いているが、まだ目的地に着く様子はない。
村の柵と農地の間にある農道を歩いているし、この先が目的地なんだろうが……何も見えてこない。
子供たちは村の外に出れるからなのか楽しそうに騒いでいるが、これだけでちょっとした運動になりそうだ。
「村のすぐ側なのに、結構歩くんですね」
歩きながら教えてもらったが、農場があるのはこの村のすぐ隣だし、地図上の距離だけで考えたら大したことないのに、実際に移動するとなると違うようだ。
「ここは出入りが出来るのがあの門だけですからね。どうしてもグルっと大回りしないといけないんですよ。すいません……」
一緒に農場に向かっている大人の一人が答えてくれたが、別に怒っているわけでもないのに、随分と申し訳なさそうだ。
「構わないですよ。ただ、大きい荷物とかあると大変じゃないですか?」
今日の彼らは鎌みたいな道具を背負った籠に入れているだけだが、もっと大きな物だったり、それこそ収穫物何かもあるはずだ。
外に荷物を置いておくわけにもいかないだろうし、この距離を大荷物で帰るのは大変だろう。
防犯のためだってことはわかっているが、出入り口が一つしかないのは不便だよね……。
「大きい荷物がある時は事前に荷台を馬や牛に引かせて持って行くんですよ。収穫物がある時もそうですね。まあ……出入口が一つしかないのは不便と言えばそうなんですが、仕方がないですよ」
答えた彼だけじゃなくて、周りの大人たちも苦笑しつつも同意している。
「今自分たちが向かってる建物が、一応の物置として建てられた物なんですが……結局自分たちで持ち帰ってますしね。食事の用意とかで集まるのに都合がいいから無駄ってわけじゃないんですがね」
「なるほど……」
ボクは生まれて以来大半の時間を、傭兵団の野営地という安全なのかそうでないのかよくわからない環境で過ごしているから、安全面の感覚が麻痺しているのかもしれないが、これくらいが普通なのかもしれない。
農場と作業の見学に来ただけだったんだが、こうやって色々話を聞けるし、むしろ見学よりも得る物がありそうだ。
来て正解だったな。
話をしながらそんなことを考えていると、一人が「アリスさん」とボクを呼ぶと前方を指した。
「あそこですよ」
まだ離れてはいるが、村を囲む柵に隣接するようにいくつかの小屋が建っている。
このすぐ側を通る街道は街に行く際に通っていたんだが……あんなのが建っているだなんて気付かなかったよ……。
◇
さて、目的地に到着したボクたちは、既にこちらに移動していた者たちと挨拶を済ませると、すぐに作業に取りかかった。
今日の作業は農地の除草だ。
大人が草を刈って、子供たちがソレを集めて集合場所にしていた建物に運んでいる。
そして、ボクはその建物の側に設置されたベンチに座りながら、皆の作業を眺めていた。
手伝ってもいいんだが……ボクが今後農作業に従事するってこともないだろうし、それなら子供たちが周りの人間とコミュニケーションをとりながら作業を覚えていった方がいいだろう。
保護者面して偉そうなことを考えていると、農道の奥から「アリス嬢!」とボクを呼ぶ声が聞こえてきた。
何事かなとそちらを見ると、騎士団の兵が三人こちらに向かって駆けよって来ていた。




