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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第三章・立て直すぞ! 群狼戦士団!

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 一先ず小剣を鞘から抜いて、そこに魔力を込めてみることにした。


 ボクが毎晩行っている魔力の操作訓練だと、椅子に座ってだったりベッドに寝転がりながら、適当に両手に魔力を集めたり散らしたりしているんだが、物に魔力を込める訓練……ってのはこれが初めてだ。


 まぁ、初めてとはいえ戦闘時に槍に込めたし、先程の工房でも槍にもこの小剣にも込めたから感覚自体は掴めている。


「それじゃー……」


 室内だし念のため加減して、槍を使った時の半分ほどの量と勢いで魔力を流してみたんだが、あっという間に強い光を放ち始めた。


「おっとぉ!?」


 軽く魔力を流しただけでも、刃全体に魔力が行き渡ったのがわかる。


「外で戦っていた時とは大違いだね。手入れをしたからなのか……それとも素材が違うからなのかな?」


 槍の時は何かしら魔力が流れているってことに気付くのにもう少し時間がかかったが……違いは何なんだろうか?


 あの槍は魔力方面の手入れが全くされていない……って感じのことを言っていたし、小剣はミスリルの純度がずっと高いとも言っていたから……両方かな?


 ともあれ、爆発するようなことはないとはいえ、どうなるか把握出来ていないことを他人様の家の中でやるべきではないってことはわかった。


「とりあえず、一通り目を通してから重要そうなことをメモして、試すのは村に帰ってからにした方がいいかな」


 剣を再び鞘に納めると、今度はペンを探すために部屋の中を漁ることにした。


 ◇


「……暗くなってきたね?」


 ボクは手を止めると顔を窓に向けた。


 本を読んではメモを取って……そろそろ三冊目も終わりそうになったんだが、薄っすらと部屋の中が暗くなってきていた。


 三冊とも文章中には初めて見るような単語が頻出していたんだが、入門書というだけあって大分読みやすかったこともあり、ついつい時間を忘れて熱中してしまった。


 インクが黒一色だったのが々不満ではあるが、中々読みやすく纏められている気がする。


 ともあれ、まだ字が読めなくなるほどではないが、この分ではすぐに真っ暗になるだろう。


「明かりを用意して……いや」


 照明を廊下の使用人にお願いしようかな……と考えたんだが、ふと机の上の魔法の入門書と、先程自分で書いたメモが目に入った。


 魔法の入門書には訓練用の初歩の魔法についての項目があって、そこから重要そうなポイントを抜き出しては要約しているんだが……その中に照明の魔法があったことを思い出した。


 初歩の中でも比較的簡単そうな魔法で、内容もシンプルだったため電球のイラストも一緒に描いたからよく覚えている。


「ちょっと試してみようかな」


 ボクはペンを机に置くと、両腕を真っすぐ伸ばした。


 そして、メモした内容を思い出していく。


「えー……と? 両手の間に魔力を集めるんだったね」


 入門書の方には魔力の操作や集め方のコツなども書いてあったが、それはボクには必要ないので手順を飛ばしていく。


 魔力を両手の間に集めたら、お次はイメージだ。


 あの本には、両手の間に火が灯った蝋燭があるようにイメージすると書いてあった。


 この世界では蝋燭が一般的な明かりなんだろう。


 もっと便利な明かりのイメージを持つことは出来るが……ここはしっかり入門書に従おう。


 より具体的にイメージ出来るように、目を閉じて集中する。


「ボクは今両手で燭台を持っていて……その蝋燭は火が付いていない」


 さらに、手順を明確にするために口に出して確認をしていくんだが。


「……ボク燭台なんて気の利いた物使ったことないな」


 よくよく考えると、今まで一般的な生活を送ってきていないため、いきなりイメージの手順が頓挫してしまった。


 村の家には一階に燭台があるが、二階の自分の部屋は蝋燭だ。


 そもそも子供たちは朝が早いから遅くなる前に眠っているし、ボクもそれに合わせて早寝している。


 入門書とはいえ、魔法の訓練を出来るような者は生活レベルが高いってことなんだろうか?

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