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地球魔力改変  作者: 443
序章 移ろい
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35.魂器組発足

知らない天井、じゃないここは協会本部か。

私は一糸纏わない状態で布団に寝かせられていた。

隣に置かれた籠には洋服一式が用意されている。

ありがたい。

その服に着替え、カーテンを開いた。

隣のベッドにはやっさんが横になっている。

起きるだろか?

起きてくれたらいいな、と思いながら物音がする方へ向かった。


音の発生源であるダンジョン協会入り口には多くの人が押し寄せていた。

何を言っているのかは分からないが負の感情を持っているのは顔で分かる。

暴動のまで発展していないのは日本人の美点か、それとも牙を抜かれ飼い慣らされた末路か。


「今起きたのですが状況を教えてもらえませんか?」


私が声をかけると多くの人が口をつぐみその視線がこちらを向いた。

魔力を帯びた声、魔声を初めて聞くひとの多くはこうなる。

私の問いに忙しそうにしていた職員さんのひとりがメモを渡してくれた。


突然電気はつかなくなるわ水も出なくなるわガソリンも消えて車も動かなくなるわで説明しろということか。

分からないのは皆同じ。

しかしこれまで当然だった便利なものがいきなり使えなくなったら、各々の感情任せに他人に責任をなすりつけ、追求したくなるものなのだろうか?

この大人たちは本当にみっともないな。

違うか、これまで積み上げてきたものが突然無くなったらどうしようもない感情に駆られるのも無理はないのか。


「申し訳ありませんが私はあなたたちの声を聞くことはできません。ですが言わなければいけないことは分かりました。では、最近に起こった変化は私含めあなた方の生活環境を揺るがすことでしょう。しかしながらそれらはなぜ起こったのか原因が全く不明なことなのです。起こる未来は知れても、それを防ぐことはでません。そんな非力な私たちでも僅かですが未来を変える力、可能性があります。体力をつけ、敵を倒す。あるいはこれからの時代で使える生きる術を周りと共有する。敵を倒せばレベルが上がりそれが10になるとスキル《交換》が得られます。《交換》とは敵を倒して得たポイントを自分の望む何かと交換をするスキルです。何かを望むのならそれが一番の近道になります。そんな危ないことできるはずがない、と思うのならば大自然を相手に農業や漁業などを行うのもいいでしょう。後者の方がとてつもない重労働になりますがね。もうそうしていかなければ生きていけない世界に変わってしまったんですよ。ここは、未来の英雄になろうとする人を求めその過程の道導を示す。そんな場所です。他人に迷惑をかけたり、足を引っ張ろうとする人が来ていい場所ではない。本日、既に氾濫に立ち向かい人は魔物に対抗し勝利できることを命をかけて証明した人たちがいます。これまでの人々の努力を踏み躙るようなことをするのであれば私は躊躇いなくその人を殺します。……大変なのは皆同じです。どうしようもない世の中ですが手を取り合いより良い未来を歩んでいきませんか?職員さん自惚れない程度に強気に対応して大丈夫ですよ。そうでないと勘違いしてしまう人が増えてしまいます」


「いい演説ありがとうねー。もうお兄さんが戻って来たから大丈夫だよ!ほらー今日は大活躍だったんだから休んで休んで!」


言いすぎたのか、と思い奥の部屋に戻る。

まだ目を覚さないやっさんを横目にベッドにゆったりと腰をかけるのだった。




いつもなら夜でも視界の端まで明るさがあったのに、今日は道路を反射する僅かな月明かりのみである。

元々夜にあれだけ明るいのがすごいことだったのだ。

真っ暗な部屋でただやっさんの目覚めを待ち続ける。

そんな私の左腕がほんの僅かに発光した。

継承者の呼び出しである。

特にすることもない私はすぐに応答した。


「ただいま参りました。マスター御用件はなんでしょうか」


真っ暗な部屋にひとり蹲る5代目の姿がそこにあった。


「なんでもないよ。ちょっと怖くって呼び出しちゃった。迷惑じゃなかった?」


「迷惑なんてとんでもないです」


「昨日も一昨日も呼んだけど来てくれなかったから迷惑かなって思ってた」


「申し訳ございません。ダンジョンに居たため呼び出しが正常に把握できていなかったのだと思われます」


「あなたもダンジョンに行くんだ」


「はい。使命を為すために必要ですので」


「そっか……。真っ暗だね」


「そうですね」


「私は上手くやれてるのかな?」


「私には判断しかねます。ですがきっとマスターは立派に責務を務めていると思います」


「ありがと。次の継承って誰にすればいいと思う?」


「それはマスターが決めることです」


「継承しないっていうのもいいのかな?」


「これまでの継承者の方々もきっとそう思われたはずです。しかし全員が残す判断をしています。私は口を出せる程のものではありませんが、きっマスターもそのような判断をなされるのではないかと思います」


「そうだよね。分かってるの、誰かに渡した方がより良い未来を探してその方向に少しでも進ませれるって。でもやっぱり生きたいなぁ」


「……」


「困らせちゃってごめんね。ちょっと暗くて怖くてネガティブに考えちゃってたや。呼んだ理由は寂しいからちょっと一緒にいて欲しかったんだ。気にかけてたまに来てくれる人もいるんだけどちょっとね」


「ここはどちらなのでしょうか?」


「ここ?日本ダンジョン協会本部とか言うよく分からない場所だよ」


「そうですか。では同じ場所に居たんですね」


「それどう言うこと?」


「実は私、先程も同じ建物内に居りました」


「そうなの!?じゃぁ呼ばなくても会えるってこと?」


「申し訳ありませんが本日は身体の回復などの為休養を取らせて頂いていたので居りますが、明日からはまたダンジョンに向かうことになると思われるので御用が有れば呼んで頂けると幸いです」


「タイミング次第ではまた呼べなくなるってこと?」


「そうなります」


「ちょっと残念。私の見た未来はまとめられて入り口に貼り出されるみたいだから良かったら見ていってね」


「ありがとうございます」


「そういえば今日ひとつ良い未来に進んだんだよ!一個のダンジョンだけかもだけど氾濫を抑えたの!あれで初心者でも入りやすいダンジョンができったってことで人材が育ち易くなったってこと。良い未来に繋がる大きな足がかりができたってことなのさ!すごいでしょ!」


「それは素晴らしいですね」


「まぁ良い未来が少しだけ近くなっただけでその時のは私はもういないんだけどね」


「……」


「寿命を割って見ようとしなくてもそういう変わり目はわかるの。それを追っちゃうとダメなんだけどね」


「そうなのですか。感覚が分からないので参考になります」


「ちょっとお話しできて良かった!できたら私たちみたいな陰で支える人でも覚えてくれたらいいな」


「そのようなお願いなどされずとも覚えています」


「思った以上に人間らしいね。もしかして実は人間?」


「先代から魔導人形と説明された通りです。人間ならこのようなことは出来ないと思います」


5代目に変な方向に折り曲げた腕を見せまた元に戻す。


「そーうだね。どきっとしたからもうしなくて良い!全く、無駄に寿命縮んじゃったよ」


「申し訳ありません」


「冗談だから大丈夫だよ。高性能なんだね」


「ありがとうございます」


「真っ暗だし眠くなって来たから私はもう寝るから戻って良いよ。ありがと」


「了解しました。それでは失礼します」


もう少し機会らしく話さないと、と思い元の場所に戻ると丁度着替え終えた様子のやっさんが居た。


「びっくりしたー!って言いたかったんすけどあんま驚かなかったすわ」


「魂器の副作用が出始めましたね」


「こんぐらいならいいんすけどね。いきなり現れた風に見えましたがどうしたんです?」


「使命を果たしていました」


「主人の命令すかね?」


「そうでもあります」


「まぁいいや、本当に電気使えなくなったんすね」


「予言通りという訳です。起きられたので向こうの部屋に向かいましょう」


「了解です。これからどうしますか」


「そうですね。まずお願いがありまして、これから魂器使用者が増えると思うのです」


「ほうほうそれで?」


「私がリーダーみたいな立ち位置に居たらやっさんのように着いてきてくれるのでは無く抵抗されそうなのでやっさんに指揮してほしいと思っています」


「それに関しては全然いいですけどどうしたら良いですかね?お恥ずかしい事にそういうのやった事ないんすよ」


「難しいですね。私たちのするべきことは自分の身体を交換できるようになること。そして純人間を支えること。今思い浮かぶのはこのくらいなのですが、この目標を達成できるように武器の扱い方や身の守り方の指導、戦闘における指揮などをちょっと厳し目な鬼教官っぽい感じで演じる感じだと思います」


「ちょっと厳し目な鬼教官って矛盾しかない気がするけどいいや。まぁなんとなく分かりました子供にさせるよりまし程度にはやりますよ」


「ありがとうございます」


「じゅん“先輩”に対しても他と同じように扱うんで良いんすか?」


「いつも先輩なんてつけてないじゃないですか。もちろん他の方と同じようにして頂いて構いません。魂器を使うと痛みを知れなくなります。そうしたら人間に対して悪い行いをしてしまうような気がするので規律を作って欲しいんです」


「魂器組の規律ですか。それについては了解ですけどいつまですか?」


「私たちから見て次の適任が現れるまでです」


「その時はいつになるやら。分かりました、受けます」


「ありがとうございます。リーダーよろしくお願いします」


こうしてこれから増大するだろう魂器使用者をまとめる長が決まった。

当たり前だがここで話しただけでギルドを作れるわけでは無いので協会職員さんにお話しをした。

もちろん私ではなくやっさんが、である。

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