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第5話: 「ぶっ飛んだ改革!魔法の代わりにサブスク?!」

「さて、次の改革は…どうしよう?」


香織は腕組みをしながら、改めてこの異世界の労働環境を眺める。彼女がやってきたゲンマール王国は、現代日本のブラック企業顔負けの劣悪な環境が広がっていた。休憩なし、給料は雀の涙、そして当然のごとく無駄な仕事が山積み。


「魔法も使えない平民に石運ばせて、終わったらまた石…って、どんだけ石推しなんだよ!」


香織はツッコミを入れながら、今回のテーマを決めた。


「よし!今日はこの国の労働の根本から変えてやる!」


まず、彼女が目をつけたのは「魔法」。この世界の魔法は一部の貴族しか使えず、労働者には全く恩恵がない。そのせいで、どんな単純作業も手作業でやらされる始末。こんな無駄だらけのシステム、見逃せるはずがない。


「魔法は貴族しか使えない?なら、魔法をみんなに使わせればいいじゃん!」


香織は思いついた。普通に考えれば無理だが、ここは異世界。無理を無理やり通すのが「なろう系」のお約束だ。


「魔法を…みんなに?」


現場の労働者たちは目を丸くしている。


「そう!考えてみてよ。例えば、重たい石を運ぶのに人手が足りないなら、魔法でサクッと運べばいいじゃん!一瞬だよ、一瞬!」


「そ、そんなことできるんですか!?魔法は貴族だけの特権だと…」


「特権?そんなの破っちゃえばいいのよ!特権は破壊されるためにある!」


香織はどこかの革命家のように言い放った。だが、もちろん無理やり魔法を強奪するわけではない。彼女には「経営コンサルティング」という武器があるのだ。


「…つまりね、魔法を『サブスク化』すればいいの!」


「さ、サブスク…?」


労働者たちはますます混乱しているが、香織は意気揚々と説明を続けた。


「サブスクリプションサービスってやつよ!月額定額で、誰でも魔法を使える権利を買えるシステム!これなら貴族も儲かるし、労働者は魔法を使って効率よく働ける!ウィンウィンってやつよ!」


「うぉぉぉ…勇者様、すごすぎます!」


労働者たちは感動しているが、香織は内心こう思っていた。


「いや、こんな簡単なシステムで感動される異世界って、やっぱ知能低めだな…」


その日の会議で、香織は貴族たちにこの「魔法サブスク化プラン」を提案した。当然、貴族たちは最初は反対する。


「我々の特権を民衆に与えるなど、馬鹿げている!魔法は我々のものだ!」


バルド伯爵が鼻息荒く叫んだが、香織は冷静に切り返す。


「ちょっと待ってくださいよ。魔法をただ貴族が使っても、国の生産性は上がりませんよね?でも、サブスク化すれば、毎月定額で収入が入るんですよ。貴族にとっては金の卵を産む鶏を手に入れるようなものです!」


「…なるほど…定額で安定した収入が…」


バルド伯爵の目が輝き始めた。やっぱり貴族は金の話には敏感だ。


「しかも、労働者たちが魔法を使って効率よく働けば、国全体の生産性が上がります。つまり、国の財政も潤うんです!」


「…うむ、確かに!それは一理ある!」


「いやいや、ここで簡単に納得すんなよ!」


香織は心の中でツッコみながらも、話がスムーズに進んでいることに安心していた。こうして「魔法サブスクサービス」は異世界に導入されることが決定した。


数日後、魔法サブスクのサービスが正式に開始された。結果はというと…


「なんかすごいことになってる…」


街中の労働者たちが、サブスクで魔法を手に入れ、一斉に効率的に働き始めた。重たい荷物を魔法で運び、畑を一瞬で耕し、工場では魔法で火を使って製品を一気に生産する。国全体が一気に近代化したかのような様相を呈していた。


「サブスク魔法最高!これで毎日8時間働けば充分だ!」


「勇者様のおかげで仕事がめちゃくちゃ楽になりました!」


労働者たちから感謝の声が上がる。異世界の住人たちは、魔法を使えることに喜び、効率が格段に上がったことで、労働環境も劇的に改善された。


「いやー、なんか一気にぶっ飛んだ改革になったけど…これでいいのかな?」


香織は少し不安になりながらも、成功を噛み締めていた。



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