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76、ゲネト先生は策士だね

「ホームルームで死人がでると、私の責任になる。そういう誓いは、私のいない所でやってくれ」


 ゲネト先生の言葉には、不快な波長を感じる。何かの術を乗せているのかな? 念話じゃなくて普通の声だけど。


 私に頭を下げていた人は、その頭をあげない。というか、みんな微動だにしない。今の先生の突き放すような言葉に怯えたのかも。



「ゲネト先生、私は別に、彼の命を奪おうだなんてことは考えていません。これまで彼だけでなく多くの襲撃者に、私は命を狙われてきましたから」


 私がそう話すと、先生が少し目を見開いたように見えた。


(変なことを言ったかな?)


「ミカンさんは、普通に動いて話せるのだね」


「先生の言葉には少し驚きましたが、もっと厳しいことや……」


「あははは、いや違うんだ。キミのそれは、守護精霊のチカラだね。いま動けるのは、キミとレオナードさんだけだ。だがレオナードさんは話せない」


 振り返ってみると、レオナードくんは軽く頷いた。でも、一緒にいるボルトルさんは全く動かない。



「ちょうどいい。この状態で見聞きしたことは魂にまで記憶されるだろう。赤の彼らが憑依した魔物を倒したことで、ミカンさんの魔剣士としての能力には敵わないと、クラスの皆は理解したようだ」


「憑依? だから連携できたのですか」


 憑依というのは、確か、乗り移るみたいなことよね? 彼らは召喚したモンスターに乗り移ってたんだ。だからモンスターを倒したときに、変な手ごたえだったのかも。


「あぁ。だが前半、キミは動かなかった。そのことでクラスの皆は、キミが基本的な死霊術に対する耐性がないと考えている。このままホームルームを終了すると、私のクラスが邪気まみれになるからね」


(先生は、全部見てたの?)


 シャーマンの能力を、私はほとんど知らない。でも先生は、高位の有名なシャーマンだから、ありえないようなことができるのかも。


「それで、先生は術を使われたのですか」


「そうだ。キミに守護精霊がいることは、組分けの試験のときに気づいた。だからキミを私のクラスにしたのだよ。他のクラス担任で、ミカンさんを欲しがった先生もいたんだけどね」


「そうなんですか。守護精霊は、います」


 その先生が誰なのか気になる。でも、ここで話したことが聞いている人の記憶に確実に残るなら、変なことは言えない。


「その守護精霊の属性は何かな? クラスの皆がキミを襲うことがあると、どうなる?」


 この言葉にも不快な波長を感じた。さっきよりも強い不快感。また何かの術を乗せたのね。


「それは私の個人情報です。お答えできませんわ」


 私がピシャリと断ると、先生はケラケラと笑った。そして、指をパチンと弾くと、皆の体勢が崩れた。術を解いたみたい。



「これにて、ホームルームを終了する。ここで解散だ。ユフィラルフの町へは自力で戻ってくれ。では、また明日」


 先生はそう言うと、スッと姿を消した。


(へ? 突然、何?)



 ◇◇◇



「ミカン、帰ろうぜ」


 私が呆然としていると、レオナードくんは、ユフィラルフとは逆の方向へ歩き出した。深い森だから、方向がわかりにくいのかな。私には方向がわかる。これも精霊ノキのチカラなのかも。


「レオナードくん、ユフィラルフはあっちだよ」


「この先に、転移魔法陣の小屋があるんだよ。歩いて森を抜けるのは面倒だろ? この森のモンスターは弱くない」


(確かに面倒よね)


「わかった。じゃあついて行くよ。あっ、このスカーフ、つけたままだったね」


 薄紫色のスカーフは、場外に出なかった私達の首に巻いてあるままだ。


「それはご褒美じゃないか? ゲネト先生のテリトリーが消えたから、どんな効果が残っているかは、冒険者ギルドで鑑定してもらわないとわからないけどな」


「ふぅん、何もなくても可愛いからいいけど」


「ミカンは、変な結び方をしてるよな。それが可愛いのか?」


「うん、可愛いでしょ? 光の加減で違う色にも見えて、綺麗なスカーフだよね」


「そ、そうかよ」


(あれ? なぜ赤くなるの?)


 可愛いとか言っていたことが、恥ずかしくなったのかも。レオナードくんは今10歳だから、子供から大人への過渡期だもんね。



 私達が歩き出すと、そのすぐ後ろから、ボルトルさんがついてくる。それはいいんだけど……。


 私が振り返ると、離れてゾロゾロとついてくる人達がビクッとして立ち止まる。みんなも転移魔法陣を目指しているのだろうけど……。


(私、怖がられてる?)


 そっか。雷撃を当てたり、ただのモンスターだと思って斬ったからかな。でも、これで良かったのかもしれない。たぶん先生は、こうなることがわかっていて、ホームルームで乱戦をするって言い出したのだと思う。


 その後に、みんなの私への疑念も潰しておこうとして、不快に聞こえる拘束術を使ったのね。私に守護精霊がいると知っていたから、私には効かない程度の術だったのだと思う。


(ゲネト先生って策士だね)


 シャーマンは、ダークロード家では雇ってないみたいだから、ダークロード領にはほとんどいないと思う。でも他の貴族の領地では、聖職者のような扱いをするところもあるみたい。私のイメージでは、死霊術師ってホラーなんだけど。




 派手な色とりどりの塗料が塗られた小屋が見えてきた。これが転移魔法陣の小屋なのね。とても目立つから、見つけやすい。


 それに、この色合いと小屋から漏れる転移魔法陣の魔力は、モンスターを寄せ付けないみたい。



「ミカン、一度に転移できるのは2人までだ。目的地は、近くの冒険者ギルドになる。グリーンロードの冒険者ギルドの転移魔法陣が混んでいると、他に飛ばされるんだ」


 レオナードくんは、私にそう説明しつつ、ボルトルさんの方をチラッと見た。ボルトルさんはレオナードくんの護衛代わりだよね。


「じゃあ、レオナードくんとボルトルさんが先に行ってよ」


「へ? 俺とミカンじゃなくて、か?」


「うん、私は後からでいいよ。以前の私とは違うから大丈夫だよ」


 レオナードくんは、やはり、ベルメの転移事故のことを気にしているみたい。


「わかった。すぐに来いよ? 見知らぬギルドに飛ばされたら、ちゃんとグリーンロードって言うんだぞ?」


「ふふっ、私はそんなに子供じゃないから大丈夫だよ。レオナードくん、ありがとうね」


 私がそう言うと、レオナードくんの顔が赤くなった。言い方を失敗したかな?



 レオナードくん達が転移した後、私も転移魔法陣に足を踏み入れる。だけど……。


(これ、どうやって稼働させるの?)



あけましておめでとうございます。

元日から大きな地震ですね……。

皆様ご無事でしょうか。ウチは地震警報に驚きましたが、震度3だったので大丈夫でした。

なにとぞ皆様、ご安全に。


今年もよろしくお願いします。

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