ギフテッド マークスへのプレゼント
「ハハハ シオリはマークスとデートしてきたのか。あの兄弟は女好きだなぁ(笑)」
「ホントですね、カナタ様。皇帝陛下は一気に2人の成婚を発表されて……絶倫なのでしょうか(笑)」
「ヒナコさん、ほらほら、ヨダレたれてますよ(笑)」
「いかんいかん。それにしても何故、第2と第3夫人なんだ? 第1夫人が居るのだろうか……それとも故人とか」
「いらぬ詮索は良いではないか。何か理由があるのだろう」
カナタ様の声が少し上ずっている。嘘が下手な方である、理由を知っているのだろう。シオリはこの時間が大好きだ、ミルックを発ってからというもの、夜は3人でお喋りをする。
「カナタ様、いつ帝都から出発するのですか? ノールダムって遥か遠いですよね」
「もう少し後になる。皇帝陛下に頼まれてもう1人ノールダム女学院に連れて行くことになった。言いづらいのだが……陛下の妹、要するに皇女様だ。シオリより2歳上になるかな……」
シオリは咄嗟に考えた……マークスの妹、ということは仲良くなることは大命題である。
「仲間が増えるのは楽しいですよね(笑)」
「皇女様もシオリと同じくギフテッドでな。あ、ヒナコ大丈夫だ……シオリのように規格外なギフテッドてはない、普通に生活してもいい程度だから」
シオリはギフテッドについてあまり詳しくないので、自分を基軸に考えていた。お姫様でちょっぴり魔法が使えて、そして恐らくかわいい……マークスも陛下もイケメンなのだから。きっと素敵なお姉様に違いない!
「カナタ様、皇女様なら……なんてお呼びすればいいのでしょう」
「普通でよろしい。さん、でも、ちゃんでも付ければ。ヒナコは呼称にこだわり過ぎる、年下は呼び捨てにしろ。シオリも皇女様とか呼ぶな〜入学すれば同級生なんだからな(笑)」
「わかったぜ! カナタっ!」
「お前なぁ…………」
シオリはヒナコさんがカナタ様より歳上だということを初めて知った。
以前から決まっていた皇女様の公務や国外転居に関わる煩雑な手続きもあり出発は20日後になった。シオリは嬉しい、マークスとは湖デート以来花束と手紙が毎日贈られてくる。次に会えるのは明後日、帝都の市場に行くことになっている。その日が待ち遠しい。
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「おい、マークス。あまりあの少女を悲しませたりするなよ。帝国が滅ぶぞっ」
「そんな……兄さん、僕を信用してよ。健全に帝都を案内するだけですから。親交を深めておくのはいいでしょ?」
兄さんはシオリの事をかなり気にしている。乗馬を瞬時にマスターし丘の上まで早駆けした話をしたが、その時も同じような注意を受けた。彼女がギフテッドなのは知っている〜妹もそうだが、感情が揺れたときに小さな出来事が起きるだけである。怖さ、というものは感じられない。
「護衛は連れなくていいが、監視はさせてもらうからな、いいな」
「へ〜い」
護衛を付けて帝都の街に行くと皇帝の弟であるとすぐバレる。なので護衛は絶対に連れて行かない、と主張した。兄はその条件を飲む代わりに秘密部隊の監視をつけるという……そこは妥協した。
「最近、帝都にもトコヤミ教が暗躍しているとも聞いてるから、スラムや娼館近くの危険地帯には近づくなよ」
「へ〜い」
やっと兄から開放された。マークスはシオリとの待ち合わせ場所に急いだ。城の南東にごく一部の関係者のみが通れる通用門がある。その近くのバラ園での待ち合わせ……そこもデートっぽくていい。
「お待たせ! シオリ」
「マークス、遅いっ(笑)」
7分程度の遅刻。予定通りではある。マークスはシオリの手を取り挨拶をした。
「じゃ早速行こうか!」「はいっ!」
通用門を出ると細い路地があり、またその奥には民家がある。その民家の玄関から小道へ、小道から大通りに出た。
「ここは大街道というんだ。シオリ達が入場したときに通ったから覚えてるかな」
「覚えてるわけないじゃん(笑) ぼーっとしてた(笑)」
シオリは可愛い。黒髪のショートが似合う、しかし何と言っても表情が豊かで、笑顔の度にドキリとする。
「この先に市場があって、そこの食べ歩きが最高なんだよ。お腹もすいただろ、行ってみよう!」
大街道を横切って市場に着いた。市場には肉系の串焼き屋台が多い。食べ歩きをしながら市場を回る、シオリはカナタ様やヒナコさんへのお土産探しに夢中だ〜そしてお目当てのモノを一通り買い終えた。
「買い物は楽しいかい?」
「はい、みんなのお土産も買えましたし。そして、これはマークスにっ! あ、ちょっと待っててください」
シオリは先程購入したブレスレットを取り出た、質の悪い水晶で少しガラスが混ぜ込まれてある。そしてそのブレスレットを握りしめ何やら唱え始めた。ブレスレットは……みるみるうちにレインボーに輝き出す。
「はいっ! 出来ました。回復魔法を入れ込んだシオリ特製のブレスレットですっ! ごめんなさい、質の良い水晶だと割れてしまうから安物でしか作れないんです。でもでも、これ、効果は抜群なんですよ」
「シオリ、ありがとう!」
この世のものとは思えない色になっている。キラキラと七色に……。
「はい、では仕上げ!」
シオリはまた何かを唱え始めた。今度はレインボーの光が消えていく。そして、何の変哲もない黒水晶風になった。
「あのままだと回復魔法が漏れちゃうんですよ。ちゃんと蓋をしておきました。それに、レインボーは目立ちますからね(笑)」
マークスは素晴らしいプレゼントを貰った。




