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『小銭稼ぎをこよなく愛する貧乏貴族、四人のエリートに人生を狂わされる』 ~楽して生きるはずが、なんでこんなことに~  作者: 佐藤なつ
任務開始

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高い壁

どうやら厨房視察は終わり、食堂視察に移ったらしい。

そして、朝食を見て、眉根を寄せた。

「パンとスープだけ、こんな貧相な食糧事情なのか。」

なんて嘆いている。

これが普通ですけど!

っていうか、これでも贅沢な方ですけど!

本当現実知らない王子様はイヤになっちゃう。

食事している人も青筋立ててる。

鍋に近づいてきて、匂いを嗅いで一言。

「この中には毒が入っている。危険だ。」

「はっ?」

驚く俺に、周りの三人が即座に集まって分析を始めた。

凄い早い。

王子様と有能な側近って感じ。

感じなんだけど。

魔術でサーチして、何の野菜が入っているかを当てる。

「何故?味付けが塩だけ?野菜もすべて磨り潰されている。これは毒を判別する試練?」

「お前達の思考回路が怖いよ!」

塩しか無かっただけだし、お前らのせいで野菜の形がなくなっただけなんだよ。

判別も何もないよ!

言っても聞く耳持たない。

「これは、食べてはいけない!」

キリッって言い出す。


傷んだ野菜から毒素が出るのは知ってる。

下処理が不十分な魔獣の骨からダシだって取っている。

ここでは多少の傷みや、問題ある食材も廃棄せずに使う。

食糧は貴重なんだ。

わかってて皆食べているんだよ。

食堂のヤツはバカかみたいな感じでせせら笑っている。

そうだよな。

だけど、こいつらは心底理解できないんだよ。

それをどう説明しようかと思ったんだけど、その前に三人が鍋の中を処分してしまった。

シオンが乾燥させてしまったのだ。

それから、原因を探るって言って、保管庫まで行って中を見て。

こんな食糧ではいけないなんて言って。

食料庫をファイヤさせた。

エリアスの指示に従うシオン。

プスプスと燃え、消し炭になる食糧。


あぁ、酷い。

酷いよ。

俺は、炭になった食糧の前で座り込んだ。


「どうすんだよぉ~~~!」

泣きそうな俺の前で、

「これで皆の食糧安全が保たれた。」

と、エリアスがやりきった顔で宣った。

産まれながらの為政者の顔だね。

わかる。

けど、理想しか知らないヤツの顔だ。

庶民はこういうの食べているんだよ!

って言っても理解してくれない。

むしろ俺の事、疑惑の眼差しでみてくる。


あぁ、俺たちには、わかり合えない壁がある。

高い高い壁が・・・・。

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