第2話「共鳴の目覚め」
瓦礫の谷を越えた先、ユウは廃墟の中で一人の少女と出会った。 彼女の名はリナ・ヴェルノ。崩壊前の研究都市〈ノア・シェル〉の技術者だったという。
「この機械、記憶を保存してるの。水と繋がってるのよ」
ユウの心がざわめいた。水と記憶——まさに父が語っていたものだ。
「君も…記憶の水を探してるの?」
リナは少し驚いた顔をしたが、すぐに頷いた。
「ええ。あたしの家族は崩壊のときに消えた。記憶の水に、何か残ってる気がして」
「だったら、一緒に探そう。ぼくも…過去を知りたいんだ」
リナはしばらく黙っていたが、やがて微笑んだ。
「なら、あたしも君の旅に付き合う」
その瞬間、ユウの胸に熱が走った。彼の中で、何かが共鳴した。
水晶が淡く光り、ユウの視界に新たなスキルが浮かび上がる。
新スキル獲得!
スキル名:記憶共鳴(Echo Link)
効果:他者の記憶に触れることで、一時的に能力値が上昇する
「君、記憶共鳴ができるのね。絆を通じて力に変える…それは特別な才能よ」
ユウはリナの記憶に触れた。崩壊の瞬間、家族を失い、研究所で一人泣いていた少女の姿。 その痛みが、彼の中に流れ込んできた。
「ごめん。でも、君の痛みが…ぼくの中に流れ込んできた」
リナは目を伏せたまま、静かに言った。
「それでも、君が受け止めてくれるなら…あたしは前に進める」
その言葉が、ユウの中の何かを変えた。
ステータス変化(共鳴による一時強化)
ステータス数値
筋力12
体力14
俊敏15
魔力9
知力13
運10
※この強化は“共鳴状態”の間のみ持続
ふたりは廃墟を後にし、次なる目的地〈シェル・ポイント〉へと向かう。 そこには、記憶の水の痕跡が眠っているという。
風が吹き抜ける荒野の中、ユウは初めて“絆”という力を感じていた。 そして、旅はさらに深く、記憶の源へと進んでいく。