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利休になった日  作者: shoundo
第7節 馬と書と花と料理
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第7・1節 秀吉からの呼び出しと小田原征伐

宗恩:「おはようございます、利休様。関白(かんぱく)様から呼び出しがかかっております。急ぎお仕度をしませんと。」

私:「関白様から?」

宗恩:「まず、お着物に着替えましょう。駕籠(かご)はすでに呼んであります。」

私:「何から何までありがとうございます。では、急ぎましょう。」


二人で着替えを済ませ、食事もせず駕籠に乗り込み、聚楽第(じゅらくてい)の門まで急いで行くと、門前には蒲生氏郷(がもううじさと)が待っていた。相変わらず入り口が三か所ある。どこから行くのか、さっぱりわからない。

蒲生:「利休殿、遅いですぞ。さあ、関白様に叱られる前に行かないと。」

私:「おはようございます。それと申し訳ありません。また、城まで先導してもらっても良いですか?最近、物忘れがひどいもので。」

蒲生:「はっはっはっ、ご冗談を。では、案内いたしましょう。」


蒲生に案内してもらい城内の大広間に入った。広間には、座り切れないほどの武将がいて、一斉にこちらを見た。

私:「おはようございます。」

蒲生:「皆々様、お待たせいたしました。利休殿のご登場ですぞ。ささ、道を開けてくだされ。利休殿は最前列の(わし)の隣に座って下され。特等席ですぞ。」

私:「えっ、そんな前ですか?」

蒲生:「何、遠慮なさらずに。」


ちょうど細川と目が合い、助けを求めた。

私:「よろしいのでしょうか?」

細川:「利休殿は最前列で良いと思いますよ。」

瀬田:「その通り、利休殿こそ最前列にふさわしい。」

古田:「どうぞ、お気になさらず、最前列にお座りください。」


他の武将も思い思いに、私を最前列へ座るよう勧めた。

私:「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて。」

蒲生:「三成(みつなり)殿、よろしいですかな?」


蒲生は後ろを向いたままの武将に声をかけた。三成というと、石田三成(いしだみつなり)のことかな?

石田:「仕方ありますまい。利休殿は関白様のお気に入りですからな。」

蒲生:「そう悪態をつくでない三成殿。こたびの(いくさ)は既に勝ち戦。茶でも飲まねば面白くあるまい。」

石田:「茶は自服するのが一番です。茶坊主に点ててもらわなくても良い。」

蒲生:「はっはっはっ、相変わらず、ひねくれ者ですな三成殿は。利休殿、気にせずそこに座って下され。」


こんな怒った状態の武将の隣に座りたくはない。なんとかしないと。

私:「いろいろと申し訳ありません。なにぶん老いた身、来年には亡くなっているかもしれません。今回が最後の(いくさ)と思い参りました。最近は物忘れもひどく、今日も蒲生殿に城内を案内されないと、ここまで来られなかったぐらいです。目も悪く、耳も遠い。あまり遠くからだと、関白様のお顔とお声がわからない可能性もあります。」

石田:「利休殿にしては珍しく弱気ですね。わかりました。今回は私の隣に座って下さい。今回だけです。」

私:「ありがとうございます。感謝します。」

蒲生:「以前なら無言で座っていた所。利休殿は、かなり丸くなりましたな。いや、結構、結構。」


待つこと数分、一段高い所に秀吉が速足で現れた。一同に礼をする。

秀吉:「お集りの皆々方、面を上げて、顔をみせてくだされ。宗易はそこだな。三成と宗易(そうえき)が隣に座るとは珍しいこともあるものだ。これは吉兆かな。」

蒲生:「利休殿が三成殿にお願いした結果です。今日は二人の仲はよさそうですぞ関白様。」

秀吉:「そうか、それは良い。さて本題に入ろう。主力となる本陣には、わしが入る。宗易、氏郷、三成、忠興(ただおき)は共に本陣につけ。後日、徳川家康(とくがわいえやす)殿と織田(おだ)(のぶ)(かつ)殿が応援に来てくれる。」

蒲生:「細川殿、共に頑張りましょうぞ。」

細川:「承知いたしました。」

石田:「利休殿、戦闘の邪魔だけはしないでくださいね。」

私:「ご安心ください。馬もまともに操れない身。そこの花入のように、その場でうずくまるのがやっとでございます。」

秀吉:「良いぞ宗易。なかなか面白い事を言う。さて、水軍は長宗我部元親(ちょうそがべもとちか)殿に率いてもらう。前田利家(まえだとしいえ)殿、上杉景勝(うえすぎかげかつ)殿、真田(さなだ)昌幸(まさゆき)殿、それと瀬田正忠(せたまさただ)には北方軍として別動隊を組んでもらう。補給はいつものように長束(ながつか)正家(まさいえ)に一任した。」


秀吉は次々と武将の名を列挙し、豊臣軍の陣容が固まった。

秀吉:「宗易、黄金の茶室を持って行く。戦場ではできるだけ茶を点ててもらいたいが、何か必要なものはあるか?」

私:「今すぐには思いつきません。後ほど、ご連絡させていただきたいと思います。」

秀吉:「では、他の者も入用なものがあれば連絡するように、以上。」


秀吉が席を立つと、一同が礼をする。まさに時代劇そのものだなと思っていると、蒲生が声をかけて来た。

蒲生:「利休殿、後ほど連絡するというのは良い案でしたな。」

私:「ありがとうございます。それと帰り道なのですが。」

蒲生:「はっはっはっ、ご安心を、ちゃんと案内しますぞ。」


この作品は「YouTube(

https://www.youtube.com/watch?v=_esFEnn-oSk&list=PLH33wsaeFCZVs3pm2qrdF_X2PLHNqSU-v&index=1

)」にも掲載しています。

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