第11・2節 毛利輝元の弟子入りを断る件
その日の夕方、私は細川に城内の途中まで連れて行ってもらい、毛利輝元に接見した。
毛利:「利休殿、有馬温泉へ行かれて、手足のしびれは、だいぶ良くなりましたかな?」
私:「実はそのことで、残念なお話をしなくていけなくなりまして。」
毛利:「弟子入りの件ですな。」
私:「はい。申し訳ありません。何か期待させるようなことを言ってしまって。」
毛利:「良い良い。いつか手足のしびれがなくなり、教えてもらえるようになるまで気長に待つことにしたからの。」
私:「そんな。それではいつ茶の湯を教えられるか分かりませんよ。」
毛利:「なあに、良いのだよ。」
毛利はニコニコしながら、私の手を握った。
毛利:「私はな、利休殿の茶の湯に惚れたのだ。だから早く回復して、私に茶の湯を教えてほしい。なあに、きっと良くなりますぞ、利休殿。」
私:「ありがとうございます。毛利殿に早く茶の湯を教えられるよう、できるだけ治療に専念いたします。」
毛利:「うむ。では、利休殿、誰かに家まで送らせよう。先日、城で迷子になったという噂を耳にしたのでな。」
私:「噂ではなく、事実です。折角、細川殿に案内してもらっていたのですが、廊下にある綺麗な屏風を見ているうちに、はぐれてしまったようで。」
毛利:「なるほど。そうであったか。では、利休殿を家まで送る者には、利休殿を見失ったら切腹せよと言っておこう。」
私:「本気ですか!」
毛利:「冗談だ。しかし面白いのぉ、利休殿の反応は。昔とは大違いだ。」
私:「よかった。安心しました。」
毛利:「そうか。さて、おーい誰かいるか。」
少しして、細川が現れた。
細川:「はっ、細川忠興、ここに。」
毛利:「おお、細川殿、ちょうど良い所に。実は利休殿を家まで送ってほしいのだ。良いだろうか。」
細川:「かしこまりました。」
私:「弟子入りの件、本当にすみませんでした。それと、元気づけていただき、ありがとうございます。では、失礼いたします。」
毛利:「うむ。では細川殿、後はよろしく頼みましたぞ。」
細川:「承知いたしました。」
家へ帰る途中、私は毛利輝元との会話を報告した。
細川:「良い人ですね。毛利殿は。」
私:「そうですね。」
細川:「さて利休殿、明日は私の家に来てください。今後の対策を練ります。」
私:「はい、了解しました。」
この作品は「YouTube(
https://www.youtube.com/watch?v=A8E59u_07ak&list=PLH33wsaeFCZWtchkfIIltAH2CqFwbjcH8&index=16
)」にも掲載しています。




