第11・1節 古田への報告 ~インスリンについて~
10月16日、私は細川と共に、古田家で報告をしていた。
古田:「つまり、茶の湯以外でも問題が発生したわけですね。」
私:「はい。毛利殿の件と瀬田殿の件はまだ良いのですが、関白様の件は、現在検討中です。」
細川:「まず、城にいる毛利殿には丁寧にお断りしましょう。直接、出向くのが良いでしょうね。城内を誰かに案内してもらってください。」
私:「わかりました。後で行ってきます。」
古田:「関白様は未来人を知る人物でしたが、完全に山田一郎側というわけではないですね。」
私:「関白様が私に、くれぐれも未来から来たことは隠すように、と注意した為ですね。」
古田:「はい。山田一郎には、まだ情報を流していないのではないかと。」
細川は古田の話を聞き、少し考え込んでいた。
細川:「一応、最悪の状況を考えましょう。」
私:「最悪の状況と言うのは?」
古田:「山田一郎に、正体が知られた時ですね。」
細川:「そうです。もしくは、山田一郎が既に利休殿の正体を知っている場合でしょうか。」
私:「すぐに殺されますね。どうしましょう。」
細川:「私なりに今までの殺害方法を検証したのですが、どうも薬を使ったのではないかと推察しています。それもこの時代にはないインスリンという薬剤です。」
私:「もしかして、糖尿病の薬ですか?」
細川:「よくご存知ですね。インスリンは、大量に摂取すると低血糖になって、意識を失って死に至ります。」
私:「怖いですね。」
細川:「糖尿病と言えば、源氏物語の光源氏のモデル・藤原道長が糖尿病だったのは有名ですね。」
私:「いえ、それは知りません。」
細川:「まあ、ともかく、インスリンの抽出には多くの動物から膵臓を取り出してインスリンを抽出する必要があります。知識さえあれば、この時代でも原理的にはインスリンの抽出が可能かと思います。」
私:「山田一郎にインスリンを作るだけの知識はあるのですか?」
細川:「兄・山田一郎は化学者ですから、余裕でしょうね。」
古田:「他にも、いろいろ薬を作れそうですね。」
私は先日、有馬温泉で秀吉と決めた御触れを思い出した。
私:「そういえば、有馬温泉で毒物の扱いに関して、売買を禁止する御触れを関白様が出したような気がします。たしか浪人に対する刀狩令だとか。」
古田:「浪人停止令ですね。なるほど、毒物による殺害は難しくなりますね。」
細川:「そうですね。ただインスリンは、この時代の人が毒物と認識できるかどうか。」
結局、結論は出なかった。
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)」にも掲載しています。




