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すみれ色の瞳  作者: mayan
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昼食

 


「アリス、昼食をとりに行きましょう?」

「ええ!」


 午前の授業が全て終われば、お昼ご飯!

 アリスト学園にはこれまた大きな規模の食堂があり、生徒たちは基本的にそこで食べる。

 料理をするのはもちろん一流の調理人。給仕の方までついていて、本当にレストランのようだ。

 寮から校舎への道が分からない私は、当然のことながら1人で教室から食堂まで行ける訳もなく、シャルロットについてもらっている。


「なんか、色々とありがとう」


 この学園に入学して2日目、友達期間2日目にして、シャルロットにはとってもよくしてもらっている。


「気にしないで。私には沢山兄弟がいてね、弟や妹も多かったから、お世話は慣れているの」


 私は、妹……。

 シャルロットはとても可愛らしい容姿をしているので勝手に私の方が姉のようだと思っていたが、全く違った。


「あそこの席空いているわ。行きましょう」


 私を連れてスタスタと歩く。


「今日は何を食べようかしら」


 メニューを広げて、迷う。


「このサンドイッチ美味しいわ。肉料理頼むときは気をつけて、凄く脂ぽかったり、量が多かったりするから」


「ありがとう。じゃぁ、シャルロットおすすめのサンドイッチにするわ」


「なら私も」


 2人で同じサンドイッチを頼み、料理を待つ。


「アリスって、スーリールの侯爵令嬢なのよね?」


 穏やかな笑みを浮かべてシャルロットが聞いてきた。本当に可愛い。


「ええ……そうね。生まれは違うけれど」


「あら、そうなの?」


「私はミーティア侯爵家の養子だから。元は……別の国よ」


 ラシオン王国の名前を出して良いのか分からず、適当に誤魔化しておく。それでも、シャルロットは必要以上に追求はしなかった。


「……授業はどう? 分からないところ、あったりする?」


「今のところ大丈夫そう。でも、歴史は少し難しい……というより、知らないわね」


 魔法学や、マナー、領地経営について、など王妃教育でやったものは問題なさそうだった。しかし、アルド帝国の歴史の授業は少し不安だった。隣の大国として、大雑把な歴史は知っているものの、そこまで詳しく知っているわけではない。


「そうね……。留学生に歴史はきついかも。でも、それ以外は大丈夫だなんて、アリス凄いわ」


「そ、そうかしら?」


「ええ! 今やっているのは発展的な内容なの。皆1年の時に基礎的な内容を学んだからついていけるのだけれど、アリスはいきなり今の授業についていけてるのだから立派だわ!!」


 シャルロットのその愛らしい笑顔に、その褒め言葉に、胸がキュンとなる。嬉しい。……素直に嬉しわ。


「お待たせしました」


 そんな時、お待ちかねのサンドイッチが運ばれてきた。


「わぁ! 美味しそうね!!」

「でしょ?」


 ハムやチーズ、レタスにツナ、フワフワのパンのサンドイッチはとっても美味しそうだ。


「いただきます」

「いただきます」


 一口口に頬張る。

 ハムの塩気とパンの甘さが堪らない!! 

 あまりの美味しさに頬が緩む。


「どう?」

「美味しいわ!! 本当に!!」


 私がそう言えば、シャルロットは安心したように顔を綻ばせた。私に勧めたからか、私がどう思うか心配だったみたいだ。


「良かった」


 私たちは楽しいランチタイムを過ごした。










「アリス!」


 シャルロットと共に教室に戻る帰り道、私は廊下で声をかけられた。


「……タルッフィ先生」


 廊下を早足に歩いてくるタルッフィ先生は相変わらずかっこよく、美しい。


「少し、時間良いかしら?」


 手元の懐中時計を見れば、まだ午後の授業まで15分はある。


「はい。大丈夫です」


「……それなら、先に教室に行ってます」


 そう言い残しシャルロットは教室へ、私はタルッフィ先生に連れられて近くの一室に入った。






「アリスさん、これなんだけど……」


 向かい合うように座ったタルッフィ先生が差し出してきたのは一枚のプリント。


「……魔法実戦演習、選択……?」


「ええ。アリスさん、あなた2属性持ちでしょう?」


「はい」


「アリスト学園の魔法実戦演習の授業は属性別にクラスが分かれるのだけれど、2属性以上の生徒はどちらか片方を選ぶの」


 ……属性別で授業、素晴らしいわ!! 正直、属性によって性質が異なるから、皆一緒にやっても上達しにくいと思っていたのよね。流石はアルドの学園だわ!


「それから、2属性以上の生徒は普段の授業が終わった後の演習の時間が週に一回あるわ。それが……この後ろの方に書いてあるこれね」


 タルッフィ先生が指さしたのは、プリントの下半面に書かれている文字。


「第16サロン……サロンですか?」


 放課後演習の場所がサロンなのですが、これは? 演習ですよね?


「えっとね、サロンの奥に練習場があるのよ。……でもまぁ、複数属性持ちとなると、魔法において優れている人が多いから、演習といっても大したことはやらないわ」


 ……第16サロン!! 辿り着ける気がしないわ……。


「……第16サロンとは、どこでしょう?」


「東棟の4階の階段を左に行って、2つ目の角を右に行った3部屋目よ」


「無理です。全く分かりません」


 ……東棟の? 4階……、の、階段の……え?


「誰かに案内して貰えば良いわ。アリスのクラスだと、ヨハネス殿下、ミランダさん、アラン君ね」


 よし、アラン様に案内して頂きましょう。


「来週から実技演習の授業があるから、できれば今週中にどちらの属性にするか、この紙に書いて提出してくれる?」


「分かりました」


 私は水魔法と光魔法、どちらにしようか考えるのだった。





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