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すみれ色の瞳  作者: mayan
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シアラ様からの手紙

 


「シアラ様からっ!?」


 まさかの人物に私は驚く。


「……でも、どうして私がここにいることをご存知なのかしら」


「それも不思議なところですが、とりあえず読まれては? 開けた途端爆発する……などの魔法はかかっていなかったので、ご安心ください」


「そうね……そうするわ」



 真っ白な地に金色の装飾が施された手紙は高貴な方からであることが分かる。封を開ける手がかすかに震えた。


 婚約破棄の時に、またすぐ会えると仰ってくださったシアラ様。まだ最後に会ってから数週間しか経っていないのに、そのお顔を思い出すだけで懐かしい気持ちになる。


 ……シアラ様、お元気かしら。


 折りたたまれた手紙を広げながら思う。


 ……そう言えば、帰国計画は……、まぁ、いいわ。とりあえず読みましょう。



 手紙の内容は、シアラ様の近況についてだった。




 ……すごい、凄すぎる。シアラ様、本当に成し遂げられるなんて……。


 シアラ様は、私が国外に逃げた後、帰国計画を実行したらしい。

 周りを巻き込んで見事ラシオン王との離婚を成立させると、国王の追手も全て振り切って母国のスーリールに戻ったのだと。


 それから! シアラ様はスーリールで再婚することに決められたそうだ。

 お相手は、お茶会の時にたまに出てきた想い人らしく、文章からも嬉しそうなのが伝わってくる。



 ……シアラ様が嬉しそうで良かった。



 私はほっと息をつく。

 シアラ様は気にしないでと仰っていたが、やはりシアラ様の幸せを私が奪ってしまったのではないかと心配だったので、本当に良かった。



 それから……1度会いたいと仰ってくださっている。



 私はシアラ様に会いたくて仕方がなかった。


 時に母のように私を導いてくれて、時に姉のように私の世話をしてくださったシアラ様。


 またシアラ様とお茶会がしたい。

 沢山お話がしたい。

 また魔法を教えて頂きたい。



 だけど……。



 今の私はキャサリン様の医師である。

 それに今は教会の患者さんの治療もしている。


 スーリールに行くにはおそらく1週間くらいはかかる。


 往復で2週間以上、皆容体が安定してきたとは言え、100%安心とは言えないのだ。



 ……1度引き受けたからには、私には責任がある。



 私は、結婚を祝福する言葉と近況報告、治療のためここを離れられないことを手紙に書いた。



 会えないのは少しだけ残念だけれど、スーリールにシアラ様がいらっしゃる。

 居場所が分かるから、会おうと思えば会えるのだ。


 それだけで私は幸せだった。




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