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すみれ色の瞳  作者: mayan
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治癒魔法は……

 


 学園祭も終わり、季節は秋から冬に移行し始めていた。

 今度は冬休み前の2回目のテストだ。

 まぁ、今回も私は対策も勉強もなしで挑んだのだが、余裕だった。


 ……すごいわ、私。


 王子はやはり前回の5位が少々まずかったのか、放課後すぐに城に戻され勉強させられているようだ。……これもセラフィーナ情報網からである。


 この闇に包まれたセラフィーナ情報網、どこから情報を仕入れてくるのか気になって聞いてみたが、


「企業秘密です」


 と言われ、結局教えてもらえなかった。




 まぁそれはさておき、私は今順位表へ向かっている。あの王子よりも先に見なければ、対応を間違えてしまう可能性があるのだ。

 表の前にできた生徒たちの人混みに紛れて順位表を確認する。



 1位 アラン・アルテミス 500点

   アリス・スペンサー 500点

 3位 ジオルド・ラシオン 486点



 アラン・アルテミス……。

 あなた留学生よね?この国の歴史とか初めて習う内容よね?

 満点って……かなりの天才!?


 それにしても、王子頑張ったわね。3位まで浮上よ。まぁ、満点を取らないとこの学園ではトップになれないのだけれど。


 あら、ぼーっとしてはいけないわ。王子が来る前に立ち去らなくては。目をつけられたら面倒だもの。




「そう、あの子3位だったのね」

「はい」

「アリスが満点は納得だけれど、留学生が満点はすごいわね」

「私も驚きました」


 冬休みに入ってからの久しぶりのお茶会である。


「最近はごめんなさいね。なかなかお茶会の時間が取れなくて……」

「いえ!このようにお時間を頂いているだけで幸せです」


 ここ最近、公務が増えているのかシアラ様はいつもより少しだけ疲れて見えた。



「では、時間が無くならないように今日は光魔法のお話をしましょうか」

「はい!」

「食べながら聞いて頂いて結構よ」

「ありがとうございます」


 私は温かなホットチョコレートをそっと口に含んだ。


「アリスにはこれまで光魔法の基本、治癒魔法、回復魔法、解呪魔法、結界魔法などは教えたわね」


「はい」


「その中でも治癒魔法は戦争でもない限り、連発して使うことはないけれど、病気や怪我を治せる素晴らしい魔法よ」


 ……そうですね。風邪っぽい時に自分に治癒魔法をかけてみましたが、凄く気分が楽になりました。


「そんな治癒魔法だけれど、使う時に気に留めていてほしいことがあるの」


 なんでしょう?


「治癒魔法はかければ治る、完璧な魔法だと思われているけれど、それは違うの。その人の体力や気力に左右されるのよ。足をひねった深窓のご令嬢より、急所を刺された騎士の方が治しやすかったりするの。これは元々持っていた体力の差ね」


 治癒魔法にそんな落とし穴があったなんて。勝手に万能だと勘違いしていました。


「体力や気力のない人に強力な治癒魔法をかけると、身体や心が耐えきれなくなって治ったはいいけれど意識を取り戻さない。そんな状態になることもあるの。」


「では、体力や気力に無い人はどのようにして治療するのですか?」


「強力な治癒魔法を使って一度に治すことはできないから、解決策としては何回にも分けて少しずつ治癒魔法を使用することね」


 いざ人を治療するときにはちゃんと気をつけてね。


 シアラ様はそう仰った。




(アーリスッ!)


 ……アリア?


 そっと目を開けると、ベッドの上に真っ白な動物がいた。


(久しぶり! 遊びに来たわ!!)


 ……アリアが、来てくれた!!


 夏休みの夜以来、私はアリアに会えずにいた。

 シアラ様のおかげでアリアが幻覚ではないことは分かったが、一向に現れないアリアに、


 ……もしかして、嫌われてしまったのかしら。


 と少し落ち込んでいたのだ。


「久しぶりね、アリア」


(なかなか会いに来れなくてごめんなさい)


「いいえ、大丈夫よ」


 っ、そうだ!!


「あなたが来てくれるときにあげようと思って、お菓子を部屋に常備しておいたの。良かったら、どう?」


(くれるの!? 本当に!?)


「ええ、どうぞ」


 そう言ってチョコレートクッキーをテーブルに出す。


(お姉様が、人間界のお菓子はおいしいと言っていたから、ずっと食べてみたかったのよ!!)


 

 私たちは夜中にクッキーを食べながらお喋りを続けた。


 翌朝の私の顔色は寝不足で悪く、フィーに大変心配された。


 ……申し訳ない。




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