第三章:冥界の旅立ち 第四話 魔界の門
冥界の深淵に、巨大な黒い門が現れた。
『魔界の門』――その表面には見たこともない恐ろしい魔物や魔獣の彫刻が施されている。
いや彫刻ではない、門番として魔物や魔獣が生きたまま貼付けられているのだ。
力の無い者なら近付いただけで死んでしまうか、気が狂ってしまうだろう。
「黒き聖女よ、門を開きなさい」
冥界の女神ヘカテーがモモ・ルーに命じる。
モモ・ルーが門に近付くと、一斉に門番の魔物達が襲い掛かってきた。
「ギャーーッ!」
しかし、悲鳴を上げたのは魔物達だった。
ゴゴゴウッ!
彼女に近付く魔物達は、黒き聖女が放つ「聖葬の黒焔」によって一瞬で焼き尽くされた。
ギギギギ………
門が開く、
魔界へ続く階段は、まるで生き物のように脈動し、赤黒い光が内部で蠢いている。
モモ・ルーは息を呑んだ。
門の向こうから吹きつける風は、熱と冷気が混ざり合ったような異様な感触で、
まるで“世界そのものの悲鳴”が流れ込んでくるようだった。
その先は魔界――魔王が支配する地獄。
エンプーサは刀を抜き、モモ・ルーの前に立つ。
「行くぞ、黒き聖女。
魔王を殺す旅は……ここからだ」
ヘカテーは黒い炎を灯し、三人を照らした。
「モモ・ルー。
お前の復讐は、ここから始まる」
モモ・ルーは一歩、門へと踏み出した。
「私は黒き聖女モモ・ルー。
この世界に復讐するために生まれた」
三人の影が、魔界へと消えていく。
――彼女の歩みは、やがて神々の玉座へと至る。それをまだ、誰も知らない。
【『聖女モモ・ルーと冥界の女神』第一部 終幕】
お読みくださいまして、ありがとうございました!
第一部が無事、終幕しました。
一人の純真な聖女の「死」「再誕」「旅立ち」をテーマに描き切ることができてホッとしております。
第二部も読んで頂ければ幸いです。




