第一章:光の聖女 プロローグ
皆様はじめましてこんにちは
Toruと申します。
新シリーズ『聖女モモルーと冥界の女神』始めました。
これは一人の純真な聖女を主人公とした物語です
第一部は、聖女に残酷な真実が突きつけられます。
そして絶望の果てに掴んだものは何なのか…
それでは最後までお楽しみ下さい。
ゴーン…ゴーン…
王都の朝は、荘厳な鐘の音と共に幕を開ける。
「神よ…」
まだ夜も明けきらないうちから、聖女は大聖堂の奥深くで膝をつき、神に祈りを捧げていた。
千年に一人の才を持つと言われる彼女は、人々から「光の聖女」と呼ばれていた。
「神よ、我ら人間を魔王の手からどうかお守り下さい…」
彼女は、光の魔法を操り、幾多の魔物を倒し、人々を守ってきた。
そんな最強とまで云われた聖女が神に祈りを捧げるのには理由があった。
この世界は天界、地上界、魔界の3つに分かれた三層世界だ。
天界は、この世界の創造主である神長を筆頭に神族が住む世界。
地上界は、人間の王族達が治める世界。
そして地上界の地下には、魔族の王である魔王が治める魔物達の世界、魔界がある。
魔物達は、しばしば地上界に現れ、人々を襲っていた。
魔物は人を喰らうのだ。
人々はいつも恐れていた。
次に襲われるのは自分達かもしれないと…
そんな人々にとって、唯一の希望が聖女だった。
人間の中には、稀に神の力を与えられて生まれてくる者がいる。
その者たちは神の力である魔法を使うことができた。
聖女はその最たる者で、まさに神に選ばれし者だ。
彼女達聖女には名前が無かった。
貴重な存在でもある彼女達は、この世界の公共物として扱われ、聖女となった時点で固有名詞、つまり名前が無くなるのだ。
水の魔法を使う「水の聖女」、炎の魔法を操るΓ炎の聖女」もいたが、中でも最上位神聖魔法と言われている光の魔法を使える彼女が「光の聖女」と呼ばれる理由だった。
しかし…
いくら最強の光の聖女といっても、地上界全ての人々を守れる訳ではない。
魔物による被害は増加の一途を辿っていた。
更に、ここ数年は王都にまで魔物が出没するようになってしまっていた。
「このままでは、いつか人間は滅びてしまう…」
「聖女様!光の聖女様!」
突然、大聖堂の扉が開かれ王都を守る衛兵が飛び込んできた。
「何事です。」
「た、大変です!ワイバーンが王都の上空に現れました!」
「何ですって!」
ワイバーンは小型のドラゴンだが、動きが素早く上空から人を襲う厄介な魔物だ。
聖女は急ぎ外が見えるテラスまで走った。
「どこワイバーンは!」
すると聖女の頭上を黒い影がザッと過ぎていった。
「あの方角は!」
今朝は城下町の広場で朝市が開かれている。
もちろんそこには沢山の人々が集まっているはずだ。
もし、そんな所をワイバーンが襲撃すれば、沢山の犠牲者を出してしまうだろう。
「行かせません!」
聖女が手を開くと、光の粒が集まって錫杖が出現した。
杖を構えた聖女は神聖魔法を発動させるための詠唱を唱える
「天界の神の名において、光の精霊よ我に力を与え給え『光の矢』よ、あの魔物の動きを封じよ!」
詠唱を唱え終わると同時に、無数の光の矢がワイバーンに向って飛んでゆく。
ドガガガガガガッ…
ギャオォォン!
無数の光の矢がワイバーンに突き刺さり、まるで空に張り付けられた様に空中で動きを止めた。
グルグルーッ
ワイバーンが唸る
「光の矢よ、滅せよ」
聖女がそう呟くと、更に大量の光の矢がワイバーンに突き刺さる。
それはまるで光の球体の様になり、光の消滅と共にワイバーンは四散し消滅した。
「凄い!」
「さすがは『光の聖女』様だ!」
後から来た衛兵達がそう言って喜んでいる。
「カイル」
「はい!」
聖女に名前を呼ばれたまだ少年の面影が残る衛兵が前に出た。
「他に被害がないか城下町を調査して下さい。」
「了解しました!光の聖女様!」
カイルはまだ若いが、優秀な衛兵だ。
聖女程ではないが、彼もまた神の力を持って生まれた者だ。
カイルは衛兵隊を従え城下町へと向かっていった。
「ふう…民衆が襲われる前に退治できて良かった」
「良くやりましたね、光の聖女よ」
彼女の背後から歩み寄る人影がありました。
「教皇様!」
慈愛に満ちた声の主は、教会の頂点に立つ教皇だった。
聖女は片膝をつき頭を下げた、この世界での最大級の礼だ。
「貴女のお蔭でまた民衆が救われました、礼を言います。」
「いいえ教皇様、私はお役目を果たしただけです…それに…」
「それに?」
「はい…これではきりがありません…やはり魔王を討伐せねば…」
彼女は信じていた。
魔王を倒し、邪悪を払うことこそが、世界を救う唯一の道だと。
「そうですね…しかし今は目の前の問題を片付ける事に集中しましょう。」
「目の前の問題…何かあったのですね。」
「北方の村に強大な魔力の出現を感じました。」
「もしや、魔王が!」
「いいえ魔王ではありませんが…詳しいことは教会で話しましょう」
そう言って、教皇は聖女を連れて教会へと戻っていった。
お読みくださいましてありがとうございます!
プロローグなので、なるべく世界感を感じて貰えるよう書きました。
元々はギリシャ神話をベースにしようとしました、が、もう無茶苦茶になってます。スミマセン
ファンタジーなので何でもありと割り切って楽しんで頂けたら幸いです。




