Act 4-9:対決のとき
ぼくたちは、馬車を降りると、家の周囲を観察した。
扉も窓も、閉めきってある。
「ここ──」
声が上がった。
「一度、聞きこみにきた」
ナズナが、めずらしく感情を出し、あえぐように言った。
「留守みたいだった。だから、次の家に向かった」
「ナズナさん」
「あのとき、ナズナが、もし──」
「ムリですよ、ナズナさん」
「でも、止められたかも──」
「予測するなんてこと、だれにも、できません」
ナズナは、ゆるゆると首をふった。
「なかに、だれかいますか?」
ぼくの問いかけに、ピュグマは生命探知の魔術を使った。
杖を家にむけ、ぐるぐるまわしながら、目を閉じる。
その目が、まぶたのうらで動いている。
「──いる」
やがて、ピュグマが言った。
「いるのだ」
「数は?」
「数、数は──え? 三人!?」
「新たな被害者だ。どこからか連れ去ってきたな」
Qは拳銃を抜いた。
「三人の位置関係は?」
「みんな、おなじ部屋なのだ」
「状況までわかるか?」
「一人は立って歩きまわってるのだ。もう一人は、床に横になってる。最後の一人は、横になってる人間のとなりに膝をついてるのだ」
「順に、ハレルヤ、新たな被害者の女性、シヅヤ、ですね」
ぼくは頭のなかに状況を思い描いた。
「また、シヅヤに殺させようとしてる」
「まずいな……」
「このままじゃ、殺されてしまうのだ!」
「ヘタに刺激するのも、よくない」
「ですが、シヅヤはおそらく、すぐにでも殺してしまうでしょう……」
ぼくは顔を上げた。
「話をします。ぼく、一人で行かせてください」
「ダメだ」
Qが首をふった。
だが、ぼくはすでに、歩きだしていた。
「議論している時間はありません。行きます」
Qをふりかえる。
「銃を貸してください」
「てっきり、いらないと言うと思ったが?」
Qは銃を取り出し、ぼくに手渡した。
「刺激したくないとか言ってさ」
「丸腰であること、そのものが武器となることもあります。でも、今回は──彼は、おそらくもう、そういう段階を通り越しています」
拳銃の重みを手に。
ぼくは気をひきしめた。




