Act 2-8:新たな遺体
ぼくたちは、Q・ナズナの組と、現場の家で合流していた。
目の前には、見るも無残な死体があった。
「これは、アンサブBの事件だな」
「ですね。〈無秩序型〉の犯行です。コップで血を飲んだ跡もある」
ぼくは、Qに同意した。
「凶器は、またしても現場にもともとあったダガーですね。現場にあったものを凶器として使用するのは、〈無秩序型〉の特徴ですが……」
違和感をおぼえる。
「ダガーばかりを使うのは、強迫観念的要因でしょうか。なにか、こだわりがあるのかもしれません。この場合、犯人はおそらく、自分のなかの妄想に従って行動していますから、その行動に理屈を見つけることは、おそらくできないでしょうが」
「恒一」
Qは死体のそばにかがみこんだ。
「気づいてるか?」
「はい」
Qと同意見であることを、ぼくは認めた。
「この死体……腐敗の状態から見て、かなり古い。おそらく、前の事件と同時期か、それよりも、さらに前に起きていますね。これまで、発見されなかったなんて」
「シヅヤの目撃情報で、この一帯にたどり着いたんだ。一軒一軒まわっていて、この家の庭が、しばらく手入れされていないことに気づいた。ためしに玄関を調べると、カギまで開いていた。それでなかを調べると、この状況が待っていた」
「こうなってくると、犠牲者はほかにもいるかもしれませんね」
「ありうるな」
「シヅヤの行方は?」
「まだつかめない。目撃情報も、行き止まりにぶちあたっちまった」
「もう遅くなるのだ」
ピュグマが歩いてきて、言った。
「この現場は、衛兵に保存してもらう。監視もさせるのだ」
「もし事件を聞きつけて野次馬が発生するようなら、その人たちを念写するよう、おねがいしておいてください」
「どうしてだ?」
Qが問う。
「〈無秩序型〉の犯人は、殺人の快感を追体験するために人知れず現場にもどってくることはあっても、野次馬として現場にもどってきたり、ましてや捜査の進展に興味をしめしたりはしないぞ?」
「ええ、もちろん、そう思います。ぼくが気にしているのは、アンサブAがこの現場を見にくる可能性です」
「アンサブAが? どういうことだ?」
「わかりません。しかし、この二種類の事件には、どこか相互作用があるように思えるんです。まったく無関係とは思えない」
「衛兵に念押ししておくのだ」
ピュグマが言った。
「遺体も調べるよう、依頼するのだ。最低限必要なことは、さっきQに聞いた」
ぼくたちは、腐臭ただよう家をあとにし、拠点としている宿へともどることにした。




