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出動!悪行清掃人!   作者: 糸東 甚九郎 (しとう じんくろう)
#8 顔の見えぬ者たち!
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~ファイル37 五行節のジッテ、現る!~ 

 陽は西に傾き始めていた。

 小紅たちは、夕食の食材を買い出しに行くついでに、近くにある「千寿山(せんじゅやま)公園(こうえん)」で散歩をしていた。

 春はサクラ、初夏はツツジ、秋はカエデ、冬はナンテンが美しい公園で、小さな観覧車もある。

 そしてここは、男女にとって、ちょっとしたデートスポットでもある。


「へー。柏沼市の市街地が一望できるんだ? いいところだね!」

「小紅の家、あそこかな? うーん。ウチ、この公園、気に入ったーっ!」


 周囲には、人の姿は特になく、静かでゆったりとした時間が流れていた。


「居心地いいでしょ? あたしがね、気分転換によく来る場所なの。朝の走り込みも、ここまで来てから家に戻るまで、ちょうど往復二キロくらいなんだー」

「ふーん。いいじゃない。・・・・・・ねぇ、小紅チャン? こんないいところに、一人で?」

「え? なにが?」

「彼氏クンと、よく来てるんじゃないのーっ? ほら、県庁の時にいた、あの男の子!」


 小紅の鼻先に人差し指を突きつけ、にんまりと笑って華蓮が詰め寄る。

 その横で、苺も、くすくすと笑っている。


「華蓮まで、まぁた、優太をそう見てぇ! そんなんじゃないってばぁ!」

「照れないでー? わたくし、どう見ても、あれは恋人同士にしかー・・・・・・」


   ・・・・・・ヒュウゥンッ!  ヒュヒュウゥンッ!


 その時、突然、何かが空気を切り裂きながら高速で小紅たちに迫った。


「・・・・・・っ! あぶない! 二人とも、伏せてぇっ!」


 小紅は、華蓮と苺の首元を両腕で抱え、なりふり構わず地面にさっと伏せた。


   ・・・・・・キキィィンッ!  ドカアッ!


 得体の知れない尖った金属が、ひとつは観覧車の土台に当たり、弾け飛んだ。もう一つは、サクラの木に深く突き刺さった。


「な・・・・・・なに、今のぉ!」


 苺が、周囲をきょろきょろと見回す。華蓮は、苺と背中を合わせて、警戒しながら構える。

 小紅は、弾け飛んだ金属の物を拾って、じっと見つめる。


「なにこれ・・・・・・。小刀みたいだし、ナイフみたいでもあるし、どういうこと?」


   ・・・・・・ヒュヒュウゥンッ!  ヒュウゥンッ!  ヒュルゥゥンッ!


「え! ま、また飛んできた! まずいっ! 華蓮! 苺! 二人とも、よけろーっ!」


 再び、黒く尖ったナイフのような金属が三本、高速で飛んできた。

 これには華蓮と苺も反応し、慌ててその場から跳び退く。小紅も、木の後ろにさっと身を隠す。


   ドカカカカッ!  ドカッ!  ドカカッ!


 その三本は、凄まじい威力で木に突き刺さった。

 飛んできたのは、笹の葉のような細長い形の、手裏剣サイズの短剣だった。


「こ、小紅! だいじ!? ウチと華蓮は、無事だよぉーっ!?」

「だいじ! ・・・・・・なんなんだ! 忍者でもいるの? 明らかに、あたしらを狙ってる!」


 すると、五十メートルほど先から、銀色の覆面をした者が逆光を背負い、静かに現れた。


「なかなかの反応でありますな・・・・・・。やるではありませんか、早乙女小紅・・・・・・」

「(な、なんだあのイカ覆面の不審者! 怪しすぎだろーっ! しかも、あたしの名を!)」


 小紅は木の陰から、その者を見て汗をつつりと垂らす。


「デスアダー。五行節のジッテこと、この木暮権蔵(こぐれごんぞう)の手裏剣術を躱すとは!」

「「「 デ、デスアダー? 五行節だって? 」」」

「さぁ、出てきて勝負であります! 毒島様の指令により、その命、頂きますぞ!」


 ついに五行節の一人と激突した三人。このジッテという男は、一体、どれほどの実力なのだろうか。


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