1.生まれる
「転生者とバグでない異世界人の物語」と「帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)」をお読みいただいてありがとうございます。
私の小説の男性キャラがすこしぶっ飛んでいるので、今度は少しまともな男性キャラを書こうと思って、新しい話を始めました。
題名をどうしようかなと思っていいた時に、牛乳を飲みたくなったので飲みました。そうしたらチーズも食べたくなったのですが、そこまですると太ると思ってチーズはやめました。そこで、題名は「牛乳とチーズは違う味がする」にしようと思いました。しかし、それだけだと話の内容とかけ離れてしまうので「(顔だけ男の気ままな旅)」も入れました。
その日ライラント王国のネルデンベルク公爵家に新たな子供が生まれた。生まれた子供は男で、ツェーザルと名付けられた。兄弟は上に兄が2人、姉が2人いた。容姿は生まれた時はよくわからなかったが、少し大きくなって顔立ちがはっきりしてくると上の兄や姉と同様とてもかわいい容姿になった。しかし、3歳を過ぎるころからよく見ると容姿は端麗なのに、なぜか目立たない。いてもいなくて同じ。すぐに周りの中で埋没してしまうようになった。
4歳からは家庭教師も付けられたが、勉強や剣術も普通であった。「上の2人の兄や2人の姉と比べて、ずいぶん落ちる。特にやる気のなさが気になる」というのが家庭教師の評価であった。
とにかくツェーザルはいつもぼーっとして眠そうなのである。何事にもやる気がなく、声をかけてもまともな返事は返ってこない。子供なら普通は興味を示す剣術にもあまり興味を示さない。また、本を与えてみたが、気が付くと眠っている。このような状態だったので、親である公爵は早々にツェーザルへの興味を無くした。家族も同様であった。そのうち、家族だけでなく、公爵家のメイドや執事たちからもあまり気にかけられなくなった。いてもいなくても同じ、空気のような存在になった。
5歳のスキル授けの儀式では授かったスキルは生活魔法であった。この国では、兄弟の誰かが家を継ぐとその時点で家を継がなかった兄弟は平民となる。何の取柄もない三男が家を継げるわけもない。
一応公爵は
「将来に何になりたい。どこかの貴族家に、婿に行くなら、寄子の貴族家で、子爵家か男爵家ぐらいなら、なんとかなるが」
と聞いた。するとツェーザルは
「貴族家へ婿に行けば、肩身の狭い思いをする。将来は商人になっていろいろな国を旅してみたい」
と言った。
仕方がないので公爵は
「15歳で学院を卒業するまでは面倒を見るが、その後は好きにしろ」
と言った。
その後公爵は
「スキル授けの儀式の後は、魔法の教師も付けるがどうする」
と聞くと
「その分のお金を、将来家を出て行くときの餞別にしてほしい。ついでに今付いている剣術や勉強の家庭教師もいらない。また、メイドもいらない。将来平民になるのだから1人でできるようにする。それらのお金は餞別に追加してほしい」
公爵は「いつもは何も言わないのに、この時ばかりは知恵の回るやつだ」と思った。
そうして、ツェーザルは公爵家では、朝の食事の時はいるが、それ以外の時間はどこでどうしているのか、何をしているのか、家族の者もメイドや執事も把握しなくなった。
(ツェーザルの3歳ごろまで時間が戻ります。)
ツェーザルはいつものように庭でチョウチョを追いかけた時に転んで頭を打った。そして、前世の記憶を思い出した。ただ前世の記憶をすべて思い出したのではなくヒーローにあこがれて、そして挫折した人生を思い出したのである。
「もうがんばらない。第2の人生は、ゆったりと努力せずに、気ままに旅して暮らすのだ」
「前世の記憶だと、転生者得点なんてあるのかな」
そう考えて
「能力値の表示」
と唱えてみた。すると
目のまえに透明な板のようなものが現れて、そこには
「生活魔法、言語理解、鑑定、能力値隠蔽、昼行燈、甘美の香り」
とあった。
まず、生活魔法、これは分かるよな。生活に使う魔法全般ということだろう。次に言語理解、これもいろいろな言語が分かるのだからこれもわかる。次に鑑定、これも物の価値が分かるのだからこれもわかる。次の能力値隠蔽、これは自分の能力を他者から見えないようにすることだよな。
問題は次の昼行燈だよな、前世の記憶では昼行燈とは、目立たない、役に立たない、なぜか否定的な言葉だったように思う。しかし、これを使えば、何かしろとは言われなくなるよな。スローライフが送れるのではないか。とりあえずは肯定的にとらえることにしよう。
後は甘美の香り、これって異性を引き付ける能力だったように思う。こんなの持っていたら、女性に付きまとわれて破滅するのじゃないかな。何とかならないかな、そうだ、昼行燈の効果で女性に自分が認識されなければいいのじゃないかな。頭いい。
でも、こんなスキル持っていると知られたら、女性には好かれても男性に殺されるかもしれない。とにかくここは能力値隠蔽で生活魔法以外のスキルに隠蔽をかけることにした。
そして、昼行燈は、甘美の香りの効果を打ち消すために全力でかけるようにした。すると、周りからほとんど認識されなくなった。それと絶えず昼行燈を最大で行使しているため、いつも疲れ気味、勉強や剣術もほとんど実が入らない。いつもぼーっとしたツェーザルの誕生である。この日をもってツェーザルはダメ人間になったのである。




