第十二話予想外の取り付け
第十二話予想外の取り付け
授業を終えた私は、リゼッタを連れてクオリアとリュートの約束を守るためサルーヴァの森に向かった。
森は以前来た時より少し雰囲気が変わっており、入口には筋骨隆々で服が今にも弾け飛びそうな警備の人が立っていた。
あんな弾け飛びそうな服を現実で初めて見た。
キャラデザとかだったらあるけど、迫力スッゴいし……触ってみたいって気持ちも分かるわ〜これ。
「アンタがギアラ様か? 案外細いんだな、肉食ってるか?」
警護の人はこの私に肉を食っているのかと質問してきたのだ!
「ふふん、私に肉を食べているかですって……腕相撲で試してみる? ちゃんと筋肉ついてること証明してあげるから」
こんなこと言ったけど、実際のところ全く腕相撲に自信がないのがこの私なんだよねぇぇ!
何言ってんだろうね、私。
挑発された警護の人は自信満々に腕をまくり、隣の木を樽に加工した。
ドンッ!
「いいぜギアラ様、その勝負受けて立つぜ」
あっ、これ腕折られるかもしれない!
自分から挑発しといてアレだけど腕震えてきた。
「やめるなら今だぜギアラ様」
この警護の人は結構優しい人なんだな。
でも肉を食べてないと思われるのはギアラとして許されない!
推しキャラを馬鹿にされたままでいられるかぁぁぁぁ!!
「先に仕掛けたのは私ですから、逃げるわけにはいかないっ!!」
私はチラチラとリゼッタに合図を送った。
やれやれと言いながらもリゼッタは理解してくれた。
さすがリゼッタ!
「腕相撲、三本勝負レディー、ファイ!!」
三本勝負ってそんなの聞いてないんだけど!?
「……っしゃあ手加減なしだぜ!!」
力だけはあるみたいだけど、私には秘策があるのだ!
「……んだよこの力、びくともしねえ」
秘策使わなくて良さそうかも。
「えい」
ガンッ!
結局私は圧勝した。
その事実で驚いているのが、ギアラの身体能力ヤバすぎるという点だ。
……ここまでやばかったなんて予想以上なんだけど。
だけど、それでこそギアラだよね!
警備の人は驚きつつも私に気さくに接してくれた。
「スゲェな、さっきは肉食ってるかなんて聞いて悪かったな。今度一緒に鍛えねぇか!」
私は胸を張って答えた。
「良いですけど、また今度で!!」
リゼッタの呆れた顔も可愛いけど……もっとギアラの身体能力についても検証する必要がある。
すると森の奥から拍手が聞こえて人影が見えた。
「これは想定以上です。坊ちゃんも満足してくださいます」
人影の正体はクオリアだったけど、リュートが満足とはどういう意味だろうか?
「ギアラ、この人が約束の人なの?」
私は頷き、さっきの意味を質問した。
クオリアの返答に一番驚いていたのはリゼッタだったのが、ちょっと嬉しかったかな。
「先ほどの意味でございますか? 坊ちゃんとのご婚約です。いわば次期魔王の妻というわけです」
「次期魔王の妻ぁぁぁぁぁ!?」
ワーオ、リゼッタの声がものすごく頭に響くね。
……というかそれって裏ルートってことだよね?
あれ、私ってアンジェだったっけ……意味が分からない。
「お断りします」
咄嗟に出たのがこの言葉だった。
その言葉を聞いたクオリアは満足気に答えた。
「ギアラさんの意図は理解いたしました。でしたらやることは一つです。来なさい常闇」
常闇といえば、魔王リュートの諜報・暗殺を担当している暗部……こいつのせいで、どれだけゲームオーバーになったことか!!!
こいつ戦闘始まる前に殺してくるから気づいた時には画面にゲームオーバーが映されているんだよ!!
せめてゲームだったんだから戦闘にしてくれよぉぉぉ!!
「何用でもご命令を」
「坊ちゃんをギアラさんの学校に入学させなさい」
「御意のままに」
リュートが学校入学するのは良いとして、そうなればこいつが必ずリュートの陰に潜むことになる。
敵と判断されないように気をつけないと気がついたら死体になりかねない。
「ギアラさんと親友の方、坊ちゃんとこれから"仲良く"していただけるとありがたいです。それではまたお会いしましょう」
これは仲良くしなかったら殺されるやつだ。
「分かった。それで婚約が一時的にでもしなくて済むなら」
リゼッタは少し納得してなさそうな顔をしていたけど、上手くやってくれるのは分かる。
「大丈夫だよリゼッタ……なんたって私だよ!」
「摘み出されたアンタに言われたくないわよ」
「もう痛いところ突かないでよぉぉぉ」
その後身体能力を試す一環も兼ねてリゼッタを担ぎ、ソフィーたちの容体を確認するために全速力で走った。
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