57
ー控え室ー
御影池「どいつにするか…手頃な奴がいないな」
子供「…」ブツブツ…
御影池「あの子供…丁度いいな」
御影池「おい、お前」
子供「っ?!は、はい!な、なんですか…」
御影池「質問に答えろ」
子供「え?ぇ、え?」
御影池「もう試合には出たか?」
子供「ぇ……今からです」
御影池「(よしきた)…俺と交代しろ」
子供「無理ですよ!俺、この試合に勝って…賞金を手に入れないと…!」
御影池(狙いは賞金か。なら話は早い)
御影池「別に賞金はいらない。お前に渡す」
子供「信用できるわけが…!」
御影池「…わかった。コレ…」
子供「これは…」
御影池「金だ。もっと欲しいなら後で賞金と一緒に…」
子供「いや…も、貰えないです」
御影池「なんなんだよ…金に困ってる訳じゃないのか?」
子供「それは…困ってます。けど…駄目なんです。自分で稼いだお金じゃないときっとまた…悲しませちゃうので」
御影池「どういう事だ?」
子供「俺…妹の為に金を稼がないといけないんです。お兄ちゃんはこの闘技場で殺されたから…次男の俺が頑張るんです。前までは盗みを働いて生活していました…でも、そのせいで恨みをかって…。もう盗みはしないって決めました」
子供「だから、もうここで稼ぐしか…!」
御影池(こいつの種族は…少なくとも人間じゃない。恐らく、親に教えてか…人に化けてはいるが)
御影池「分かった…こうしよう。俺はどうしても試合に出たい。でも、お前は家族のために賞金が必要だし、自分で稼がなきゃいけない。だから…二人で出場する」
子供「…え?」
御影池「俺は戦闘。お前は分析や説明だ。この大会の出場者の情報はわかるか?」
子供「わかります…けど」
御影池「よし、じゃあ決まりだな。その仮面と布を貸せ」
子供「ぇ…えっと…」
御影池「ほら、さっさと行くぞ」
御影池(…ちょっと無茶だがまぁ何とかなるだろう)
御影池「そうだ…お前の名前は?」
子供「俺は新時 幸多です」
係員「誰だ」
御影池「新時です」
係員「…(コイツか。…写真に比べて背が高いような…。まぁ、種族特有の何かだろ。)通れ」
御影池(戦闘で影は使えない、バレるからな。そうなると…素の戦闘技術が試される)
新時「凄いですね…この空間」
御影池「戦闘中は静かに話せよ」
御影池(戦闘で影は使えないが、コイツを隠す都合上、黒影は使い続けなければならない。そして、空気を入れ込んでやらないといけないからな…。俺は黒影と白影をずっと使う。消費が激しいだろうな)
アナウンス「第六試合!新時幸多VS 角斗波 剣一!」
観客達「うぉぉおおおお!」
血脇(っ?!何故だ…御影池?)
御影池「さて…。これだけの観客…四人じゃ厳しいか」
角斗波「おいお前!余所見なんてするんじゃ…ない!」ピョンッ
角斗波「ユニコーン式ドロップキック!」
御影池「…」タッ
スカッ…ズゴロロロッ
角斗波「なっ…不意打ちだったのに…」
御影池「見えてるに決まってるだろ」
角斗波(つ…強い…こうなったら!)
角斗波「ユニコーン式煙幕!」ズザッさァァ
御影池「砂をまわせるだけかよ…」スっ
ドスッドスッ
角斗波「ぎぃぁぁあああっ?!」
角斗波「く、クナイ…!クナイがァ!」
ウォォォオオオオオ!
御影池(相当弱いな…。新時なら確かに苦戦したかもしれないが)
御影池「確認も済んだし終わらせるか」
角斗波「ひぃぃいいい?!待って!待ってくれ!命だけは!命だけはァァ!」
御影池「…なら早く降参しろ」
角斗波「分かった!降参!降参だから!降参ッ!」
アナウンス「おっと呆気ない!はやくも決着が着いた!勝者は新時だァ!」
観客「殺せッ!」
観客「つまんねぇなぁッ!」
心「案の定治安が終わってる…」
角斗波「あ、ありがとうよ」
御影池「…」
ー控え室ー
御影池「…ふぅ」
御影池(案の定消耗が激しい。……だが、こんなに消耗するものか?別にさっきの戦いはすぐ終わった…違和感…)
新時「…の」
新時「あのっ!」
御影池「…?なんだ」
新時「あ、いや…大丈夫かなって」
御影池「あぁ。次の試合までまだ少しあるな…」
御影池(三人にニーナを救出する計画を伝えたい。一度抜け出すか)
御影池「少し用事がある。後で戻るからそれまで頼んだ」
新時「え゛?」
御影池「ほら、仮面。くれぐれも顔を見られるなよ」
新時「えぇ……」




