↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブルーライトニング  作者: toy


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/121

ブルーライトニング 第52章

 玲子から警察に行くと聞き、アリスは警察の動きに疑念を抱く。二度とあのようなことはさせないと、フィリップ弁護士とともに警察に行くことを決意する。

 ダグラス・インダストリー経営監視委員会の議長アリス・ダグラスは、顧問弁護士フィリップと向き合っていた。最高裁の判決が迫る、ソレイユ解体を求める訴訟の最終確認だ。

「最悪にはなりませんよ。法的には何ら問題ありません。一審判決が少々奇妙だっただけです」

「いろいろご苦労をかけました。嫌がらせも多かったでしょう」

「ピースメーカーとかいう連中がね。ですが法的対処は完璧です。貸与いただいたセキュリティも優秀でしたから。あれでは嫌がらせする側が根負けしますよ」

 電話応答システムと護衛ロボットを含む一式は、ダグラス社からフィリップに提供されている。


 そのとき、アリスのハンディが鳴った。


「おばさん、玲子です」

「まあ、どうしたの?」

「今、いいですか」

「もちろん。何かあったの?」

「さっき暴漢に襲われたの」

「まあ!」

「大丈夫です。私たちにケガはありません。マルスもいましたから」

「それは良かった。マルスがいれば、あなたに手を出せる人はいないわね」

(マルスの前で玲子に危害など、ただでは済まない)とアリスは思う。

「これから中央警察署へ行きます。だから、お宅に伺うのが、少し遅れます」

「いいのよ。私が迎えに行くわ。署で待っていなさい。いい? 何かあったらすぐ私に連絡を」

「はい」


 通話を切ったアリスは、ダグラス社中枢コンピュータ「ニック」を呼び出した。

「ニック、アリス・ダグラスです」

「はい、アリス様」

「被保護者・敷島玲子のハンディを保護モードに。音声と位置をモニターして、変化があれば私に即時通知を」

「承知しました。なお、すでに玲子様ご自身が保護モードを起動済みです。現状、顕著な脅威は検知されていません。以後は最優先で監視します」

「お願い」


 難しい表情のアリスに、フィリップが首をかしげる。

「何か?」

「以前、玲子が襲われた際、警察は書類を偽造して彼女に署名させ、事件を『なかったこと』にしました」

「その話は聞きましたよ。ずいぶん無茶をやりましたね。ご依頼くだされば、告発でも何でもやったのに」

「保護者が事を荒立てるのを望まなかったのです。玲子も襲撃者にケガを負わせていましたから」

「そんなの正当防衛でしょう」

「そこを突かれて、警察に署名させられたの。彼女は当時14歳。刑事に脅かされれば、無理もありません」

「今回も、同じことを?」

「ええ。警察は信用できません」


 プレスト海軍長官室。ノックの音に、「入れ」と高野が言う。姿を見せたのは西郷だった。

「君か」

「先ほど、お嬢様が暴漢に襲われましたが、護衛のルーナとマルスが制圧。ご無事です」

 高野の眉がぴくりと吊り上がる。だが、努めて平静に応じた。

「そうか」

「至急、お迎えに向かわれるべきかと。できればアリス・ダグラス氏もご同伴を」

「なぜダグラスさんを?」

「敷島博士のお嬢さんも巻き込まれました。いま中央警察署に向かっています」

 情報源はルーナとマルスだ。高野の声に、わずかな怒気が混じる。

「まさか、娘だけでなく玲子さんまで巻き込んだのか?」

「意図はしておりません」

(だが予見はしていたはずだ。でなければ、すぐにアリスの名は出てこない)と高野は胸の高ぶりを抑え、私用で早退すると部下に告げた。

「アリス・ダグラスさんと連絡を取り、一緒に向かう」

「はい」

「娘が無事で何よりだ。マルスだけでなくルーナをつけてくれたこと、感謝する」

「とんでもありません。こちらこそ作戦のためにお嬢様を危険に晒し、申し訳ありませんでした」


 中央警察署では、玲子と恵、マルス、ルーナ、ユリが同席で聴取を受けていた。

「ご協力ありがとう。また必要があれば連絡します」

 刑事の言葉に、玲子はほっと息をつく。念のため起動していたハンディの保護モードも、この様子なら出番はなさそうに思えた。

「ホールまで部下に送らせます。お迎えをそこで。おい、お嬢さん方を案内して」

 年配刑事の指示で、若手が先導する。そこへ別の私服刑事が近づいてきた。

「こちらでも事情を伺いたいので、少しお二人に話を聞いてもいいですか」

「ああ、君たち、もう少し付き合ってくれるかい?」

 うなずく二人に、若手が言う。

「終わったらホールへご案内を」

「わかった。では、こちらへ」

 しばらく進むと、別の刑事が現れた。

「ロボットはこっちだ」

 ルーナ、マルス、ユリが連れられていく。

「ユリ!」

 恵が声を上げかけ、玲子がそっと制した。

「大丈夫。心配しないで」

 玲子はハンディの保護レベルを一段引き上げる。これで保護者のアリスにも緊急通知が飛ぶ。ダグラス社の社員が持つハンディの特殊機能の一つ、中枢コンピュータ「ニック」が所有者をモニターする仕組みだ。


 やがて玲子と恵は、小部屋に通された。

「さあ、お嬢さん方、この書類に署名を」

 玲子は書類を一瞥し、即座に押し返した。

「できません」

2025/11/22 加筆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。