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第4話【化け物になった日】

 警察に保護されたマコトはすぐに解放された。正確に言うのであれば、AIの処理で記録が改竄され、真相が秘匿されたと言うのが正しい。

 マコトの言い分は何一つ聞き入れられる事はなかった。

 ただ、一つ普段と異なるのは病院施設へ向かうように電脳ナビが示した事であろうか。


 病院施設に通う事は幼少期の身体検査以来であろう。ある程度の検査が終わり、マコトは薬を渡されて、その日は終わった。


──急変したのはその日の夜である。


 薬を飲んで眠っていたマコトは突如、苦しくなり、心臓のある胸を掴んでもがき苦しむ。


「・・・あっ!・・・がっ!・・・ぎぃっ!」


 体中が悲鳴を上げ、凄まじい熱がマコトを襲う。身体の中で何かが変わるのが理解出来た。

 だが、いくら苦しくて悲鳴を上げそうになっても電脳ネットへアクセス出来ない。

 体調管理ネットへのアクセスすら出来ず、あまりの苦しさに涙が出そうになる。


 そうして、そのままマコトは床で苦しみながら意識を失った。


 次の日、目が覚めると昨日の苦しさが嘘のようになくなっていた。

 相変わらず、電脳ネットにアクセスは出来ないが、普段のように軽く洗顔をしに洗面所へと向かう。


 そこでマコトは自分の口の周りが血まみれなのに気付いて血の気が引くのを感じた。


「・・・なんだよ、これ?」


 思わず、口からそんな声が漏れた。明らかに昨夜の異変で何かが変わった。

 まるで自分が自分ではなくなったかのような喪失感。


 これは悪い夢か何かだと思い込もうと必死に努力するが、目を瞑って血の臭いを改めて感じると爽快感があった。それは前回、男と会った時に感じた惨劇に感じた血の臭いの不快感とは異なる。自分の何かで決定的な何かが変わった。


 マコトはそんな自分に嫌悪しつつ、血に染まった顔を洗う。

 何度も何度も・・・それこそ、臭いそのものを落とそうとするかの如く。


 ようやく、気分が落ち着いて顔に付着した血が落ちた時になってマコトはノロノロと制服に着替えて学校へと向かおうとする。


 そこであの男と再び出会った。男は笑っている。

その笑みはあの女子生徒擬きを惨殺した時と同じ笑みである。


「どこへ行くつもりだ?」


 男はマコトに質問した。マコトは四つん這いになるかの如く、姿勢を低くして最大級の警戒を示す。男は言葉を続けた。


「アルタードに変化して、もう本能的行動が出来るとはたいしたものだな?」

「・・・アルタード?」


 男の言葉にマコトはオウム返しで言葉を返すと男は自分の側頭部を指さす。


「電脳ネットって奴が出来なくなっているだろう?」

「なんで、その事を・・・」

「アルタード化した奴は出来ないんだよ。その様子だと、お前は戦闘特化型の変身をしたようだがな」


「なんなんだよ!」


 混乱や不満など、それら全てのこみ上げる感情を吐き出すようにマコトは叫ぶ。

 そして、地を蹴って男の胸ぐらを掴んだ。男は微動だにしないが、そんな事はどうでも良かった。


「俺はどうしちまったんだよ! この際、あんたが何者かなんて知った事かよ! はっきり言えよ! 俺はなんなんだ!」


 感情を爆発させるマコトに男が笑うのを止め、静かにマコトを見据える。

 そして、マコトの中で聞きたくなかった言葉を──わかりきった答えを聞くのであった。




「お前はアルタードって名前の化け物になったんだよ、ウキヨ・マコト。切り捨てられたんだ、お前はな」



「──っ!? ああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 それは怒りからか、それとも別の感情からなのか、マコトは男のはっきりとした答えを聞き、叫ばずにはいられなかった。そんなマコトの腕に男は静かに触れる。


「確かにお前は切り捨てられたが、完全なイレギュラーではない。飯の恩もある。お前さえ良ければ、新しい世界に連れてってやろう」

「・・・あんた、何者なんだよ?」

「俺の名はネロ。まあ、イレギュラー化したアルタードを専門にする始末屋って奴だ」


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