羅亜夢(宿命②)
彼は...宿命を再実感する
古代インドに語り継がれる叙事詩【ラーマーヤナ】、ヴィシュヌ神の化身【ラーマ王子】の愛する【シーター妃】を奪還するために耗発した羅刹羅闍【魔王ラーヴァナ】との戦の末、羅刹の王が敗北者となり、王子と妃が運命の再会を果たした物語...
もしこの物語は何者かの筋書き(運命)によって定められたとしたら、それに抗えないだろうか?
時は現代日本、ある女子大学生【椎谷・蘭華】がラーマーヤナの物語(世界)に巻き込まれ、滅んだはずの羅刹の王との出会いで運命の歯車がついに再び動き出して、心を探す旅が始まった...ぶらりと...
都内の某大学
鳳と書かれたネームプレートが部屋の前に飾ってある研究室の前に一人の青年が立っている。
彼が手に持っているのは額縁に収まった一つの絵だった。
彼が研究室に入ることを少し戸惑っているようにも見える。
結局父さ...師匠は何も言わずにここに訪れるようにと言われた...それだけ...
この絵...前の日の仕事で見つかった絵のことを調べるって言われたけど、ここで合っている?
鳳先生のことは以前のあの羅刹女の件で面識があったとはいえ...確か先生の専門は考古学で南アジアのことに詳しいと駱が言っていた。
でも、こういう芸術のことまで詳しいのか?
師匠が言うにはこれがシーター妃の絵だと言ったが...
ラクに連絡をしてみたけど...電話に出ない...一体今何をしていたのかこっちは把握していない。
特にまた不思議で不可解の出来事に巻き込まれなければいい...いや、自分の近くにいないのは一番安全かも...
とにかくここまで来たんだ。せめての手がかりぐらいがもらえればよし...無ければそれはそれで...
と自分の中に決意がついた青年、設楽・羅亜夢は扉にノックした。
「失礼します...鳳先生いらっしゃいますか?」
しかし、反応がなかった。
「今研究室にいないのか...」と思ったラームだが、部屋の中からは物音が少し聞こえた。
そこで、ラームはドアのノブを掴んで、静かにドアを開けて、部屋の中を覗いてみた。
そして...彼は目撃した...
部屋の中に誰かがいる...
そこにはソファーで寝ている...少女がいる。
あ、あの子は確か...鬼子母神のお寺で出逢った...羅刹女...ハーちゃん...さんだっけ?鳳先生がそう呼んだという記憶がある。
あれ?そのときはもっと大人の姿だったと思うけど...でも見間違いとか...そんな話は今考える必要ないか...
で...その隣で一人の男性がいて...手に持っているのは...え?注射器?
あまりに驚きの状況を目撃したラームは反射的に部屋に入り、男性に声をかけた。
「何をしているのですか!?」
そして、声をかけられた男性はラームの方に振り向いた。
「あ...気にしないでくれ...ただの採血だ。」
「ただって...寝ている人にそんなことをして。何が目的なんですか?」
「サンプルが採りたいだけだ...乱暴なことはしていないぞ。第一寝てもらわないと暴れるからな...今がチャンスだ。」
「えーと...状況がよく分かりませんが...」
「逆に聞くけど...君は誰なんだ?教授の生徒じゃなさそうだけど...」
「あ、紹介が遅れました...鳳先生に相談したいことがあってここに来ました。設楽と申します。」
「球磨・治だ...医者だ...と言ってもあまり信じてくれなさそうだな。」
「あ、いいえ...クマ...先生。うちの弟から一応その名前と特徴の...」
「髪色の話だろ?言っとくが、地毛だ...そうか...君はラクくんの...」
「はい...兄です。」
「ほ...じゃ、この子のついでに君の血も欲しいだけどいいかな?」
「はい!?」とここでラームは部屋を出る体勢で構え始めた。
「こんな偶然があるんだね...まあ、運命なのか...どっちでもいい...君の血が必要なんだ...少量でもいい...」
「いや...説明なしで簡単に血を採られるわけにはいきません...」
「君の健康状態をチェックするというのはどう?」
「...結構です。」
「仕方ない...少し乱暴なことをしても手に入らないといけないから...」とオサムは注射器をラームの方に向けた。
妙に緊張感があるかないかその状況の中に二人以外の声が聞こえた。
「うるさいな...」
とさっきまで寝ていた少女が起きた。
「あっ...」とオサムが少女の方に目を向けて、思わず声が出た。
起き上がった少女は周りを見始めて、そしてラームの方を見た。
次の瞬間...
「ラーマ様!!!!!!!!!!!!!!!」
と大きい声で叫んで突然ソファーからラームの方に飛びかかろうとした。
ラームは慌てて防御しようとしたが、何か思い出したかのように
「止まって!」と言った。
そして、飛びかかろうとした少女がその言葉の通り...空中にいるままに動画が停止されたかのように止まった。
その光景を見たオサムも興味津々な目で思わず「どういう仕組みなんだ、これ?」
危なかった...鳳先生の言葉を思い出してよかった...とラームはふーと安堵の息をした。
「ソファーに戻ってから、動かないで...」とラームは次の命令を出すと、少女は動画が巻き戻されたかのように空中からソファーに戻されて、大人しく座っている。
「ラーマ様!意地悪い!あたし...ただラーマ様を思いっきり抱きしめたいだけなのに...」
「えーと...前回逢ったときは僕を食べようとしたみたいな感じだけど...」
「あれはっ!...あの時は空腹だから...あと、ラーマ様だと分かってから食べはしません!...今は焼肉で我慢している...この姿もタカくんが馴染むから少し変えたの...かわいい?」
「うん!かわいいよ...」と言いながら、ん?馴染む?と少しその言葉に疑問を持ったラーム。
「きゃー...嬉しい!!!」と少女の姿をしている羅刹女が動かない分、表情がとても嬉しそうに見える。
「はは...それならよかった...かな?あと、僕はラームだ...ラーマじゃないよ。」
「私にとっては唯一のラーマ様だから、イヤです〜」
となんとか状況が落ち着いたことで少女の目線はオサムに向けた。
「おい!そこの獣野郎!タカくんはどこ?あと、私が寝ていた間に何をする気?」
「獣...一応人間じゃなくても知性があるから...獣呼ばわりのはどうかと思いますが...教授なら誰かと会う約束があって、留守にしていますよ。私は留守番をしている間にあなたの採血を...」
「やはり獣の言うことは信用できない!タカくんが戻らないと、血一滴もあげないわよ!」
「そうですね。医者としては患者の許可なしで医療行為をするのは良くないと私も思っています。」
寝ている間で採血をしようとした人が言うと説得力がないけどな...とラームが苦笑いしながら、脳内でツッコミを入れた。
「そう言えば、ラームくんは教授に用事でここに来たんだよね。」
「あ、はい...実は先生に見てもらいたい絵がありまして...」
...
一方同じ大学構内
ラームが絵の件で逢おうとした鳳は別の人に会っている。
その相手に鳳は何かを話している。
「わざわざ別の場所で逢う必要がないと思うが...」
「もう一度あの羅刹女に逢わせたんだ...彼には自分のことをもっと理解してもらわないとこれから起きることにはついて行けなくなるから...」
「選ばれし者の師を務めるあなたが言うなら...私からは何も言いません。斧を持つ者様。」
「私はただ導く存在であり、そんなに偉くないですよ。あと、あの子の父親としては親失格の点もある。今更師匠として近づいても...まあ、ラームなら分かってくれると思うが...もう片方は...」
「ラクくんのことですか?」
「そっちは私の担当じゃないから...誰かが導いてくれると...次の展開を待つしかできません。」
「あなたの息子たちが背負うものはこの世界そのものだから、荷が重いと代わりに感じてくれたら、あなたも立派な親なんです。」
「ありがとうございます。でも、実際の話...例の絵の件はラームに伝えなかったことがあるのです。」
「彼が持っている絵には何か分かったということですか?」
「調べた...いや...私は知らないふりをしました...その家の住人のことが知らないと言いながら、私はとっくに知っていました。」
「...というと?」
「あの家...あそこは...妻...紀子の実家なのです。」
今回の感想↓
先週休んでしまってすみません!
完全に治ったわけではありませんが、小説が書ける気力を取り戻せました。
最近は休み気味で、毎回申し訳ない気持ちですが...それでも作品を楽しみにして待ってくれると思うと励みになります。
また休むこともあるかもしれませんが、できるだけ更新を続けたいと思います!
よろしくお願いします!
にしても今回は今まで会っていないキャラを会わせたり、久々?に登場しないキャラを登場させたりして物語を繋げようとしました。
ラームと羅刹女の少女と医者のクマ...
いきなり注射器を見たら、やはり皆は驚きますかねw
マッドサイエンティスト感もあるので、ちょうどいい展開だと思って書いてみました。
さらに本命のラームくんが来ると、欲しいにも決まっている!
一応医者なので、これ以上ヤバい感を出しませんが...これもこれでヤバいですねw
羅刹女の少女...前にクマと会う時に少女だと書いたのですが、もっと前に書いた話では女性の姿になったというところに気づき、あっ!この設定忘れた!と今回で軌道修正しました。まあ...女性と言ってもイメージ的にはすごく年取ったわけじゃないし...少女でも女性でも大丈夫じゃない?かもしれませんが、ここでラームの...ん?という見違いと後の鳳先生のために変身したという設定を加えました。決して鳳先生はロ...女の子がタイプじゃありません!w
ここで研究室の中で賑やかになった一方、先生本人ともう1人の会話でとんでもないことが分かりました!
ずっとどこかで深掘りしたいキャラの1人...ラームとラクのお母さんの話を考えたら、こういう展開にしました。
一体なぜその実家にはシーターの絵が?お母さんとの関係は?え?どうなってんの!?
そ、れ、は...
もうどうなるかそれは次回の楽しみとしか言いません!
乞うご期待!
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改めて最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは「第11回ネット小説大賞」の一次選考通過作品です!
二次選考で選ばれませんでしたが、一次選考通過作品である事実は消えません。
だから今もこれからも胸を張って、誇りを持って言えます!
これを励みだと思って、前にもっと進みたいと思います。
現在は第14回ネット小説大賞にも参加しています!
今まで応援していただいた読者の皆様にはお礼を何回言っても足りません。
また、お陰様で...この作品は38000PVに達成しました!!!
本当にありがとうございます!
この作品を書き始めて4年が経ちました。
それでもまだ読んでくれている読者がいる限り、やめるつもりがありません。
(もしかしたら、別の作品を書くこともあるかもしれませんが...並行にしたいです)
このような作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします!
もうここまで来て、付き合ってくれた皆さんに御礼を申し上げます。
次回は誰を登場させるか...どのような物語と展開になるか...今後の展開もぜひお楽しみに!
この作品は古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をベースにした輪廻転生系ローファンタジーフィクションです。
日本では三国志や西遊記よりかなりマイナーですが、南アジアから東南アジアまで広く親しまれる作品です。ぜひご興味ある方は原作にも読んでいただければと思います。
ご興味ある方はぜひ登場した気になる言葉をキーワードとして検索してみていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
毎日更新とはお約束できませんが、毎週更新し続けるように奮闘していますので、お楽しみいただければ何より幸いです!
追伸:
実は別の作品も書いていますので、もしよろしければそちらもご一読ください!↓
有能なヒーラーは心の傷が癒せない~「鬱」という謎バステ付きのダンジョン案内人は元(今でも)戦える神官だった~
https://ncode.syosetu.com/n6239hm/
現代社会を匂わせる安全で健康な(訳がない)冒険の世界を描くハイファンタジーです。




