レベル8
「そう言えば、レアチケットもう一枚あったよね」
【はい、ございます】
「召喚しちゃおうか」
【可能でございます】
「30代男性型のレアモン召喚で」
【畏まりました。召喚いたします】
前と同じように部屋のドア前、丸い光が発生する。
そして、光は徐々に大きくなり、人型が現れた。
「呼んだのはお主か。オレの種族は竜人。レイ殿、宜しく頼む」
見た目は人間。
20代前半に見えるし、もちろんイケメンである。
鋭い眼光が強さを主張している。
肉体派と思われるガッシリとした体格。
完全に攻めの方。
ふふふっ。
先にいるディアの線が細めだから、バランスは取れている。
これはこれで有りだ。
「オレにも名をくれ」
「んー。ちょっと待ってて」
名前なんて早々考えられるものじゃない。
竜人でしょう。
ギリシャ語で竜はドラコーンだったはず。
でもドラコって感じでもないしな。
この竜人は、体格も良く、大きな感じ。
リヴァイアサンって確か海中の怪物だったよね。
蛇も竜も変わらない?
「よし、ヴァイでどう?」
「承知した、オレはヴァイ。レイ殿が望む事をする」
私が望む事。
ふふふっ。
楽しみ過ぎる!!
【レイ様、こちらはR18にはなっておりませんので、ご期待されている事は難しいかと】
「え!そうなの?」
【繁殖行為をご希望の場合、あくまで番での行為を主といたしますのでダンジョンモンスター同士にも適用されますが、繁殖外の行為はダンジョンモンスター同士では禁止事項でございます】
「……マジで?」
【はい】
マジか。
それは盲点だった。
真っ最中を見たい訳じゃないけど。
見たい訳じゃないけど。
でも、見たかった。
イチャコラも見れないって事かな。
テンション下がるなぁ。
【ただし人間相手であれば、可能な場合もございます】
「?!どーゆーこと?」
【捕虜となった人間に関しては、ダンジョンマスターの裁量でどうとでもなります。殺すも生かすもダンジョンマスター次第でございますので】
「なるほど、でもそれだと自らの意志とは違うし、愛でるとはちょっと違うし」
【何事も、調教次第でございます】
調教って。
このコアはたまに野蛮である。
そして、苛烈である。
「まぁ、それはまた考えるとしよう」
【はい、では侵入者でレイ様が好まれる人間が入った場合、捕獲第一とさせます】
「はい、それでお願いします」
コアが私を誘導している気もしなくはないけど、それも有りな気がしてきた。
教育すれば、良いんだ。
決して調教ではない。
はず。
「レイ殿、オレは狩りに行ってくる」
「狩り?」
「ああ、ダンジョンの目の前は森だ。レイ殿が食す動物を狩ってくる」
「ヴァイは狩りが得意なの?」
「オレは生活力がある。狩りも料理も得意だ」
まさかの主婦降臨。
私に無いモノをレアモンスター達は補ってくれるらしい。
「うん、お願い」
「ああ、行ってくる」
ヴァイはややハニカミながら颯爽と部屋を出て行った。
その顔にキュンとする。
【ヴァイは、ツンデレ設定で良いでしょうか?】
「……コアさん。そーゆーのは言わないでよろし」
【承知しました】
私の思考を読めるコアは優秀で有難いけど、どこかおちょくられている気がする。
【そんな事はございません。私はレイ様の為に……】
「あ、うん、わかってるよ。これからもよろしくね」
【はい、承知いたしました。それで、レイ様に大魔王様からメッセージが届いておりますが、読み上げて宜しいでしょうか】
「大魔王ってやっぱりヒマなの?」
【その質問にはお答えできません】
「コア、逃げたね」
【では、読み上げます】
完全に逃げたな。
大魔王からのメッセージと言う名の感想文。
【「君には脱帽したよ。まさかR18展開を自らのダンジョンで行おうとするなんて。人間殲滅の為に召喚するんじゃないだなんて。そんなダンジョンマスターは今までいなかったよ。あははっウケル。笑わせてくれたお礼にチケットをもう一枚上げるよ。使い方は君次第。おもしろダンジョン目指して頑張ってね。ハート」との事です。レアモンスターチケットが一枚添付されております。いつでも召喚可能でございます】
「ハートってなんだよ。はぁ、大魔王……。ありがたくチケットは頂戴するよ」
【さっそく召喚いたしますか?】
「いや、いい。もう少し考えてから使うよ」
【承知いたしました】
一気に疲れた。
でも、レアモンチケットは嬉しい。
腐の幅が広がる。
夢は大きく、希望をもとう。
もしかしたら、腐に目覚めるモンスターもいるかもしれないし。
私好みのモンスターを育てればいいんだもんね。
ふっとモニターに目を向けると、沼地エリアにいるヴァイが見えた。
ん?モンスターはダンジョンから出れるの?
「ねぇ、コア。ダンジョンモンスターはダンジョンから出れるの?」
【はい、ダンジョンから約1キロの範囲であれば、行動可能でございます】
「じゃあ、私もダンジョンから出れる?」
【はい、いづれは可能でございます。現在はダンジョンレベルが低い為、ダンジョンの入口までしか行く事が出来ません】
「へぇ、出れるようになるんだ。それはそれで楽しみだな」
【ただし、ダンジョンから出ると、ダンジョンマスターの能力は半減いたしますのでご注意ください】
なるほど、レベルが上がれば外出できるけど、能力は半減するのか。
低い能力値だとすぐに死んじゃうかも知れないって事ね。
「今は外出より、ダンジョンメイクの方が優先だね」
【そうでございますね。そろそろ人間の侵入者が現れる頃だと思われます】
「え?なんで?」
【ダンジョンが出現すると、周辺に魔獣が増えます。魔獣を退治する為に冒険者が派遣され、調査・征伐を行い、ダンジョンを発見するケースが多いとの集計が出ております】
「うちのダンジョン、冒険者に発見されたら征伐されちゃうよね」
【そうです、とも一概には言えません。冒険者側、人間側に有益であれば征伐対象から逃れる場合がございます】
「それはどんな時?」
【人間にとって利益があるダンジョンの場合です】
「利益ねぇ」
【我がダンジョンは侵入者の侵入を阻む造りになっておりますので、人間にとってうまみはございません。よって征伐対象になるかと愚考します。しかし、現状では早々に征伐は難しいかと】
「なんで?」
【火山エリアが思いの外、激し……強硬な造りになっている為、冒険者ごときでは打破できないと】
激しいって言いかけたよね?
でも、火山エリアのお陰で、ひとまずの安全は確保されているって事だもんね。
「そっか、じゃとりあえずは、このまま様子をみればいいね」
【レイ様のご指示通りに致します】
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