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レベル9


 ふっとした瞬間に触れた手。

「あっ」と漏れそうな声を抑え、顔を見合わせ微笑む二人。

 目の前で行われるそんな行為に悶えてしまう。


【レイ様、このような感じでよろしいでしょうか?】

「はい、アウトーーー!!コア、良い所なんだから余計な事を言わないの!!」

【失礼いたしました】


 ディアとヴァイが目の前でそんな場面を繰り広げている。

でも、これはコア監修の元に行われた寸劇。


 私が「萌えがない」と呟いた一言にコアが反応し、ディアとヴァイにレクチャーしていた。

確かに萌えた。しかしコアの一言で現実に戻された。


 腐が足りない。

イケメンが二人も目の前にいるのに。


「レイ殿、今夜の夕飯はチキン南蛮で良いだろうか?」

「あ、うん。ヴァイのチキン南蛮は美味しいからいつでもオッケーよ」

「承知した。では、今からウッケイを狩ってくる」

「はーい、行ってらっしゃい」


 ウッケイは鳥のモンスター。

全てがもも肉の様な肉質で、揚げても焼いても美味しいモンスターだ。



【侵入者有り】


 私は慌てて、モニターが設置してある部屋の隅に戻った。

「モニターに表示して」

【表示します】


 沼地エリアに複数の人影。


「ヴァイを戻して。鉢合わせはまずい」

 ヴァイの様な風貌は一度見たら忘れられない。

女性なら頬をピンクに染めるのは間違いないし、イケメン過ぎるのも考えものだ。

そして一見、モンスターには見えないけど、ささいな事でダンジョンだとバレてしまうのは、まだ早いから。


【ヴァイに連絡を行いました。すぐに戻るそうです】

「良かった。ディア、この侵入者がいなくなるまで、ココで待機ね」

「畏まりました。マスターレイ」


 ディアは優雅にダイニングテーブルでお茶を飲んでいた。

アフタヌーンティーが似合う男だ。

ちなみにお茶請けのクッキーはヴァイの手作り。

生活力の高い、ヴァイは料理に掃除、家事は全てお手の物。

ディアは農作業や大工仕事に秀でている。


 ウチのモンスターは万能だ。



【侵入者は6人となります】

「しばらく観察しよう」

【承知しました】


 モニターに映し出された人影は、風貌からして冒険者の様だった。

沼地に足を取られながらも、しっかりとした足取りで、隊列を乱さず、洞窟方面へ向かっている。

ダンジョンモンスター達には、何もせずにただ見守るようにコアから指示をだした。

でもなぁ、アイツラ言う事聞かないんだよね。

そんなフラグをたてながら、モニターで観察した。


 冒険者の内訳は男4人、女2人。


「声を聞く事は出来る?」

【はい、可能でございます】

「じゃ、ちょっと聞かせて」

【音声スタート】



「マジで嫌なんだけど」

「仕方ないだろ。こんな所に沼地があるとは思わなかったんだから」

「だったらわざわざ入らなくってもいいじゃん」

「これも調査だ、諦めろ」


 沼地に関するクレーム。

うん、早く帰れ。


 靴が濡れるのって嫌だよね。

雨でもないのに、靴の中まで濡れ、靴下はぐちょぐちょになる。

不快感しかない。


「ねぇ、あれってなに?」


 隊列の真ん中を歩いているショートカットの女性が指をさした。

その方向には光る二つの物体。


 ああ、アイツラ。

やっぱり出てきやがった。


「まさか、妖精?」

「妖精な訳……いや妖精か?」

「やったー。アレ捕まえようよ。一攫千金!!」

「マジか。妖精は高く売れる。これは運がむいてきたんじゃないか?」


 この冒険者たちはピクシーンを妖精だと思っている。

たぶん本物の妖精を見た事がないのだろう。

初見の人にピクシーンも妖精も判別は出来ないのかもしれない。

 でもピクシーンは、そんな可愛いもんじゃない。

アイツラは悪魔だ。

イタズラ好きを通り越している。


「よし、ゆっくり進むぞ。驚かせるな。慎重にいくぞ」

「「「「「おお」」」」」」


 冒険者たちは人が好さそうな笑顔を張り付け、ピクシーンがいる方向へと向かった。

まるで自分は無害。

君たちの味方だよ。そんな笑顔の奥、瞳の中には欲望が映っているのに。


【レイ様、冒険者たちの方向には沼がございます。アチラは捕獲専用の底なし沼です。全て捕獲する方向で宜しいでしょうか?】

「えーどうしよう。でもアイツラが見つかっちゃったから、今さら戻られても困るよね」

【もし、冒険者が戻った場合、妖精の捕獲のため、詮索する人間が増えると予想されます】

「だよね。じゃ、ひとまず捕獲で」

【使い方はいかがいたしますか?】

「ちょっと考えるから、眠らせて保存しておいて」

【承知いたしました】


 ダンジョンには様々な機能がついていた。

捕虜の扱いについても様々行える。

最近、火山エリアの下に新たなエリアを作った。

 その名は「監獄エリア」。

意識を保ったまま、牢屋に収容する事も出来るし、眠ったままの状態を維持する事もできる。


 コアが私好みのイケメンが来た時ようの準備だと言って、喜んで監獄エリアを作っていた。

深くは知らない、知ってはいけない気がする。


 モニターには欲に眩んだ冒険者たちが映し出されている。

パッと見、私好みはいない。

ただ、皆薄汚れているから、判断が難しい。



【底なし沼に到着しました。全員の侵入を確認した後、沼を発動させます】


 底なし沼は直径20メートル程。

全員が底なし沼に入った途端、ずぶずぶと沈んでいく。

動けば動くほど、沈む速度は速い。

慌てる冒険者たち。

 でも、今さら遅い。

5分も経たないうちに、冒険者たちの姿は沼地エリアから消えた。




「もういいか?オレは行ってくる」

「あ、うん。行ってらっしゃい」


 いつの間にか戻っていたヴァイが、今夜の夕飯を求め、また出て行った。


「では、マスターレイ。私も作業に戻ります」

「うん、お願いね」


 ディアも農園エリアでの作業へ戻った。

うん、きっとモンスターの使い方は間違っている。

でも、これが私にとっては正しい使い方。

な、はず。



【侵入者たちを無事に収監いたしました】

 監獄エリアにはアラクネー姉さんたちがいる。

下半身は蜘蛛、上半身は人間の女性たち。

自らが生成した糸を武器に、人間を捕食し、次世代を生み出す糧にする生物。

 私のダンジョンでは普通に食事し、生成した糸で織物を作っている。

私の着ている服もアラクネー姉さんの糸で織られ、ヴァイが裁断し縫製した、我がダンジョンお手製の一品だ。


【アラクネー達が身ぐるみ剥いで、侵入者たちの身体を清めました】

 身ぐるみ剥ぐって、もう少し言い方ってもんがあると思うけど、コアにそれを言った所で意味を無さないのは、既に学習済。


【レイ様、アラクネー達がいらない人間を欲しいと言っております】

「何に使うの?」

【繁殖の材料にしたいとの事です】

「ねぇ、アラクネー達の繁殖方法は?」

【捕食した人間を幻影で惑わせ、自らの身体に子種を植え付け、繁殖いたします】

「……人間とモンスターで交尾して繁殖できるもんなの?」

【種族に寄りますが可能でございます。アラクネーやゴブリンは人間との交尾で繁殖を行います。ちなみにアラクネーは交尾後、人間を生かしたままにします】

「そうなんだ、じゃあ種馬の様な扱いなのかな?」

【いえ、産まれた子の最初の餌となりますので】

「うげっ、エゲツナイね」

【モンスターですので】

「そ、そっか。とりあえず今は繁殖はせずに現状維持で」

【承知いたしました】


 モンスターの生態が明らかになってくる。

種族によって、繁殖の仕方も、スピードも違う。

これらを考えながら、ダンジョンを成長させ、繁栄させなきゃなんないのか。


 モニターに目を向ければ、監獄エリアで動く影。

アラクネー姉さん達が冒険者たちの世話を焼いている。

あ、女性の冒険者たちは放置な方向なのね。

 あくまで繁殖対象の男性の世話を甲斐甲斐しくし、ライバルとなる人間の女性は眼中にないと。モンスターだとしても人間臭さを感じた。





ご覧いただきありがとうございます。

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